2. 幼生収集装置の高度化 1 効率化実験
2.1.3 結果
(1)結果【複数基盤からの集約的なバンドル収集手法の確立・崎枝実験】
1)実施状況
実験の実施手順および実施状況を図-Ⅳ.1.2.6に示す。
実施手順 実施状況
図-Ⅳ.1.2.6 実施手順および実施状況 1.装置の組み立て
今年度新たに開発されたバンドル 収集装置を陸上にて組み立てる。
2.装置の設置
崎枝湾の予定箇所にて装置を設 置する。
3.産卵誘発処理
過酸化水素水を用いた産卵誘発 処理を海中で行う。
4.バンドル収集状況の確認 ホースの傾き、およびバンドル の通過、収集状況の確認。
バンドル収集の確認状況 実施日【5 月 18 日】
実施日【5 月 13 日】
収集装置の組み立て状況
実施日【5 月 17 日】
産卵誘発処理実施状況 実施日【5 月 14 日】
収集装置の 設置状況
Ⅳ-1-2-7 2)幼生供給基地および浮体型装置の設置
幼生供給基地および浮体型装置の設置概略図を図-Ⅳ.1.2.7、設置状況を図-Ⅳ.1.2.8に示 す。
装置本体となるバンドル収容部と幼生供給基盤を覆うスカート部を分離し、揚水ポンプ 等に使用される硬質なホースで接続した。最大2m程度の潮位変動に対応するため、バン ドル収容部とホースの接続部は固定せずに可動式とし、満潮時に挿入したホースが装置か ら抜け出ないよう考慮した長さとした。
装置と4箇所の幼生供給基盤の中心距離が、それぞれ0m、4m(2基)、8mとした。
図-Ⅳ.1.2.8 収集装置の設置状況
幼生供給基盤
スカート内(幼生供給基盤)
浮体型装置(水面) バンドル収容部とホース部の接続
ホース部
距離 4m 距離 4m
距離 0m
(直下)
距離 8m
距離 4m
距離 0m
(直下)
スカート部 図-Ⅳ.1.2.7 バンドル収集装置の設置概略図
8m
0m(直下)
4m
4m 浮体型装置(バンドル収容部) 収集装置 幼生供給基盤
10m 幼生供給基盤
Ⅳ-1-2-8 3)ホースの傾き(角度)によるバンドルの滞留状況
装置から基盤の中心距離ごとのホースの傾きを表-Ⅳ.1.2.2、バンドル収集、通過状況を 図-Ⅳ.1.2.9に示す。
スカート部直上ではバンドルが浮上し易いように、ホースをできる限り鉛直方向に立ち 上げる必要があった。また、特に装置からの基盤の中心距離が最も長い8mでは、ホース 中央部でS字状に湾曲するとバンドルが滞留する恐れがあった。そこで、ホースの複数箇 所にペットボトルブイを取り付けて浮力調整を行い、バンドル浮上を妨げるS字状になら ないように角度が0~90°を保つよう調整した。
ホースの傾き(角度)は距離0m(直下)では74~85°(理論値90°)、距離4mで
は33~75°(理論値48°)、距離8mでは25~70°(理論値29°)であった。
いずれのケースにおいてもバンドルの滞留は確認されなかった。しかし、距離 8m ではホース内をバンドルが逆流する様子が確認されたことから、当該ホース内でバ ンドルの浮力を上回る程度の鉛直下向きの流れが生じたことが示唆された。
スカート頂部のバンドル収集状況 ホース内のバンドル通過状況
表-Ⅳ.1.2.2 装置からの基盤の中心距離ごとのホースの傾き(角度)(崎枝湾)
図-Ⅳ.1.2.9 バンドル収集・通過状況(崎枝湾)
下 上
中
スカート部 装置
90°
0°
イメージ図
計測位置 0m(直下) 4m① 4m② 8m 上
(装置挿入部付近)
中
(ホース中央部)
下
(スカート直上)
平均的なホース傾き
(理論値) 90° 29°
装置からの基盤の中心距離
85° 60° 75° 25°
74° 53° 33° 37°
80° 71° 71° 70°
48°
Ⅳ-1-2-9 4)基盤の距離によるバンドルのホース通過状況
基盤距離ごとのバンドル通過状況を表-Ⅳ.1.2.3、カメラ設置およびバンドル通過状況を 図-Ⅳ.1.2.10に示す。
装置からの基盤の中心距離別(0m(装置直下)、4m①・②、8m)に、装置内に挿入した ホース先端部に無人カメラを取り付け、各ホースからのバンドル通過状況を概略的に把握 した結果、ホース通過率は、0m(装置直下)で41.9%、4m②で62.5%、8mで7.7%であっ た。
4m②の架台上の親サンゴ量は、他ケースの約2倍であった。一般的に親サンゴ量とバン
ドル量は比例するため、バンドル通過率は単純比較できない。4m②が他ケースと同程度の 親サンゴ量であったと仮定すると、バンドル通過率は62.5%の半数程度(30%)になると推 察された。
バンドルの通過のし易さ(通過率)は、基盤距離によるホースの傾きに影響することが考 えられた。
無人カメラ
水面から装置内を望む ホース先端部
ホース出口 バンドル
図-Ⅳ.1.2.10 ホース先端部のカメラ設置状況およびバンドル通過状況(崎枝湾)
距離 解析対象※1 写真枚数
解析対象※2
時間(分) 通過率(%)※ 3 備 考 0m(直下) 2,209 73.6 41.9
4m① 579不鮮明な画像が多いため比較対象外とした(解析時間が20分未満)
4m② 1,953 65.1 62.5親サンゴ量は他の架台の2倍
8m 1,386 46.2 7.7
※1) 2秒間隔で撮影した画像のうち、不鮮明な画像は除外した。
注 ) さらに、対象時刻はサンゴの産卵開始前(19:30)~全ケースの産卵終了後(20:50)に統一した。
※2) 解析対象枚数×2秒
※3) 解析対象枚数(秒数)のうち、対象ホース先端を通過した可能性が高いと推察されるバンドルが 注 ) 映り込んだ画像の割合を通過率とした。
表-Ⅳ.1.2.3 基盤距離ごとのバンドル通過状況(崎枝湾)
Ⅳ-1-2-10 5)収集した幼生数
水面のバンドル収集状況を図-Ⅳ.1.2.11に示す。
5月21日に北原式プランクトンネットを用いて、3日令幼生をサンプリングした。室内 で幼生数を計数した結果、装置内の幼生は約47万個体であった。計画では、350万個(天
然サンゴ25kg:約20群体相当、500万個のうち7割程度が産卵)の収集を計画していた
ものの、実際の収集量は1割程度の約50万個に留まった。
収集量が少なかった要因として、2019年の親サンゴの産卵のタイミングにばらつきがあ り、産卵誘発による一定の効果はみられたものの、収集予定日より前に産卵してしまった 群体や、誘発後に産卵しなかった群体がいたために、想定より産卵数が少なくなったこと が考えられた。
図-Ⅳ.1.2.11 水面のバンドル収集状況(崎枝湾)
Ⅳ-1-2-11
(2)結果【サンゴ幼生の最大収容密度の検証・浦底実験】
1)幼生の最大収容数の概算
実験の実施手順および実施状況を図-Ⅳ.1.2.12に示す。
実施状況 実施手順
装置設置状況(海中)
幼生投入状況
幼生サンプリング状況(5 月 21 日) 装置設置状況
採卵状況 1.装置の設置
従来用いている装置(直径 1.7m・高さ 4m)の 1/23 の容 積となる小型の装置(直径 50cm・高さ 2m)3 基分を組 み立て式フロートに取り付 け、海域に設置する。
2.幼生の採卵、投入 西海区水産研究所内の水 槽で計 165 万個を採卵後、
比較条件別(15 万、50 万、
100 万個)に装置内に投入 する。
3.幼生のサンプリング 北原式採水器を用いて装 置内の海水を定量採取し、
1 日令から 4 日令までの幼 生数および幼生の生残率 を計数する。
実施日【5 月 15 日】
実施日【5 月 19 日】
実施日【5 月 20~23 日】
図-Ⅳ.1.2.12 幼生収集・放流実験の実施手順および実施状況
幼生の計数状況(5 月 21 日)
Ⅳ-1-2-12 2)幼生の生残状況
各ケースにおける1日令から4日令まで幼生の生残率および生残数を図-Ⅳ.1.2.13に示 す。
1日令の生残率は 100万ケースで90%程度、50万ケースで70%程度であった。15 万ケースは測定誤差が大きく、生残率が200%程度となったため、欠測とした。
2日令の生残率は100万ケースで20%程度、50万および15万ケースで40%程度で あり、いずれのケースでも大幅に低下した。
3日令の生残率は50万ケースで20%程度、100万および15万ケースで15%程度で あり、いずれのケースでもさらに低下した。
4日令の生残率はいずれのケースでも10%未満にさらに低下した。
高い生残率を保持した実績のある 15 万ケースでも生残率が低下したことから、今 回の実験では幼生収容密度による生残への影響を評価することは困難であった。
0 50 100 150 200 250
1日令 2日令 3日令 4日令
生残率(%)
15万(対照区) 50万 100万 手引き実績値
※ 受精卵
投入数
※ 15万の1日令幼生の生残率は200%程度となり、
測定誤差が大きいため参考値とする。
(4日令で90%)
図-Ⅳ.1.2.13 幼生の生残率および生残数 0
200,000 400,000 600,000 800,000 1,000,000
1日令 2日令 3日令 4日令
生残数(個体)
幼生日令
15万(対照区) 50万
100万 受精卵投入数
<比較条件> ケース1 ケース2 ケース3
1/23サイズ装置の
幼生収容数(個体) 150,000 500,000 1,000,000 幼生収容密度(個体/㎥) 380,000 1,270,000 2,550,000 現行サイズ装置の
概算幼生収容数(個体) 3,450,000 11,500,000 23,000,000
Ⅳ-1-2-13