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主要設計要因がコーンスピーカの振動と音響特性に与える影響

ドキュメント内   201708胡月 博士論文   (5.15MB) (ページ 76-88)

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第5章 主要設計要因がコーンスピーカの振動と

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一方、空気の粘性を考慮しない場合のボイスコイル周り空気の変位量の解析結

果を Fig.5-2(a) に示し、その流れ方向をFig5-2(b) に示す。さらに、コーン周り

の空気の挙動を Fig.5-2(c) に示す。ボイスコイル周りの空気の挙動によりコーン 周りの 空気の 流れは Fig.5-2(d) に 示す。 空気 の粘性 がない ことに よっ て、空気 の変位量が大きいことが確認できた。

空気の粘性を考慮しない場合、磁気回路とボイスコイルの間の空間では空気抵 抗がなくなるため、ボイスコイルは実際より大きく振幅していることがわかる。

そ の た め、 音圧 周 波数 レ ベル は実 際 より も 高く な る 。ま た、 ボ イス コ イル は 高 域 限 界 周波 数を 支 配し て いる ため 、 高周 波 数領 域 に おい ては 、 周波 数 特性 上 の ディップやピークが生じやすいと考えられる。

さらに、ボイスコイルと接着しているスパイダーやエッジ がボイスコイルの振 動 に よ って 引っ 張 られ 、 コー ンと の 逆に 動 くこ と に より 、歪 の 原因 に もな る と 考えられる。

空気の粘性を考慮しない場合では、ボイスコイルの正確な動きが明確ではない ため、実際の音響特性と異なる特性が得られると考えられる。

本解析法の結果により、空気の粘性を考慮した本解析法を用い、節点変位を未 知 数 と して 解く こ とに よ り空 気の 動 きを 確 認す る こ とが でき 、 ボイ ス コイ ル 周 辺の空気の挙動を捉えられることができた。

さ ら に 、ボ イ スコ イル と 磁気 回 路の 間 にあ る狭 い 空 隙 の 粘 性抵 抗な ど を調 整 す る こ とに よっ て 、意 図 的に スピ ー カの 細 かい 特 性 が設 計で き る可 能 性を 示 し ている。

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(a) Vibration mode around the voice coil

(b) Flow displacement vector graph of Voice coil’s surrounding air

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(c) Vibration mode around the cone

(d) Flow displacement vector graph of Cone’s surrounding air Fig.5-1 Effect by vibration mode of air with viscosity

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(a) Vibration mode around the voice coil

(b) Flow displacement vector graph of Voice coil’s surrounding air

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(c) Vibration mode around the cone

(d) Flow displacement vector graph of Cone’s surrounding air Fig.5-2 Effect by vibration mode of air without viscosity

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5.2 コーンがスピーカの 音響特性に与える影響

ここで、比較のため、同形状で金属材料と紙系材料でそれぞれ作られたコーンを用い 検 討 する。金 属 材 料 の場 合 、材 質 の均 一 性 が高 く、同 じ板 厚 でも曲 げ剛 性 が大 きい。

一方、紙系材料は、製作が容易だが、パルプ繊 維がランダムに配置されるため、均質な 材 質 でないことや曲 げ剛 性も金属に比べ小さいことから、振 動特 性は複 雑になると考 え られる。

本解析法で解析した空気の粘性を考慮したコーンの変位応答の結果を図 5-3 に示 す。黒い実線は紙コーン、赤い破線は金属コーンの変位応答の結果である。

紙コーンの場合では、1500 Hzと3000 Hzに変位のピークと2500 Hzに変位のディッ プが生 じた。それらの振 動 モードを図 5-4 に示 す。図 5-4(a)は周 波 数 1500 Hz、図

5-4(b)は周波数 2500 Hz、図 5-4(c)は周波数 3000 Hzの振動モードを示す。周波数が

高くなると、コーンの振動も複雑になることが確認できた。

それはコーンが柔らかく、ボイスコイルの動きがコーン全体に伝わらず分割振動が起き やすくなるため、変位のディップやピークが出やすい傾向が見られる。

しかし、紙はコーンの材料 として、密度が低くかつ内部損失が多い利 点がある。さらに、

製 作 の便利 さと、スピーカに要 求される特 性 をバランスよく持 ち、かつ寿 命が長 いことか ら、現在でもコーンの主役を占めている。

金属コーンの場合では、5 kHz近くまでピストンモーションとなり、ピークディップはほと んど生じないことが確認できる。振動モードを図5-5に示す。図5-5(a)は周波数1500 Hz の振動モードを示 す。コーンは同じ変位 で振動していることがわかる。2500 Hz と 3000 Hzにおいても同じ振動モードが確認できる。図5-5(b)は周波数4000Hzの振動モードを

示す。4000 Hzの場合で、コーンが同じ変位ではなく、分割振動をしていることが確認で

きる。

金 属 コーンの場 合 は、高 い周 波 数 領 域 まで同じ変 位 で振 動 していることがわかる。そ れは金属の非 弾性率が優れていると考えられる。また、内部損失が小さいため、中音 域 や高音域用のコーンスピーカに多く使用されている。

同 様 な方 法 を用 いて、コーン物 性 値だけを変 更 させながら、本 解 析 法 を用いて振 動 と音 響 の強 連 成 解析 を行 い、意 図 的にスピーカの共 振 位 置 をコントロールするできるこ とを示している。目的や用途に合わせて、スピーカの設計ができると考えられる。

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F irgur e5 -3 Comparison of vibration characteristic of metal cone and paper cone

(a ) Vibr a t ion mod e of pa p er cone (1500H z) 1.E-07

1.E-06 1.E-05 1.E-04 1.E-03 1.E-02 1.E-01

100 1000

Displacement amplitude[mm]

Frequency[Hz]

Paper Cone Metal Cone

10

-1

10

-2

10

-3

10

-4

10

-5

10

-6

10

-7

100 200 400 1000 2000 5000

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(b) Vibr a t i on mode of pa p er c one (2 500Hz )

(c) Vi br a t ion mod e of pa p er cone (3000H z) Firgure5-4 Vibration mode of paper cone

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(a ) Vibr a t ion mod e of met a l c one (1500H z , 20 00Hz, 300Hz )

(b) Vibr a t i on mode of met a l c one (4 000Hz ) Firgure5-5 Vibration mode of metal cone

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5.3 エッジがスピーカの音響特性に与える影響

エッジはコーンをフレームに取り付 ける部 分である。コーン周辺を支持して正しい位置 に保持しながら、コーンの動きに対して柔軟 で自 在に動くように働 き、横振れを抑制する 役割を持っている。

ここで、比較のため、ヤング率が 6.95×107 Pa の柔らかい材料 とヤング率が 2.78×

108 Pa の硬い材料でそれぞれ作られたエッジを用い検討する。本解析法で計算した空 気の粘性を考慮した変位応答特性の結果を図 5-6 に示す。黒い実線は柔らかいエッジ 材料、赤い破線は硬いエッジ材料の変位応答の結果である。

図中の結果より、柔らかいエッジ材料の場合は 1.3kHz に最初のピークが表われ、硬 いエッジ材料の場合は 1.7kHzに最初のピークが生じることがわかる。

エッジはコーンの加 振 によって中 音 域 で共 振 が発 生 し、エッジ部がコーンと異 なった 振動の音 放射 をするため、スピーカの音響 特性 を悪化させてしまう。そのため、エッジの 特性をきちんと把握することが非常に大事である。空気の粘性減衰 を考慮した振動 と音 響 の強 連 成 解 析 では、エッジの細 かい共 振 の位 置 を解 析 が可 能 であることを示 してい る。

Firgure5-6 Comparison vibration characteristic of soft edge and hard edge material 1.E-07

1.E-06 1.E-05 1.E-04 1.E-03 1.E-02 1.E-01

100 1000

Displacement amplitude[mm]

Frequency[Hz]

Soft edge material Hard edge material

100 200 400 1000 2000 5000 10

-1

10

-2

10

-3

10

-4

10

-5

10

-6

10

-7

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ここでは、コーンの形状を変えずに、エッジの特性だけを変更させながら、本解析法を 用 いて振 動 と音 響の連成 解析 を行い、意図 的にスピーカの最初のピーク位置など細 か い特性をコントロールするできることを示している。

5.4 本章のまとめ

本章では、従来の音響解析 で考慮されなかった空気の粘性の影響を考 慮したコーン スピーカの振 動 と音 響 の強 連 成 解 析 を行 い、コーンスピーカボイスコイル周 りの空 気 の 挙動、コーンとエッジなどの部品の特性に与える音響特性が明らかになった。

(1) スピーカのボイスコイル周 りの空気の挙 動について、空気の粘性 を考慮した解析 結 果 では、従 来の解 析が確 認 できない空 気の動き方 向 をはっきり確 認 すること ができ、

スピーカの性能特性の解析精度の向上に繋がった。

(2) 本研究の開発した振動と音響の強連成解析プログラムを用い、コーンスピ ー カ に 対す る解 析 を行 う こと によ っ て、 初 めて ボ イ スコ イル 周 りと 磁 気回 路 の 間の空気の挙動が確認できるようになった。

(3) 振動 と音響の強連成 解析 では、コーンとエッジなどの部品の特性に与 えるコーン の振動特性の影響が明らかになった。

本 章 では、ボイスコイルの周 りの空 気の挙 動やコーンとエッジなどの部 品の特性 に与 えるコーンの振動 特性 の影 響 を解 明した。ただし、実際のスピーカの研究 開発 では、決 められた現行のスピーカの性能特性を正確的に求めることより、スピーカの主な設計ファ クターとなるエッジとコーンの構成やコーンの形 状 などの最適な組 み合わせを求めること は、最も重要な研究課題となる。この問題について、次章から詳細に検討を行う。

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