• 検索結果がありません。

項目分析:質問紙調査での学習達成度調査の回答結果についてそれぞれ「かなりで きた」を「1」、「ある程度できた」を「2」、「それほどできなかった」を「3」、「全くで きなかった」を「4」として得点化した。学習達成度の質問項目の全体平均は通常授業、

校内実習での達成については1.80(標準偏差 0.67)、外部との関わりの中での達成は 1.60(標準偏差0.80)であった。また分析に際して予めフロア効果(平均値-標準偏差

<1)の項目や天井効果(平均値+標準偏差>4)の項目の確認を行ったがそのような項 目は見られなかった。また基礎項目については学科については名義変数のまま用い、

「性別」は「男=1、女=2」に、「学年」は「2年生=2、3年生=3」に、「進路希望」

は「就職=1、進学=2」に、「学級内成績」は「上=1、中=2、下=3」に、「入学後の 欠席日数」は「0〜5日=1 、6~10日=2 、11~15日=3、16日以上=4」に、「イ ンターンシップの経験有無」は「有=1、無=2」に、「中学時の職業体験学習の経験有 無」は「有=1、無=2」にそれぞれ点数化した。基礎項目の記述統計については以下 に図表にて示す(Table3)

Table3: 基礎項目の記述統計(単位:人)

男 女 その他 土木 建築 機械 電気

399 34 2 65 69 149 142

2年 3年 就職 進学 その他

224 201 279 142 2

上位 中位 下位 0~5日 6~10日 11~15日 16日~

133 176 113 341 52 21 9

経験あり なし 経験あり なし 99 323 362 62

現在の成績 欠席日数

インターン参加 中学時代の 職業体験学習

性別 専攻

学年 希望する

将来の進路

28

学習達成度の授業形態による差の検討:続いて質問紙調査によって得られた結果に 基づいて通常授業や実習での達成とインターンシップや出前授業といった外部との関 わりの中での達成に差が生じるかどうかの検証を行う。まず、学習達成度の各項目に ついて先行研究によって明らかにされた3つの主成分に基づいて分類を行った。主成 分の構成概念については以下の図にて示す(Table4)。またそれぞれの主成分の平均値、

標準偏差、並びにα係数についても以下の図に示す(Table5)。社会的スキルについて はα係数が特に低く、項目(企業実態の理解)を削除したほうが高い数値を示したた め、今後の研究では項目を削除した3項目にて分析を行う。項目改定後の平均値、標 準偏差、α係数についても以下に示す(Table5)。

Table4: 学習達成度の主成分とその項目

学習達成度のそれぞれの主成分に置ける通常授業等での達成と外部との関わりでの 達成の平均点の差が統計的に有意であるかどうかを検証するために、有意水準 5%で 両側検定のt検定を行ったところ、問題解決能力・アイデンティティについては、

t (376) = 0.18,p=0.86( p >0 .05)であり、それぞれの間での平均点の差に有意差は見ら れなかった。社会的スキルについてはt (379) = 3.74, p=0.00(p <0 .05)となりそれぞれ の間で有意差がみられた。社会的スキルに関する結果から、社会的スキルの獲得につ いては通常授業等の達成の方が外部との関わりよりも有意に高い平均点を示している ことが明らかになった。学習意欲向上については、t (366) = 0.97,p=0.33( p >0 .05)で あり、それぞれの間での平均点の差に有意差は見られなかった。

課題発見・解決能力の習得 責任感、自尊心等の習得 自分自身の個性や適性の理解

自分の意志を伝えるうえでの、話術や文章力 同級生等から経験や体験を聞くことが出来た 時間を守る重要性の理解

チームワーク等の人間関係の重要性の理解 企業実態の理解

健康維持の重要性理解 専門科目学習の重要性理解 授業での学習を受け入れ先で利用

授業についてさらに学習する必要性の理解 最新の知識や技術に触れた

問題解決能力・アイデンティティ(5項目)

社会的スキル(4項目)

学習意欲向上(4項目)

29

Table5: 主成分ごとの平均得点、標準偏差、α係数

ここでは社会的スキルについて、外部との関わりの中での達成と比較し、通常授業 等での達成が高い達成感を示していることについて考察を行う。本研究では社会的ス キルの項目について「時間を守る重要性理解」、「チームワーク等の人間関係の重要性 の理解」、「健康維持の重要性理解」の3つを採用した。これらの項目は社会的スキル について説明ができてはいるものの、特に外部との関わりの中で達成が求められるも のではなく、むしろ日々の学校生活が育成の基盤となるような項目が選択されていた ことが考えられる。また、調査校では学校から社会へのスムーズな移行を育成方針に 掲げており、通常授業等でも社会的スキルの育成のための授業展開がなされている点、

また、調査を行った2020年がCOVID-19の影響で外部との関わりが消極的であった 点が回答に影響した可能性も考えられるだろう。また、社会的スキルの主因子から削 除した「企業実態の理解」について、それ単体について有意水準5%で両側検定の対応 のあるt検定を行ったところt (381) = 2.42, p=0.02(p <0 .05)となりそれぞれの間で有 意差がみられ、通常授業等での学びと比較し、外部との関わりによる学びが有意に高 い値を示した。このような点から、工業高校ではチームワークや時間厳守の考え方な どは通常授業においても学ぶことができ、企業の実態などは実際に外部人材と関わる ことで生徒は理解していると考察することができる。

得点の平均 標準偏差 α 係数

問題解決能力・アイデンティティ

(通常授業)5項目 9.25 2.15 0.69

社会的スキル

(通常授業)4項目 6.43 1.75 0.61

社会的スキル改

(通常授業)3項目 4.41 1.43 0.63

学習意欲向上

(通常授業)4項目 7.10 1.76 0.64

問題解決能力・アイデンティティ

(外部との関わり)5項目 9.13 2.45 0.80

社会的スキル

(外部との関わり)4項目 6.48 1.80 0.66

社会的スキル改

(外部との関わり)3項目 4.59 1.49 0.68

学習意欲向上

(外部との関わり)4項目 7.02 2.06 0.78

30

職業体験学習における「学習達成度」の規定要因分析:つづいて、これら3主成分 を被説明変数とし、説明変数を「性別」「学年」「進路希望」「学級内成績」「入学後の 欠席日数」「インターンシップの経験有無」「中学時の職業体験的学習の経験有無」と する重回帰分析(ステップワイズ法)をおこなった。また、説明変数の有意性につい て、5%水準で検定を行った。結果について以下の図に示す(Table6)。尚、影響関係 が見られたものについてはB値とベータ値、影響関係が見られなかったものについて はベータ値のみを記入した。

Table6:学習達成度の規定要因分析

Table6の結果より、「問題解決能力・アイデンティティ」の達成については、「性別」、

「学年」、「学級内成績」、「インターン参加の有無」が影響を与えていることが示され た。性別については女子に対して男子の方がより達成感が強いことが明らかになった。

この結果は先行研究とは反対の結果となった。学年については2年生に対して3年生 の方がより達成感が強いことが明らかになった。学級内成績については成績が低い方 と比較して成績上位者の方が達成感を味わいやすいことが示された。この結果につい ても先行研究とは反対の結果になった。インターンシップの参加有無についてはイン ターンシップ参加者の方が高い達成感を示していた。

「社会的スキル」の達成については、「性別」、「学年」、「中学時の職業体験の有無」

が影響を与えていることが示された。性別については女子に対して男子の方がより達 成感が強いことが明らかになった。先行研究ではこの値について有意な水準を示して はいなかった。学年については2年生に対して3年生の方がより達成感が強いことが 明らかになった。中学時の職業体験の有無については職業体験学習の経験がある方が 高い達成感を示していた。こちらについても先行研究ではこの値について有意な水準 を示していなかった。

B ベータ 有意確率 B ベータ 有意確率 B ベータ 有意確率

定数 6.765 4.588 5.360

性別 0.390 0.116 0.020 0.028 0.134 0.008 0.034 0.118 0.022

学年 -0.747 -0.154 0.001 -0.382 -0.128 0.012 -0.050 0.335

進路希望 -0.010 0.845 -0.051 0.309 0.088 0.085

学級内成績 0.350 0.109 0.028 0.092 0.069 0.428 0.141 0.002

欠席日数 -0.031 0.546 0.063 0.217 0.021 0.685

インターン参加の有無 0.976 0.177 0.001 0.010 0.865 0.010 0.841

中学時の職業体験の有無 0.089 0.081 0.777 0.185 0.000 0.667 0.114 0.027

R2乗 0.102 0.058 0.056

調整済みR二乗 0.093 0.051 0.049

F値 10.434 7.699 7.155

有意確率 0.000 0.000 0.000

社会的スキル 問題解決能力・

アイデンティティ 学習意欲向上

31

「学習意欲向上」の達成については、「性別」、「学級内成績」、「中学時の職業体験の 有無」が影響を与えていることが示された。性別については女子に対して男子の方が より達成感が強いことが明らかになった。学級内成績については成績が低い方と比較 して成績上位者の方が達成感を味わいやすいことが示された。先行研究ではこの値に ついて有意な水準を示してはいなかった。中学時の職業体験の有無については職業体 験学習の経験がある方が高い達成感を示していた。先行研究ではこの値について有意 な水準を示してはいなかった。

「学習達成度」の専攻間比較:つづいて専攻間で学習達成度の主成分について差が 生じるのか検討を行うために、1 要因の分散分析を行った。各専攻における主成分ご との平均点を以下に示す(Table7)。

Table7:各専攻における主成分ごとの平均得点 分散分析の結果、問題解決能力・アイデンティティについては群間の得点差は5%

水準で有意であった(F (3, 374) = 4.29, p < 0.05)。TukeyのHSD法(10%水準)

による多重比較を行ったところ、建築科の生徒が機械科、電気科の生徒に対して有意 に高い達成感を示していた。また土木科の生徒については電気科の生徒に対し有意に 高い達成感を示していた。それ以外の学科間については有意な差が見られなかった。

社会的スキル、学習意欲向上については群間の得点差は5%水準で有意差は見られな かった(社会的スキル:F (3, 380) = 1.50, p >0.05、学習意欲向上:

F (3, 365) = 1.28, p >0.05)。

3つの主成分について性別は全てに影響を与えており、いずれも女子よりも男子の 方が高い値を示していた。この値が先行研究とは真逆の結果を示していることについ て筆者は学校の特性に影響があると考察した。先行研究の調査校は男女比がより女子 側に傾いている点や、女子の進学への意識が高い点から繊維やデザインなどの女子が 入りやすい学科を保持する学校であることが考えられる。また調査校の学校風土とし て野球やラグビー等のスポーツに力を入れている点から、環境的に男子の方が成熟し やすいのではないかと考えられる。

学年について「問題解決能力・アイデンティティ」、「社会的スキル」の2つにおい

土木科 建築科 機械科 電気科

問題解決能力・アイデンティティ 8.73 8.36 9.24 9.59

社会的スキル 4.44 4.37 4.55 4.79

学習意欲向上 6.98 6.55 7.16 7.13

関連したドキュメント