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第5節 結語

本章では、C2対称性1.2-ジアミンから誘導されるC2対称性2,2ージメチルイミ ダゾリジン不斉制御子とα-アミノ酸由来のβ-アミノアルコールから誘導される2,2 - ジアルキルオキサゾリジン不斉制御子のアクリルアミド誘導体3, 8 とニトリルオ キシド、 ニトロナートとの不斉双極性環状付加反応について検討した結果、 これらの 不斉制御子が配座制御に基づく新しいキラル補助基として機能し得ることを見いだし

た。

先ず、C2対称性1.3-ジアタリロイル- 2,2-ジメチル-4, 5ージフェニルイミダゾリジ ン[(4S, 5S)-.3Jとべン、ノ、ニトリルオキシドとの環状付加反応は、 カラムクロマトグ ラフィー操作によって容易に分離できる、 対称構造と非対称構造の2種類の環状付 加体を与える。 水素化ホウ素トリエチルリチウムによるアミド、部位の還元によって不 斉制御子を除去することができ、 これらの環状付加体から2-イソオキサゾリン-5ーメ タノール体盟が生成する。 この操作により、 主立体異性体1. l-�からは光学的に

純粋な(+)-( S) -l_Qが、 また、 副ジアステレオマー1, u-�からはラセミ体の rac-l0 が得られる。 結局、(4S, 5S)-�を用いる不斉ニトリルオキシド環状付加反応の遷移状

態においては、 アクリルアミド基がsyn/s-cis配座を占めた上で、 ニトリルオキシ ドが4位( あるいは 5位)のフェニル基の反対側から、 アクリロイル基のジアステ レオ平面を攻撃することが確認された。 この反応のジアステレオ面選択性は、 最高 91: 9 であった。

一方、4位にキラル中心をもっ3-アタリロイル-2,2ージアルキルオキサゾリジン誘 導体邑-1とベンゾニトリルオキシドとの双極性環状付加反応でも、4位の置換基に よってオレフィンのジアステレオ面の一方が遮蔽され、 その反対側の面から環状付加 反応が進行して生成した環状付加体が主立体異性体として得られる。 反応のジアステ レオ選択性は4位の遮蔽基の種 類に依 存する。 ベンジル系の置換 基は効果的である が、4-べンジル不飽和アミド但の反応の選択性は極めて低い。 ベンジル基のフェニ ル部位が立体的に空いた空間に逃げ得るために3位のアタリロイル平面を効率的に 遮蔽できな いことが原因である。 そこで、 5位に2 つのメチル基を導入することに よってべンジル基のα炭素と4位炭素聞の単結合回りでの配座を制御すれば、 例え ば4-べンジル-5. 5-ジメチル誘導体色とべンゾニトリルオキシドとの不斉環状付加 反応において観察されるように、 高い不斉収率(93:7)が達成できた。

-85-4位の遮蔽置換基としてはジフェニルメチル基が最も満足できる結果を与える。 例

えば"

4-ジフェニルメチル置換不飽和アミド包の反応におけるジアステレオ選択性 は100完であった。 この場合は、5位への置換基の導入は不必要である。 従来、 両い 不斉収率の達成が極めて困難とされてきたニトリルオキシド環状付加反応において、

このように柔軟な構造の不飽和アミド型キラルオレフィンを用いた反応で、 ほぼ完全 な選択性が得られたことは、4-ジフェニルメチル- 2, 2-ジメチルオキサゾリジンの不 斉制御子としての高い有用性を如実に示すものである。 さらに、4位の遮蔽置換基と

してベンジル系置換基をもっキラルオキサゾリジン不飽和アミド誘導体8のニトリ ルオキシド環状付加反応におけるジアステレオ選択性は、 これらの置換基による磁x 的遮蔽効率の結果(第2章)と非常に良い相関関係を示すことから、 これらの不飽 和アミドを用いた不斉ニトリルオキシド環状付加反応における選択性の予想が可能で ある利点も有している。

興味深い点は、4-ベンジル-5, 5ージメチル誘導体色の反応におけるジアステレオ 選択性が、 反応温度の上昇と共にかなり低下するのに対して、4-ジフェニルメチル誘 導体主との反応においては、 比較的高い反応温度(0 OC)においても不斉収率の低 下が見られないことである。 おそらく、 ジフェニルメチル基のα炭素と4位炭素間 の単結合回りでの最安定配座が、 その構造的特徴に基づく高い温度安定性をもつため

であろう。

2位のアルキル置換基としてはメチル基およびぺンタメチレン基が最適であり、 こ れらはほぼ同様のジアステレオ選択性を与えた。 メチル基よりも嵩高いエチル基やべ ンジル基を2位に導入した場合には、 選択性はむしろ低下する。 嵩高い2位置換基 をもっオキサゾリジン不飽和アミド誘導体2の反応の選択性が低下することは、 基 底状態が平面性を失うことに原因があると解釈された。

次いで、 直線形状のニトリルオキシドと異なって平面形状の双極子であり、 ニトリ ルオキシドの合成等価体であるシリルニトロナートとキラルオキサゾリジンの不飽和 アミド誘 導体2との不斉環状付加反応を検 討 した。 これらの反応では、 可能な4種 類の立体異性体の内2種類しか得られず、 ニトロナートの環状付加反応は syn-選択 的に進行している。 そのジアステレオ選択性は、 ニトリルオキシド環状付加反応とは 逆の傾向を示した。 すなわち、4-フェニル置換オキサゾリジン誘導体8aあるいは 4-ジフェニルメチル誘導体位とを用いたニトロナート環状付加反応においては、 ほ

円hunxu

ぼ同程度(およそ90:10)のジアステレオ面選択性が認められた。

環状付加反応により得られるN-( シリルオキシ)イソオキサゾリジン誘導体17は、

プロトン酸を作用させることにより脱シラノール化して2一イソオキサゾリン誘導体

盟を与えるので、 シリルニトロナートはニトリルオキシドの合成等価体として用 い ることができる。 また、 ニトロナート環状付加体立および堕をテトラブチルアン モニウムフルオリド(TBAF)で処理すると、 環内N-O結合が切断されて、 オキシム アルコール22および23へ高収率で誘導できる。 この新規なイソオキサゾリジン環 の開裂反応は、5位のオキサゾリジン不斉制御子の尋常でない立体的な嵩高さに起因 するものであることが明らかにされた。

以上の結果、Cz対称2,2-ジ置換イミダゾリジンや4-キラル2,2-ジ置換オキサゾ

リジン不斉制御子から誘導できるアクリルアミド誘導体�, _aは、 不斉誘導の最も困 難な双極子であるニトリルオキシドとの不斉環状付加反応にお いて、 高 いジアステレ オ選択性を 示 し、 それらの不斉合成における有用性が実 証さ れた。 さらに、 金属補助 剤を必要としないタイプの不斉反応への広い利用が期待される。

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