謝辞
本研究を進めるにあたり,終始懇切なる御指導賜りました指導教員である高知工科大学井上喜 雄教授に謹んで深甚の感謝の意を表すと共に厚く御礼申し上げます.また,副指導教員である高 知工科大学芝田京子講師には,日頃より暖かい激励と御厚情,研究に対する貴重なご意見などを 賜りまして厚く御礼申し上げます.
本研究の推進にあたり,一脚ロボットのフレーム製作を快く引き受けていただいき,貴重なご 意見を賜りました,ヤマト商工有限会社 中西一郎氏,ならびに製作所の皆様には深く感謝の意 を表します.
高知工科大学知能機械力学研究室メンバである中浜昌文氏ならびに今西望氏には,共同研究者 として一脚ロボット製作ならびに,実験装置設計について等の技術的なアドバイス,貴重なご意 見を頂きました.また,私と同じく修士二年の谷岡一氏,道明敬史氏,松下準氏,眞鍋直樹氏,
迎和幸氏には公私共にお世話になりました.東北大学量子エネルギー工学専攻の佐竹正哲氏なら びに北海道大学機械宇宙工学専攻の中村篤人氏には走行の研究に関する資料を提供していただき,
他分野からの研究に対するご意見,ご協力等を賜わりました.ここに深く感謝を申し上げます.
そして,研究をご支援下さった皆さんに多大なご協力を賜りました.この場を借りて厚く御礼 申し上げます.
最後に,心身ともに支えてくれた家族と友人ならびに理解を示してくれた親族に心より感謝を 申し上げます.ありがとうございました.
参考文献
1) MIT,「MIT Leg Laboratory」 参照日付:2007/02/08 (http://www.ai.mit.edu/projects/leglab/robots/robots.html)
2) HONDA,「P2」 参照日付:2007/02/08
(http://www.honda.co.jp/ASIMO/technology/history/index.html)
3) SONY,「QRIO」 参照日付:2007/02/08 (http://www.sony.co.jp/SonyInfo/QRIO/top_nf.html)
4) HONDA,「ASIMO」 参照日付:2007/02/08 (http://www.honda.co.jp/ASIMO/)
5) Tom F.Novacheck: The biomechanics of running ,Gait and Posture 7,pp.77‐95,1998
6) 森 崇,中浜昌文,井上喜雄,芝田京子:“一脚ロボットの跳躍現象に関する研究”, 日本AEM学会誌,Vol.14,No.1,pp.39-44,2006
7) 社団法人 日本機械学会編:“生物型システムのダイナミックスと制御”,養賢堂
8) 小林寛道,山下文治:“走る科学”,大修館出版
9) T.A.McMahon: Mechanics of Locomotion ,
International Journal of Robotics Research,Vol.3,No.2,pp.4-28,1984
10) 金子公宥:“スポーツ・バイオメカニクス入門”,杏林書院
11) 小川廣一,加藤了三:“初めて学ぶ基礎ロボット工学”,東京電機大学出版局,
pp.122-134,1998
12) 井指雅彦,和田充雄,井上純一助,石村康生:“人の走行速度向上のためのバイオ メカニカルシミュレーション”, 北海道大学大学院,平成
16
年度修士研究論文付録 A A-1 部品選定
これまでの研究のシミュレーション結果から一脚ロボットの主な仕様として以下のように定めた.
・3リンク機構(足底形状の変更や足指関節付加などが行える形状)
・足首関節と膝関節には最大トルク15[Nm]を発生できるモータと減速機を使用
・総重量は9[kg]以内(脚部:5[kg] 質量部:4[kg]を想定)
・全高0.8[m]
また以下のような設計方針で部品の選定を行った.
・軽量で高トルクのモータを使用(減速機も含む)
・モータのみで高トルクなモータは重量が重くなる.
・関節直駆動は減速機にかかる負荷が大きい
・一般的に手に入る部品で製作
・必要トルクを得るための必要電流を発生させる電源
モータの選定
モータは発生トルクが大きければ大きいほど重量が重くなる.市販されているモータと減速機で 仕様を満たすものでなるべく軽量なモータを選定し,maxon社のモータを採用した.
採用したmaxon社のモータと減速機を以下に記す.
・maxon DC motor RE 36 ∅36 mm, グラファイトブラシ, 70 Watt 公称電圧18[V]
・maxon gearプラネタリギアヘッドGP 42 C ∅42 mm, 3−15 Nm(セラミックバージョン)
モータの計算
●足首関節の場合 減速比を81とし
マクソンギアヘッド選定方法より
・モータ回転数の計算
モータ回転数=使用する減速比×使用する回転数 4050 [rpm]=81×50[rpm]
・モータトルクの計算
モータトルク=使用するトルク÷減速比÷効率[%]
257.20 [mNm]=15000[mNm]÷81÷0.72 マクソンモータ選定方法より
・回転数の確認
最大許容回転数8200[rpm] モータの回転数4050 [rpm]
・トルクの確認
最大連続トルク81[mNm] モータトルク257.20 [mNm]
・選んだモータの平均的な回転数/トルク勾配∆n/∆M [rpm/mNm]を求める
∆n/∆M=無負荷回転数/停動トルク=9.054[rpm/mNm]
(RE36 18[V]の回転数/トルク勾配は9.23[rpm/mNm])
・使用するトルクM[mNm] × 求めた回転数/トルク勾配∆n/∆M [rpm/mNm]
を計算し,使用トルクを与えた時に回転数がどれくらい降下するか求める
∆n=257.20×9.054= 2328.69 [rpm]
・回転数降下分∆n [rpm] に必要な回転数n [rpm] を足し,無負荷回転数n0 を求める n0=2072.82+4050=6122.82 [rpm]
・無負荷回転数n0 [rpm] を使用する電圧U [V] で割り,理想的な回転数定数[rpm/V] を求める 回転数定数=6122.82÷18=340.16 [rpm/V] (RE36の公称値の回転数定数kvは375[rpm/V])
・検算
a) 最大連続トルクが超えていないか確認
最大連続トルク81[mNm] モータトルク257.20 [mNm]
最大連続トルクを超えているが断続トルクならば問題ない b) 回転数n[rpm] = kv[rpm/V] × U[V] − ∆n/∆M[rpm/mNm] ×M[mNm]
回転数n[rpm] =375×18−9.054×257.20=4421.31 [rpm]
モータの回転数4212 [rpm]よりも大きいので使用する回転数を満たす.
・負荷トルクM[mNm]とトルク定数kn[mNm/A]により必要電流I[A]を求める.
I = M÷kn = 257.20÷25.5 = 10.09 [A]
●膝関節の場合 減速比を91として
足首関節と同様にマクソンギアヘッド選定方法より
・モータ回転数の計算:4550[rpm]=91×50[rpm]
・モータトルクの計算:228.94[mNm]=15000[mNm]÷91÷0.72
・回転数の確認:最大許容回転数8200[rpm] モータの回転数4550[rpm]
・トルクの確認:最大連続トルク81[mNm] モータトルク228.94[mNm]
・回転数/トルク勾配:∆n/∆M=9.054[rpm/mNm]
・回転数降下分:∆n=228.94×9.054=2072.82[rpm]
・無負荷回転数:n0=2072.82+4550=6622.82[rpm]
・理想的な回転数定数:6622.82÷18=367.93 [rpm/V] (RE36の回転数定数は375[rpm/V])
・検算
a)最大連続トルク81[mNm] モータトルク228.94[mNm]
最大連続トルクは超えているが断続トルクならば問題ない b) 回転数n[rpm] =375×18−9.054×228.94=4636.88[rpm]
モータの回転数4550[rpm]よりも大きいので使用する回転数を満たす.
・必要電流I:I = M÷kn = 228.94÷25.5 = 8.98 [A]
ベルト,プーリの選定
関節に直接モータを取り付けると着地や急激な外力により減速機が破壊されることが想定され るため,各駆動関節へ伝達は伝達効率の良い歯付きベルトとプーリを用いることにし,椿本チェ インの歯付きプーリを採用した.選定ソフトによりプーリを選定した.図1は選定ソフトである.
Fig. A.1 Timing Belts & Pulleys selection software 選定したベルトとプーリを以下に記す.
・歯付きプーリ24P8M15AF(歯形:P8M 歯数:24 ピッチ:8 材質:高強度アルミ合金)
・歯付きベルトUP8M(周長480[mm]と800[mm])
A-2 一脚ロボットの設計
軸の強度計算
モータとギアヘッド,歯付きプーリにより軸径が定まったが,強度計算を行う.なお,モータ側 のプーリと関節側のプーリは同じ製品を使用するため軸径は12[mm]である.軸にかかる荷重とし てねじり荷重と曲げ荷重がある.各場合において軸径12[mm],材質SUS304で強度を計算する.
・ねじり荷重
軸に作用するトルクをTq [Nm],せん断応力をτ[N/m2],極断面係数をZp[m3]とすると
p
τ
q Z
T = (1) 軸径がd(m)の丸棒の場合,極断面係数Zp[m3]は
3
16d Zp =
π
(2) よってτは次式のようになり,τa を許容せん断応力とするとdが求められる
3 3
16 16
a q
q
T
d d T π πτ
τ = → ≥
(3)軸に作用するトルクをTq =15000[Nmm],せん断応力をτ[N/mm2] とすると
⋅⋅
⋅
× =
= ×
×
= ×
= 44 . 20971
1728 15000 16
) 12 (
1500 16 16
3
3
π π
τ π d
T
q
SUS304の許容せん断応力を147[N/mm2]とするとτの値を超えてないため軸径dは12[mm]でも
良い
・曲げ荷重
曲げ荷重を受ける軸の強度は,軸受を支点とするはりを考えればよいので,両端を自由支持とし て強度計算を行った.
軸に作用する曲げモーメントをM[Nm],曲げ応力をσ[N/m2],断面係数をZ[m3]とすると
Z
= M
σ
(4)軸径がd[m]の丸棒の場合,極断面係数Z[m3]は
3
32d Z =
π
(5) よってσは式(6)のようになり,σa を許容曲げ応力とするとdが求められる
3 3
32 32
a
d M d
M π πσ
σ = → ≥
(6)Fig. A.2 Bending of a Beam Element
図2のように軸にかかる力Fを表すと曲げモーメントMは式(7)で求められる.
1
2 2
2 F L
F L
M = − (7) 衝撃力などを考えFは1000[N]とし計算を行った.各条件を次に記しσを求める.
膝関節 F=1000[N] L1=48[mm] L2=66.5[mm] M=9250[Nmm]
足首関節 F=1000[N] L1=28[mm] L2=45.5[mm] M=8750[Nmm]
SUS304の許容曲げ応力を184[N/mm2]とするとσの値を超えてないため軸径dは12[mm]でも良い
以上より軸径は12[mm]で強度的に問題ないといえる.
L
1L
1L
2L
2F/2
F/2
⋅⋅
⋅
× =
=
= 54 . 5253
) 12 (
9250 32 32
3
3
π
σ π d
M
CADによるモデリング及び図面作成
モータ,減速機,ベルト,プーリ,関節軸が決まったので残るはフレームの設計である.フレー ムは以下のような設計方針のもと設計を行った.使用したCADはPro/ENGINEER2001である.
・軽量で強度が高い構造
・ベルト駆動のためカバー要素を含んだ構造
・手に入りやすい部品で構成できる
・組み立て,分解が比較的容易な構造
材質をアルミとし,板金で設計した.以下にモデリングした図を示す.
Fig. A.3 CAD Model
Fig. A.4 Block diagram
Fig. A.5 Block diagram
A-3 一脚ロボットの製作
組み立て
3次元モデルより図面を作成し,加工業者にフレームの製作を委託した.
Fig. A.6 One-leg Robot
①モータ及び減速機 (減速機はモータ軸に溶接されている)
②歯付きプーリ
① ②
付録 B
Fig. B.1 Motion of jumping 30 Volt (Zoom)
0.07[m]
0.1[m]
0.185[m]
0.336[m]
0.412[m]
付録 C
Table C.1 Ratio of the velocity and angle α2 (R=2~10[m])
R[m] φ
3[deg] L
2[m] stride [m] α
2[deg] Vx
2/Vx
1KE
2/KE
12 20 0.722 0.16 84.43 0.94 0.51 2 30 0.730 0.19 80.70 0.88 0.43 2 40 0.738 0.22 77.84 0.79 0.35 4 20 0.722 0.16 84.44 0.94 0.51 4 30 0.730 0.19 80.70 0.88 0.43 4 40 0.737 0.22 77.92 0.78 0.35 6 20 0.722 0.16 84.44 0.94 0.51 6 30 0.730 0.19 80.70 0.88 0.43 6 40 0.738 0.22 77.67 0.82 0.39 8 20 0.722 0.16 84.44 0.94 0.51 8 30 0.730 0.19 80.70 0.88 0.43 8 40 0.738 0.22 77.67 0.82 0.39 10 20 0.722 0.16 84.44 0.94 0.51 10 30 0.730 0.19 80.70 0.88 0.43 10 40 0.737 0.22 77.92 0.80 0.36
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9
Time[s]
Velocity[m/s]
r2̲20[deg]
r2̲30[deg]
r2̲40[deg]
r4̲20[deg]
r4̲30[deg]
r4̲40[deg]
r6̲20[deg]
r6̲30[deg]
r6̲40[deg]
r8̲20[deg]
r8̲30[deg]
r8̲40[deg]
r10̲20[deg]
r10̲30[deg]
r10̲40[deg]
Fig. C.1 Velocity of X direction