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結果と考察(実験方法 1 )

ドキュメント内 画像処理による着色水の濃度評価 (ページ 65-68)

第 7 章 磁気分離実験

7.3 結果と考察(実験方法 1 )

配管内のヘマタイト分散液は赤く濁っているが磁性フィルターを通すと透明になってくること が確認できた。配管内のみ透明なので、このフィルター上部の配管を撮影した。配管内ではかな り対流していて、流速を速くすると気泡が入ってきてしまった。図7.3に撮影した配管を示し、図 7.4に採取した浄化液の画像を示す。

図7.3: 撮影した配管 図7.4: 採取した浄化液

7.3.1 配管内の撮影

クリッピングによる相違を検討するために、配管いっぱいの矩形(201×176pixel)のクリッピング を行った画像を図7.5に示す。図7.6に横長長方形(61×171pixel)、図7.7に正方形(101×101pixel)、

図7.8に縦長長方形(171×61pixel)のクリッピングを行った画像を示す。

図7.5: 矩形のクリッピング 図7.6: 横長長方形のクリッピング

図7.7: 正方形のクリッピング 図7.8: 縦長長方形のクリッピング 矩形のクリッピングの流速と画素数の関係を図7.9に示し、分離率と画素数の関係を図7.10 に 示す。

図7.9: 流速と画素数の関係 図7.10: 流速と分離率の関係

図7.9より0.5L/分では画素数は5分の一に減少し1.0L/分と2.0L/分では画素数の減少は少な いことがわかる。(2値化画像に変換しているので画素数が多いと濃度が高い。)流速が遅い方が

%、26%である。尚、水道水(バックグラウンド)の画素数を測定した画素数から引いてグラフ の画素数とした。分離率(%)は次式より計算した。

分離率(%)= (

1分離後の画素数 分離前の画素数

)×100  (7.1)

クリッピングの相違による流速と画素数の関係を図7.11に示す。また、クリッピングの相違に よる流速と分離率の関係を図7.12に示す。

図 7.11: クリッピングによる相違(画素数) 図7.12: クリッピングによる相違(分離率)

これより、正方形と縦長長方形のクリッピングでは、0.5<1.0<2.0 L/分の順で画素数が多い。

従って分離率はこの順で悪く、0.5L/分で一番良い事が確認できた。横長長方形では、1.0L/分で 画素数が一番小さく、分離率が一番良かった。横長長方形の分離率は、0.5L/分から順に、12%、

26%、11%である。また、正方形と縦長長方形は、各々50%、29%、18%と54%、53%、14

%である。4つのクリッピングでかなりのばらつきがあり、この部分を撮影することは不適当で あることがわかった。

また、前述の実験のクロマトグラフ管内の流動の検量線、また今回10〜100 ppmの範囲で検量線 を求めたが、今回の実験の流れは対流であり気泡も入ったので検量線と画素数が大きく異なり、こ の検量線から濃度を求めることは上手く出来なかった。これより透明な配管を接続して、対流や 気泡のない流動を撮影する必要があることがわかった。

7.3.2 採取した浄化液

図7.13に流速と総画素数の関係を示し、図7.14に画素数から求めた流速と分離率の関係を示す。

これより、流速と総画素数は負の比例関係にあること、流速と分離率も負の比例関係にあること がわかる。輝度値画像に返還し,画像データ・タイプとしてdouble(倍精度浮動小数点[0.01.0]) をとっているので濃度が高い(色が濃い)と画素数は小さくなる。流速が速くなると分離が悪い 事が確認できた。0.5L/分、1.0L/分、2.0L/分のいずれもヘマタイトの微粒子はなく、見た目にも 非常に薄くほとんど同じであった。しかし、提案する方法では小さいが画素数の減少が確認でき た。比例関係を示したのは採取するタイミングが良かったためと考えられる。総画素数から求め た分離率は、0.5L/分は、78%、1.0L/分は、77%、2.0L/分は、73%であった。総画素数から分 離率を求める手順を以下に示す。

図7.13: 浄化液の流速と総画素数の関係 図7.14: 浄化液の流速と分離率の関係 濃度を求めるために、図7.15に示す検量線を用いて計算した。検量線は、0 ppmの値を0とし て換算した(0 ppmの値から各濃度の値を引いた結果を各濃度の総画素数とした)。求めた濃度 は、0.5L/分は0.06 ppm、1L/分は0.07 ppm、2L/分は0.08 ppmであった。パックテストの結果 は、すべて0.05 ppmだったので、画像処理の結果とほぼ一致することが確認できた。また、この 濃度から分離率を求めた結果は、0.5L/分は99.94%、1L/分は99.93%、2L/分は99.92%であっ た。これよりほぼ完全にヘマタイトが分離できたことがわかった。総画素数から求めた分離率と 異なるのは、濃度の変化の大きさと輝度値の変化の大きさが異なるためである。このことが課題 として残るがこの結果より、測定した総画素数から分離率が求められることが確認された。

図 7.15: ヘマタイトの検量線(バイアル瓶)

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