• 検索結果がありません。

ラマン分光法および光電子分光法を用いたN-doped a-Cの評価 60

60

40

20

0

Intensity (a.u.)

-0.2 -0.4

Binding Energy (eV) D1

D2 D1

D2

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

1. x = 0 2. x = 0.027 3. x = 0.034 4. x = 0.04

EF

Fig. 4.15. UPS Fermi edge with nitrogen contentx(x= 0, 0.027, 0.034 and 0.04). The observed two localized states are denoted as D1 and D2, and are attributed to defect bands.

フェルミ準位近傍に変化は観測されなかった. このことから,局在したこの準位は非常に安定に存 在していることが示唆される. 窒素添加によるフェルミ準位近傍の状態密度の起源は,まだはっき りとわからないため,さらなる検討が必要である. しかし,この実験事実は,窒素による電子状態の 変化を示す面白い物理現象として興味が持たれる.

ラマン分光法および光電子分光法を用いたN-doped a-Cの評価 61

変える働きを有することがわかった. こうしたクラスターで構成されているために,窒素添 加によってフェルミ準位近傍に局在した電子状態が現れるなど, 価電子帯の状態密度も大き く変わる.

NO吸着実験による表面構造の評価 62

5 NO 吸着実験による表面構造の評価

5.1 緒言

第1章において,短・中距離秩序すなわちsp2, sp3サイトや欠陥などの局所構造がa-Cの諸物性 に大きく寄与することを述べた. X線回折に代表される多くの構造解析手法は,平均的な構造の情 報を与え,周期構造がないアモルファス表面での局所的な構造やサイトを識別することは,本質的

に難しい. 本章では, a-Cの局所的な構造やサイトを評価する手段として,ブロープ分子NOを用

いたガス吸着実験を行い, a-C表面に存在する局所サイトを評価した. とくに, non-doped a-Cお

よびN-doped a-Cでの表面の局所構造や表面反応性・機能性の違いについて議論する.

ガス吸着実験では、金属の性質や表面反応性を調べるために広く用いられている吸着モデル分

子の一つである一酸化窒素(NO)を用いた. NO分子の電子配置は, (4σ)2 (1π)4 (5σ)2 (2π*)1であ るため,反結合性軌道(2π*)に不対電子を一つもつ. したがって, NO分子は,吸着サイトに対して アクセプターまたはドナーとしての電荷移動により吸着することができる. たとえば, NOが分子 状で吸着する場合では,固体表面の性質によって, NO+, NO, NOのいずれかで吸着する. 一方, NO同様に吸着モデル分子として用いられているCOでは, 2π*の軌道は空であるため, 空のπ* 道に金属のd軌道から電子が逆供与される. 同時に, CO (5σ)5σ, 4σが金属のd軌道へσ供与 することでCOが吸着する. COと比較して, NOは最外殻に不対電子を一つもつため,固体表面の 性質によって多様な吸着・反応を示し,吸着サイトの電荷状態や化学的性質を調べることができる. 金属上でのNO吸着・反応メカニズムは,現在に至るまで古くから研究がなされており,膨大な 知見が蓄積されている [146]. たとえば, XPS/UPSでは, N 1s, O 1sスペクトル, 価電子帯に, 表 面上のNOx成分や解離したO, Nを観測することができる. さらに, FTIRでは, NOの吸着構造 (Linear NO, Bent NO, Bridging NO)や電荷状態の違い(NO+, NO)などを識別することがで きる.

NO吸着実験による表面構造の評価 63

実用面を眺めてみると, NOを含む窒素酸化物(NOx)は有害な自動車の排ガスであり,高効率な NOx浄化触媒の開発が強く求められている. NOx浄化材料として, 白金-パラジウム-ロジウム合 金からなる三元触媒が最も広く用いられているが,白金などの貴金属は希少で高価な資源であるた め,代替触媒の開発が進められている. 近年,その代替触媒の一つとして,安価な炭素系材料を用い た触媒開発が活発に行われはじめている. 本実験は, 炭素材料のNOx触媒機能の基礎的な知見を 与えるだけでなく, NOx等の有害ガス分解機能を見出すことができれば,新規炭素材料の環境浄化 機能研究への新たな展開も期待される端緒的な研究となりうる.

ドキュメント内 Incorporated Amorphous Carbon Thin Films Prepared by (ページ 71-74)