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有機元素分析

ドキュメント内 Incorporated Amorphous Carbon Thin Films Prepared by (ページ 40-43)

有機元素分析は化合物の同定や構造解析を行うときに,構成元素の組成を正確に定量し,分子式 を決定するために欠くことのできない測定法である. 有機元素分析は試料を燃焼分解させて発生 するガスを定量することで,試料に含まれている元素の比率を測定する手法であり,主に水素(H), 炭素 (C), 窒素 (N),酸素 (O),硫黄 (S), ハロゲン(F, Cl, Br, I) などの非金属元素を測定できる.

Table3.3,有機元素分析の結果を示す. 得られた値(%) を原子量で割り、その中で一番小さ

い値が整数になるように組成比を算出した. 有機元素分析の結果から,炭化水素熱分解法により作 製したa-Cおよびa-CN0.04は,水素量が非常に少ないことがわかった. 特に, a-Cにおいては, 酸

電気特性・光学バンドギャップおよび水素含有量の評価 30

素の組成比が高い値を示している. 有機元素分析では粉末試料を準備する必要があり,膜を砕く作 業などもあるために器具からの表面汚染等が避けされないことによる. また, 有機元素分析では, 有機材料と比べ無機材料は誤差が大きくなることもあげられる. 本実験で最も大事なことは,水素 が少ないことである. すなわち, 構造中での水素の影響を考慮する必要がない,シンプルな系とし て構造解析を行うことが以後可能になった.

Table 3.3. Chemical composition of the non-doped a-C, N-doped a-C evaluated by organic elemental analysis.

a-C a-CN0.040

Weight (mg) 2.099 1.977

C/H/N/O at.% 93.95/0.07/-0.51/6.58 95.97/0.25/1.52/2.26

Formula C112H1O6 C73H2N1O1

ラマン分光法および光電子分光法を用いたN-doped a-Cの評価 31

4 ラマン分光法および光電子分光法を用いた N-doped a-C の評価

4.1 緒言

第3章では,一般的な半導体材料へのドーピング機構や従来のa-Cへの窒素添加とは異なり,窒 素添加により抵抗率および光学バンドギャップが増加する結果が得られたことを述べた. 第1章の 中で言及したとおり, a-C中での窒素原子の振舞いや物性への影響は過去数十年間にわたり調べら れてきたが, a-C中での窒素の働きについて統一的な見解はまだ得られていない. 窒素添加による 物性変化を理解するためには,母材であるa-Cの具体的な構造をとらえ,その上で添加した窒素の 構造への影響を調べることが重要である.

幸運なことに,近年,窒素ドープグラフェンや窒素ドープナノチューブなど新しい同素体炭素材 料の登場により炭素と窒素に関する知見が膨大に蓄積されてきている. こうした材料から得られ る最新の知見を活用することで,過去の研究の中では十分には検討できなかったa-C中での窒素の 作用について新たな観点からの考察を加えることができる可能性がある. a-Cへの窒素添加におけ る多くの研究では,物理気相成長すなわち非平衡反応により窒素添加が行われてきたため,窒素が a-C構造中に凝集するなどの本来の窒素の作用を考察することが難しかった. また,化学気相成長 では,水素を多く含むことが多く,構造解析がより複雑になることも挙げられる. 一方で,本研究で 用いられている炭化水素熱分解法では,熱平衡反応であるため再現性高く構造中に安定に窒素を添 加することができる. さらに,3章で示した有機元素分析の結果から, 水素含有量も非常に少な

いため, a-C中での本来の窒素の作用を考察し易い系である. したがって,本研究の中で得られる

知見は,本来の窒素の働きや構造安定性を考察できる本質的な窒素の効果を捉えることができる.

ラマン分光法および光電子分光法を用いたN-doped a-Cの評価 32

本章では,主に3つの項目を評価し, a-Cの構造および構造中での窒素の働きを考察した.

1. ラマン分光法を用いて,漠然としていたa-Cの構造を考察し, どのような構造に窒素が取り 込まれるかを検討した.

2. XPS Arイオンスパッタリングにより,窒素原子の膜中への分散性について評価した.

3. 異なる窒素添加量のN-doped a-Cを作製し,窒素添加量に伴う炭素と窒素の結合状態および 母材の価電子帯構造の変化,母材中の炭素の電子状態がどのような影響をうけるかについて 光電子分光法(XPS/UPS)を用いて評価した.

ドキュメント内 Incorporated Amorphous Carbon Thin Films Prepared by (ページ 40-43)