第5章 実験
3. 実験3
3.3 結果
独立変数は指導,従属変数はテストの点数とした。
指導法(3)×テスト(3)により,全体の合計得点について分析した。表5.16は,各 群における事前・直後・遅延テストにおける平均点及び標準偏差を表したものである。また,
図5.16は,その平均点をグラフに表したものである。
表5.16 テストの平均点と標準偏差 従属節前置指導群 従属節後置指導群 統制群
事前 直後 遅延 事前 直後 遅延 事前 直後 遅延
N 37 37 37 39 39 39 37 37 37
Mean 3.43 12.46 13.41 2.21 11.44 11.15 4.41 11.22 9.73
S.D. 4.51 3.82 3.67 3.39 3.40 3.32 4.45 4.18 4.42
81
図5.16 テストの平均点
2要因混合計画の分散分析を行った結果,指導法の主効果については,有意差は見られな かった(F(2, 110)=2.29, n.s.)が,テストの主効果が有意であった(F(2, 220)=322.81, p<.01) 。 また,交互作用が有意であった(F(4, 220)=7.36, p<.01)ので,単純主効果の検定を行った。
指導法別にテストの単純主効果を検定したところ,事前テストでは有意傾向であった(F (2, 110)=2.61, p<.10)が,事後テストでは有意差はなく(F(2, 110)=1.11, n.s.),遅延テストで有 意差が見られた(F(2, 110)=8.61, p<.01)。また,テスト別に指導法の単純主効果を検定した
ところ,wheneverを含む従属節を前置する指導を行った群(従属節前置指導群)及び後置
する指導を行った群(従属節後置指導群),whereverを含む従属節を前置・後置の両方の指 導を行った群(統制群),それぞれに有意差が見られた(F(2, 220)=144.70, p<.01; F(2, 220)=131.59, p<.01; F(2, 220)=61.23, p<.01)。
Holm法を用いた指導法ごとの多重比較の結果としては,事前テストでは各群の差は有意
ではなかった(MSe= 17.5669, p<.05)。遅延テストでは,従属節前置指導群は,従属節後置 指導群,統制群よりも有意に高く,従属節後置指導群と統制群の間には有意差が見られなか った(MSe= 15.0118, p<.05)。
また,テストごとの多重比較の結果としては,従属節を前置する指導を行った群,後置す る指導を行った群とも事前テストに対して直後テスト,遅延テストとも有意差が見られた が , 直 後 テ ス ト と 遅 延 テ ス ト 間 に は 有 意 差 は 見 ら れ な か っ た(MSe=7.8842, p<.05;
MSe=7.8842, p<.05)。統制群は,直後テスト,遅延テスト,事前テストの順で,すべての組
-2 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20
事前テスト 直後テスト 遅延テスト 平
均 点
従属節前置指導群
従属節後置指導群
統制群
82 み合わせに有意差があった(MSe=7.8842, p<.05)。
次にwheneverについて指導法(3)×テスト(3)により,合計得点について分析し
た。表5.17は,wheneverについて,各群における事前・直後・遅延テストにおける平均
点及び標準偏差を表したものである。また,図5.17は,その平均点をグラフに表したもの である。
表5.17 テストの平均点と標準偏差(whenever) 従属節前置指導群 従属節後置指導群 統制群
事前 直後 遅延 事前 直後 遅延 事前 直後 遅延
N 37 37 37 39 39 39 37 37 37
Mean 1.00 7.38 6.35 0.69 7.05 6.05 1.35 3.76 3.51
S.D. 2.09 0.75 1.85 1.54 0.93 1.32 2.18 3.18 2.70
図5.17 テストの平均点(whenever)
2要因混合計画の分散分析を行った結果,指導法及びテストの主効果が有意であった(F(2, 110)=19.97, p<.01; F(2, 220)=320.97, p<.01) 。また,交互作用が有意であった(F(4,
220)=21.25, p<.01)ので,単純主効果の検定を行った。指導法別にテストの単純主効果を検
定したところ,事前テストでは有意ではなかった(F (2, 110)=1.05, n.s.)が,事後テスト及び 遅延テストでは有意差があった(F(2, 110)=38.88, p<.01; F(2, 110)=21.71, p<.01)。また,
-2 0 2 4 6 8 10
事前テスト 直後テスト 遅延テスト 平
均 点
従属節前置指導群 従属節後置指導群 統制群
83
テスト別に指導法の単純主効果を検定したところ,従属節前置指導群,従属節後置指導群,
統 制 群 す べ て の 群 で , そ れ ぞ れ に 有 意 差 が 見 ら れ た(F(2, 220)=169.34, p<.01; F(2, 220)=168.81, p<.01; F(2, 220)=25.31, p<.01)。
Holm法を用いた指導法ごとの多重比較の結果としては,直後テストで従属節前置指導群
と統制群,従属節後置指導群と統制群の差が有意であったが,従属節前置指導群と従属節後 置指導群の間に有意差は見られなかった(MSe= 3.8856, p<.05)。遅延テストでは,従属節前 置指導群と統制群,従属節後置指導群と統制群の差が有意であったが,従属節前置指導群と 従属節後置指導群の間に有意差は見られなかった(MSe= 4.2143, p<.05)。
また,テストごとの多重比較の結果としては,従属節前置指導群,従属節後置指導群とも 直後テスト,遅延テスト,事前テストの順で,すべての組み合わせに有意差があった (MSe=2.6073, p<.05; MSe=2.6073, p<.05)。統制群は,直後テストと事前テスト,遅延テス トと事前テストの間で有意であったが,直後テストと遅延テストは有意ではなかった (MSe=2.6073, p<.05)。
次にwhereverについて指導法(3)×テスト(3)により,合計得点について分析し
た。表5.18は,whereverについて,各群における事前・直後・遅延テストにおける平均
点及び標準偏差を表したものである。また,図5.18は,その平均点をグラフに表したもの である。
表5.18 テストの平均点と標準偏差(wherever) 従属節前置指導群 従属節後置指導群 統制群
事前 直後 遅延 事前 直後 遅延 事前 直後 遅延
N 37 37 37 39 39 39 37 37 37
Mean 1.97 4.76 6.08 1.13 3.90 4.56 2.54 6.92 5.57
S.D. 2.77 3.07 1.62 1.91 3.01 2.48 2.54 1.19 2.46
84
図5.18 テストの平均点(wherever)
2要因混合計画の分散分析を行った結果,指導法及びテストの主効果が有意であった(F(2, 110)=9.58, p<.01; F(2, 220)=107.55, p<.01) 。 ま た , 交 互 作 用 が 有 意 で あ っ た(F(4,
220)=4.74, p<.01)ので,単純主効果の検定を行った。指導法別にテストの単純主効果を検
定したところ,事前テストでは有意傾向を示し(F (2, 110)=3.15, p<.10),事後テスト及び遅 延テストでは有意差があった(F(2, 110)=13.29, p<.01; F(2, 110)=4.41, p<.01)。また,テス ト別に指導法の単純主効果を検定したところ,従属節前置指導群,従属節後置指導群,統制 群すべての群で,それぞれに有意差が見られた(F(2, 220)=40.38, p<.01; F(2, 220)=30.49, p<.01; F(2, 220)=46.16, p<.01)。
Holm法を用いた指導法ごとの多重比較の結果としては,事前テストで統制群は後置指導
群に対して有意に大きかったが,従属節前置指導群と従属節後置指導群には有意な差は見 られなかった(MSe= 6.0411, p<.05)。直後テストで従属節前置指導群と統制群,従属節後置 指導群と統制群の差が有意であったが,従属節前置指導群と従属節後置指導群の間に有意 差は見られなかった(MSe= 6.8651, p<.05)。遅延テストでは,従属節前置指導群と従属節後 置指導群の差が有意であったが,従属節前置指導群と統制群,従属節後置指導群と統制群の 間に有意差は見られなかった(MSe= 5.0857, p<.05)。
また,テストごとの多重比較の結果としては,従属節前置指導群については,遅延テスト,
直後テスト,事前テストの順で,すべての組み合わせに有意差があった(MSe=4.0988, 0
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
事前テスト 直後テスト 遅延テスト 平
均 点
従属節前置指導群 従属節後置指導群 統制群
85
p<.05)。従属節後置指導群については,直後テストと事前テスト,遅延テストと事前テスト
の間で有意差があったが,直後テストと遅延テストの間は有意でなかった(MSe=4.0988,
p<.05)。 統制群 は,直後 テスト ,遅延 テスト , 事前テ ストの 順で有意 差が見 られ た
(MSe=4.0988, p<.05)。
次にwhileについて指導法(3)×テスト(3)により,合計得点について分析した。
表5.19は,whileについて,各群における事前・直後・遅延テストにおける平均点及び標
準偏差を表したものである。また,図5.19は,その平均点をグラフに表したものである。
表5.19 テストの平均点と標準偏差(while) 従属節前置指導群 従属節後置指導群 統制群
事前 直後 遅延 事前 直後 遅延 事前 直後 遅延
N 37 37 37 39 39 39 37 37 37
Mean 0.46 0.32 0.97 0.38 0.49 0.54 0.51 0.54 0.65
S.D. 0.95 0.96 1.57 0.89 0.93 0.87 0.86 0.98 1.05
図5.19 テストの平均点(while)
2要因混合計画の分散分析を行った結果,テストの主効果は有意であった(F(2, 110)=5.98, p<.01)が,指導法の主効果は有意でなかった(F(2, 220)=0.19, n.s.) 。また,交互作用は有 意傾向を示した(F(4, 220)=2.34, p<.10)。
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2
事前テスト 直後テスト 遅延テスト 平
均 点
従属節前置指導群 従属節後置指導群 統制群
86
次に,母語の影響を調べるために,文中における従属節の位置について,従属接続詞ご とに分析した。wheneverを使って表現する問題は4問あった。設問に対する産出状況の 人数を平均し,全体に占める個々の産出状況の割合を示したのが,表5.20である。図 5.20はそれをグラフで表したものである。なお,この表やグラフには,whenや
everytime, whereverなど正答ではないものも産出状況の人数に含まれている。
表5.20 wheneverの産出状況率(N=113)
従属節前置群 従属節後置群 統制群
事前 直後 遅延 事前 直後 遅延 事前 直後 遅延 従属節前置 37.8% 100% 81.8% 45.5% 0.6% 2.6% 29.7% 53.4% 44.6%
従属節後置 39.9% 0.0% 18.2% 48.7% 99.4% 97.4% 51.4% 33.8% 43.9%
従属節後置 0.0% 0.0% 0.0% 0.6% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0%
主語なし
他 4.7% 0.0% 0.0% 1.9% 0.0% 0.0% 5.4% 4.1% 4.1%
無答 17.6% 0.0% 0.0% 3.2% 0.0% 0.0% 13.5% 8.8% 7.4%
計 100% 100% 100% 100% 100% 100% 100% 100% 100%
図5.20 wheneverの産出状況率(N=113)
wheneverを事前テストで使えた参加者は問1,問2,問4で11人,問3で12人であり,
wheneverを含む従属節の位置については,問1では前置する人数が5人,後置する人数が
6人,問2で前置が 4人,後置が7人,問3は前置が5人,後置が7人,問4で前置が3 0.0%
20.0%
40.0%
60.0%
80.0%
100.0%
事前 テス ト
直後 テス ト
遅延 テス ト
事前 テス ト
直後 テス ト
遅延 テス ト
事前 テス ト
直後 テス ト
遅延 テス ト 従属節前置指導群 従属節後置指導群 統制群 使
用 率
従属節前置 従属節後置
従属節後置主語なし その他
無答
87
人,後置が8人であった。それ以外の多くの実験参加者が,whenを用いて産出していた。
従属節を前置する指導を受けた群は,直後テストで100%が前置させていたが,遅延テスト
では81.8%しか前置させていなかった。一方,従属節を後置する指導を受けた群は,直後テ
ストでほぼ100%が後置させ,遅延テストにおいても97.4%が後置させていた。統制群につ いては事前テストで,従属節を後置させる割合の方が多かったが,直後テストでは従属節を 前置させる割合のほうが多かった。主節と従属節の主語が同一の問も含まれていたにも関 わらず,全体として主語を落として産出する率は極めて少なかった。
同様に,whereverを使って表現する問題(4問)についても分析した。設問に対する産
出状況の人数を平均し,全体に占める個々の産出状況の割合を示したのが,表5.21であ る。図5.21はそれをグラフで表したものである。なお,この表やグラフには,ifやwhere など正答ではなないものも産出状況の人数に含まれている。
表5.21 whereverの産出状況率(N=113)
従属節前置群 従属節後置群 統制群
事前 直後 遅延 事前 直後 遅延 事前 直後 遅延 従属節前置 19.6% 92.6% 80.4% 14.1% 3.2% 2.6% 16.2% 3.2% 2.6%
従属節後置 48.7% 4.7% 14.9% 42.3% 92.3% 89.7% 56.8% 92.3% 89.7%
他 12.8% 1.4% 2.0% 23.1% 3.2% 5.1% 21.6% 3.2% 5.1%
無答 18.9% 1.4% 2.7% 20.5% 1.3% 2.6% 5.4% 1.3% 2.6%
計 100% 100% 100% 100% 100% 100% 100% 100% 100%
図5.21 whereverの産出状況率(N=113)
0.0%
20.0%
40.0%
60.0%
80.0%
100.0%
事前 テス ト
直後 テス ト
遅延 テス ト
事前 テス ト
直後 テス ト
遅延 テス ト
事前 テス ト
直後 テス ト
遅延 テス ト 従属節前置指導群 従属節後置指導群 統制群 使
用
率 従属節前置
従属節後置 その他 無答
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事前テストで従属節を後置する割合が多くなっているが,先にも触れたが,本来の正答で
はない where を多数が用いており,それが反映された結果である。従属節前置指導群は,
直後テスト,遅延テストでは,従属節を前置させる割合が高くなっている。従属節後置指導 群では,直後テスト,遅延テストにおいて従属節を後置する割合が大きくなっている。統制 群については,従属節を前置する形と後置する形の両方の指導をしたにもかかわらず,後置 させる割合が直後テスト,遅延テストで大きく増えている。いずれの群も事前テストではそ の他の解答が多かったが,指導後は大いに減っている。また,主節と従属節の主語が同一の 問も含まれていたにも関わらず,全体として主語を落として産出する率は皆無だった。
最後に whileについても同様に分析してみた。なお,本来の正答ではない「during + 主
語 + 動詞」も従属節として扱った。while を使って表現する問題(2問)の設問に対する 産出状況の人数を平均し,全体に占める個々の産出状況の割合を示したのが,表5.22であ る。図5.22はそれをグラフで表したものである。
表5.22 whileの産出状況率(N=113)
従属節前置指導群 従属節後置指導群 統制群
事前 直後 遅延 事前 直後 遅延 事前 直後 遅延 従属節前置 10.8% 47.3% 43.2% 9.0% 2.6% 17.6% 10.8% 17.6% 43.2%
従属節後置 60.8% 44.6% 47.3% 53.9% 83.3% 74.3% 55.4% 74.3% 47.3%
従属節後置 0.0% 0.0% 0.0% 2.6% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0%
主語なし
前置詞句前置 2.7% 0.0% 0.0% 2.6% 0.0% 0.0% 2.7% 0.0% 0.0%
前置詞句後置 12.2% 2.7% 6.8% 16.7% 11.5% 2.7% 9.5% 6.8% 6.8%
他 8.1% 1.4% 0.0% 7.7% 2.6% 2.7% 12.2% 0.0% 0.0%
無答 5.4% 4.1% 2.7% 7.7% 0.0% 2.7% 9.5% 1.4% 2.7%
計 100% 100% 100% 100% 100% 100% 100% 100% 100%