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結   果

ドキュメント内 問題と目的 (ページ 38-41)

乳児取り替え課題と里子選択課題における各因果モ デルの学年別選択割合を,条件群ごとに示したものが

Figure 2〜4である。 非一貫反応 とは,乳児取り替え

課題では,モデル選択課題において,選択した因果モデ ルが2人の赤ちゃん間で一貫しなかったことを意味し,

里子選択課題では,モデル(里子)選択課題において,

里子を預かろうとする2組の夫婦間で選択モデルが一貫 しなかったことを意味している。本研究では,特性の起 源を2人の赤ちゃん間,2組の夫婦間で一貫して 生み 育て両方 と判断した者に焦点を当て分析を行う。

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1 .生み育て両方を特性の起源とみなす認識の発達的変 化の様相

生み育て両方 を特性の起源とみなす認識の発達に 関して,向井・丸野(2005a)は,乳児取り替え課題で は特性の起源を 生み育て両方 とみなす者は高学年に なって増加してくることを示している。本研究でもまず この点について検討する。そのため,条件群1と統制群 の乳児取り替え課題1の結果を合わせて 生み育て両方 モデルの選択人数を算出したところ,2年生4名,3年 生6名,4年生9名,5年生11名,6年生10名であっ た(どの学年もN= 40)。2・3年生,5・6年生をまと めて,低学年と高学年で両方モデルの選択割合を比較し

たところ,有意な差が認められ(2(1, N= 80)= 4.84,

p< .05),本研究でも特性の起源を 生み育て両方 と

みなす者は高学年で増加することが示された。

2 .状況・文脈の違いによる「特性の起源に関する認識」

の変化

本研究の第一の検討点は,乳児取り替え課題と里子選 択課題との間で特性の起源を 生み育て両方 とみなす 者の数に違いが生じるか否かを検討することである。ま ず被験者内条件において2つの課題間で両方モデルの選 択者数に違いがみられるかを検討するために,条件群1 の乳児取り替え課題1・2及び里子選択課題における両 方モデル選択者数を従属変数として,各学年ごとにコク

Figure 2 条件群1の各課題におけるモデル選択者数の割合

(図中の数字は人数)

選択者数の割合

2年生 3年生 4年生 5年生 6年生 2年生 3年生 4年生 5年生 6年生 2年生 3年生 4年生 5年生 6年生

Figure 3 条件群2の各課題におけるモデル選択者数の割合

(図中の数字は人数)

選択者数の割合

2年生 3年生 4年生 5年生 6年生 2年生 3年生 4年生 5年生 6年生

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ランのQ検定を行った。その結果,全ての学年で課題間 に有意差が示された(2年生:Q= 30.33,p< .01, 3年 生:Q= 27.13,p< .01, 4年生:Q= 11.57,p< .01, 5年 生:Q= 8.91,p< .05, 6年 生:Q= 14.73,p< .01)。 そ こでライアン法を適用したマクニマー検定により下位検 定を行った結果,5年生を除く全ての学年で乳児取り替 え課題1・2よりも里子選択課題において両方モデルの 選択者数が多いことが示され(2,3年生:p< .01, 4,6 年生:p< .05, 5年生:乳児取り替え課題1と里子選択 課題の差については,p< .10),また,乳児取り替え課 題1と2の間には全学年で両方モデルの選択者数に差が 無いことが示された。さらに条件群2でも,乳児取り替 え課題及び里子選択課題における両方モデル選択者数を 従属変数として,学年ごとにマクニマー検定を実施した 結果,5年生を除く全ての学年で乳児取り替え課題より も里子選択課題の方が両方モデル選択者数が多いことが 示された(2〜4年生:p< .01,6年生:p< .05,5年生:

p < .10)。

被験者内条件のみでは,先行課題の遂行が後続課題の モデル選択に与える影響を除去できないため,被験者間 条件においても,2課題間で両方モデルの選択者数に違い がみられるかを検討した。条件群1の乳児取り替え課題1 と,条件群2の里子選択課題における両方モデルの選択 割合を従属変数とし,5(学年:2〜6年)×2(課題:乳 児取り替え,里子選択)の逆正弦変換法を実施した結果,

課題の主効果のみ有意であり(2(1, N=200)=36.89,

p<.01),乳児取り替え課題よりも里子選択課題の方が両

方モデル選択者数が多いことが示された。統制群の乳児 取り替え課題1と条件群2の里子選択課題においても逆 正弦変換法を用いて同様の比較を行ったところ,課題の主

効果のみが有意であり(2(1, N=200)=43.04,p<.01),

乳児取り替え課題よりも里子選択課題の方が両方モデル 選択者数が多いことが示された。

以上の結果より,概ね2〜6年生全ての年齢で「乳児 取り替え課題よりも里子選択課題の状況・文脈において 特性の起源を生み育て両方とみなす者が多い」という本 研究の作業仮説1が支持された。

3 .里子選択課題から乳児取り替え課題への‘生み育て 両方モデル’選択の転移

本研究の第二の検討点は,里子選択課題において特性 の起源を 生み育て両方 とみなすことが,後続の乳児 取り替え課題の状況・文脈に転移するか否かを検討する ことであった。それを検証するには,条件群1と統制群 の間で,乳児取り替え課題1から2への両方モデル選択 者数の変化を比較する必要がある。条件群1に関しては 先述のように,全学年において,乳児取り替え課題1と 2の間で両方モデル選択者数に有意差はなかった。そし て,統制群について乳児取り替え課題1から2への両方 モデル選択者数の変化を調べた結果(学年ごとにマクニ マー検定を実施),統制群でも全学年において,乳児取 り替え課題1と2の間で両方モデル選択者数に有意差は 示されなかった。以上の結果より,条件群1の里子選択 課題で多くの子どもが示した 生み育て両方 モデル選 択は,後続の乳児取り替え課題2には転移しないことが 示され,作業仮説2が支持された。

4 .課題順序効果

上記2,3の分析を通して,特性の起源に関する認識 が,起源を問われる際の状況・文脈と整合する形で構成 されることが示唆された。それでは,乳児取り替え課題 の状況・文脈と,里子選択課題の状況・文脈とは互いに

Figure 4 統制群の各課題におけるモデル選択者数の割合

    (図中の数字は人数)

選択者数の割合

2年生 3年生 4年生 5年生 6年生 2年生 3年生 4年生 5年生 6年生

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完全に独立していたのだろうか。それとも影響関係に あったのだろうか。この問題は,構成(解釈)される状 況・文脈の時間的空間的範囲の問題と密接に関係する。

この点を検討するために,乳児取り替え課題と里子選択 課題の間の順序効果を分析する。まず乳児取り替え課題 の文脈が里子選択課題の文脈に及ぼす影響の有無を調べ るために,条件群1と2の里子選択課題における両方モ デル選択者割合を従属変数とし,5(学年:2〜6年)×2

(条件群:群1,群2)の逆正弦変換法を行った。その結 果,条件群の主効果(2(1, N= 200)= 7.65,p< .01)と,

交互作用(2(4, N= 200)= 12.65,p< .05)が有意であっ た。多重比較の結果,2年生と3年生において,条件群 1の方が条件群2よりも両方モデル選択者が多いことが 示された(p< .01)。この結果から,2,3年生において は乳児取り替え課題の先行経験が里子選択課題において 両方モデルの選択を促進する効果があること,4年生以 上ではそうした効果はないことが示された。

続いて,里子選択課題が乳児取り替え課題に及ぼす影 響の有無を調べるために,条件群1の乳児取り替え課題 1と,条件群2の乳児取り替え課題2における両方モデ ル選択者割合を逆正弦変換法によって比較した結果,学 年の主効果のみが有意であり(2(4, N= 200)= 16.46,

p< .01),里子選択課題の先行経験は乳児取り替え課題

のモデル選択に影響を及ぼさないことが示された。

以上の結果から,乳児取り替え課題と里子選択課題と の状況・文脈の影響関係は,非対称な関係にあり(里子 選択課題のみ影響を及ぼす),また状況・文脈を構成す る者の年齢によっても影響の有無が異なる(4年生以上 では影響がない)ことが明らかになった。

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