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加熱された薄鋼板の自然空冷における温度低下および焼入れ挙動

ドキュメント内 中川 佑貴 (ページ 37-41)

第 3 章 薄鋼板のホットスタンピングにおける焼入れ特性および変形挙動

3.2. 加熱された薄鋼板の自然空冷における温度低下および焼入れ挙動

板厚が小さくなると加熱炉から金型へ搬送中に温度低下が大きくなり,変形挙動や焼入れ 特性に影響を及ぼす.そこで加熱した鋼板を自然空冷し,温度低下および焼入れ特性に及ぼ す板厚の影響を調査した.自然空冷実験方法をFig. 3.1に示す.あらかじめ900ºCに加熱さ れた加熱炉で鋼板を900ºCに加熱し,炉内で120s保持する.その後耐火レンガ上に,炉か ら鉄製のはさみを用いて3sで搬送する.鋼板は耐火レンガの端から約 10mmに配置する.

試 験 片 は Al-Si め っ き ホ ッ ト ス タ ン ピ ン グ 用 鋼 板 で , 寸 法 は 180×90mm, 板 厚 は

t=0.6,1.0,1.6mmである.長手方向中央の端から約10mmに熱電対を溶接し,加熱および空冷

中の温度を測定した.

Fig. 3.1. Conditions for natural air-cooling test.

自然空冷における鋼板の温度変化をFig. 3.2に示す.板厚が小さくなると温度低下が大き くなった.t=0.6mmでは,一般的なホットスタンピングにおける成形開始温度である700 ºCを空冷開始約7sで下回っている.

Fig. 3.2. Variation in sheet temperature under natural air-cooling.

板厚ごとの冷却速度をFig. 3.3に示す.板厚が大きくなると冷却速度が小さくなった.ま

t=1.0,1.6mmにおいては鋼板温度が 520~650ºC の間でフェライトおよびパーライト変態

に伴う変態発熱によって冷却速度が急速に減少した.t=0.6mm では冷却速度が大きいため,

変態発熱は見られなかった.

Firebrick Furnace

10

(a) Heating, 900 ˚C

Transfer: 3 s Al-Si coated 22MnB5,

Thickness t= 0.6, 1.0, 1.6 mm

(b) Natural air-cooling

200 400 600 800 1000

0 5 10 15 20

10

Time from start of air-cooling [s]

Temperature of sheets [ºC]

t= 1.6 mm

0.6 mm 1.0 mm

Fig. 3.3. Cooling rate under natural air-cooling.

空冷された鋼板硬さをFig. 3.4に示す.板厚が小さくなると硬さは増加した.t=0.6mmに おいてはビッカース硬さが約400HV1となった.

Fig. 3.4. Vickers hardness of air-cooled sheet.

空冷された鋼板組織をFig. 3.5に示す.冷却速度が大きいt=0.6mmおいては,一部マルテ ンサイト変態している.t=1.0mmではベイナイト組織,t=1.6mmはフェライト組織となった.

このことより,t=0.6mmは搬送中の温度低下は大きいが,フェライト変態は限定的であるた め,焼入れへの影響は小さい.

0 100 200 300 400 500

0.5 1.0 1.5 2.0

Vickers hardness[HV1]

Thickness t[mm]

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45

400 500

600 700

800 900

t= 0.6 mm

1.6 mm 1.0 mm

Ferrite and pearlite transformation

Air-cooling rate [ºC/s]

Sheet temperature [ºC]

Fig. 3.5. Microstructures of air-cooled sheet for (a) t = 0.6 mm, (b) 1.0 mm and (c) 1.6 mm.

加熱された薄鋼板の引張特性を調査するため,熱間引張試験を行った.試験方法をFig. 3.6 に示す.試験片に電極を取付け,電気を流すことで鋼板を抵抗発熱させ約 900ºC に加熱す る.その後任意の温度まで自然空冷し,500mm/minで破断まで引張試験を行った.

Fig. 3.6. Conditions for tensile test of heated specimen.

Electrode

18

180

90

70 220

500 mm/min

900 ºC Specimen, t= 0.6 mm

引張強さと引張試験開始直前の鋼板温度の関係をFig. 3.7に示す.鋼板の温度が低下する と,引張強さが増加した.

Fig. 3.7. Relationship between tensile strength of heated specimens and sheet temperature just before tensile test.

ドキュメント内 中川 佑貴 (ページ 37-41)