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7.3.1 発光反応条件の決定

3-Pump HPLC 装置を用いRu錯体とDAの発光反応の有無を調べた.分離条件は先

に報告されているHPLC–UV検出法を参考とした [48].結果をFig. 39に示す.15 分付 近にDAと思われるピークが得られた.またDAのピーク以外に数本のピークが見られ た.これらは,数種あると報告されているDAの異性体であると考えられる.

Time / min

0 10 20

Relative luminescence intensity

0

Fig. 39: Chromatogram of standard DA solution.

より高感度な検出法とするため,発光反応の最適条件を求めた.まず,発光反応時の pHを調整して発光強度の変化を測定した.結果を Fig. 40に示す.pH 2付近では発光 が認められず,pH 6.5付近で最大のS/N比が得られた.よって以降の実験では発光反応 時のpHが6.5付近になるよう溶液を調整した.

次に有機溶媒種の検討を行った.HPLCにおいて最も多用されるメタノールとアセト

2 3 4 5 6 7 8 0

3 6 9 12 15

pH

Signal-to-noise ratio

Fig. 40: Effect of the pH on the chemiluminescence intensity for DA ob-tained with HPLC. Sample: 0.1 µg/ml DA. HPLC conditions: eluent, 5 mM phoshate buffer (pH2.7)–acetonitrile (9:1, v/v); Ru(bpy)32+solution, 0.25 mM Ru(bpy)32+ in 100 mM sodium sulfate containing 1 mM sulfuric acid; buffer solution, 100 mM phosphate buffer; eluent flow rate, 0.5 ml/min; Ru(bpy)32+

solution flow rate, 0.3 ml/min; buffer solution flow rate, 0.1 ml/min; ECR, 80 µA; PMT biased at550 V.

pHが高くなるに従いバックグランドの値が高くなった.この結果はメタノールを用いた 場合,ノイズ値の上昇および発光試薬量の減少となることを意味しており,DAの高感度 検出を妨げる.そこでバックグランドの低いアセトニトリルを用いることとした.(アル コール類は塩基性側でRu錯体と弱い発光反応を起こすことが報告されている [7].)緩衝 液としては酢酸緩衝液とリン酸緩衝液について検討した.これらの緩衝液では同濃度,同 pHにおいてピークの大きさに変化は見られなかった.しかし,DAの最適発光反応 pH は6.5付近であることから,緩衝能が6.5付近で高いほうがpHの調整が行いやすい.ま た発光強度がpHに大きく依存することからpH調整のゆらぎは実験の再現性に大きく影 響することが予想される.したがってpH 7付近で最大の緩衝作用を示すリン酸緩衝液を 用いた.

最適条件の決定と同時に,装置の最適化も行った.3-Pump HPLC装置では,注入され た試料が緩衝溶液により途中で希釈されるため感度の低下を招く.そこで,Ru錯体溶液

を50 mM 硫酸ナトリウムを含む50 mMリン酸緩衝液(pH 6.9)で調整することで,発

光反応時pHを調整する緩衝液と2価Ru錯体溶液を一体化し,装置を2-Pump HPLC に簡略化した.

7.3.2 標準試料による検量線および他法との比較

これまでの実験から最適装置および条件にてDA標準試料による検量線の作成を行っ た.1 – 500 ppb の範囲で良好な直線(r2 = 0.9995)となり,検出限界26 fmol (S/N

= 3)と高感度な結果が得られた.また再現性は1.6 %(n = 6,10 ppb)であった.他 の分析法との比較をTable 12に示す.高価な装置であるLC–MSを超える感度が得られ た.また,誘導体化を必要とするHPLC–FL検出法と比べても高い感度が得られた.

Table 12: Comparison of analytical characteristics obtained for DA using the present methodology along with those of previously reported HPLC tech-niques.

Detection method D. L. / ng ml−1 Linear range / µg ml−1 r2 Reference

FL detection 1 0.04 – 2.0 0.998 [51]

MS3 detection 8 0.025 – 10 0.9994 [50]

Present method 0.4 0.001 – 0.5 0.9995

7.3.3 実試料測定

現在,DAのルーチン分析に最もよく用いられている HPLC–UV検出法においては,

前濃縮のために固相抽出が行なわれている.これは,DAの検出を妨害する物質の除去も 兼ねている.しかし,塩濃度の濃い試料には適用できず(強アニオン交換樹脂を使用して いるため,塩濃度が大きいとDAが保持されない),また分析に時間がかかる原因となっ ている.これまでの結果から,Ru錯体によるDA検出は非常に高感度であることが証明 された.また,選択性の高い検出法であるため,現在用いられているUV検出とくらべ 妨害ピークが少ないことが予想される.そこで前処理を軽減するため固相抽出の手順を省 いた試料調整法を用いてUV検出法とCL検出法で比較をおこなった.UV検出にはDA の極大吸収波長λmax = 242 nmを用いた.

ムール貝を試料として測定を行った結果,DAは検出されなかった.そこでカナダ基準

(20 µg/g)の1/10である2 µg/gのDAが含まれるように標準DAを添加し測定を行っ た.DAを添加したものと,添加しないもの(Blank)を測定した.結果をFig. 41 に示 す.CL検出では,UV検出より明確なピークが得られた.CL 検出のクロマトグラムに 見られる前方の巨大なピークは,プロリン等の遊離アミノ酸であると考えられる.添加回 収率を求めたところ,106.2± 2.1 %(n = 5,2 µg/g)となった.

10 20 30 0

Time / min

10 20 30

0

Time / min

b) blank

Relative luminescence intensity

Relative luminescence intensity

a) spiked sample

10 20 30

0

Time / min

Abs. at 242 nm

10 20 30

0

Time / min

d) blank

Abs. at 242 nm

c) spiked sample

Fig. 41: Chromatograms obtained with HPLC–CL detection for a) a mussel sample spiked with 2 µg/g of DA and b) blank, and with HPLC–UV detec-tion for c) a mussel sample spiked with 2 µg/g of DA and d) blank. HPLC conditions: eluent, 5 mM phoshate buffer (pH 2.7)–acetonitrile (9:1, v/v);

Ru(bpy)32+ solution, 0.25 mM Ru(bpy)32+ in 50 mM sodium sulfate contain-ing 50 mM phoshate buffer (pH 6.9); eluent flow rate, 0.5 ml/min; Ru(bpy)32+

solution flow rate, 0.3 ml/min.

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