第6章 中小企業コンサルタント登録・養成制度の構築に向けて
6.2 中小企業経営の専門家としての中小企業コンサルタントの機能と求められる能力
中小企業経営の専門家である中小企業コンサルタントに期待される機能は次の2つであ る。
(1) 中小企業経営者にとって最も身近な相談相手となり、専門的な立場から経営課題に 対応するための診断・助言を行い、クライアント企業の成長発展を支援するアドバ イザー
(2) 中小企業のあらゆる経営課題に総合的・継続的に対応することを旨とし、複雑高度 な課題に対しては相応しい専門家と円滑に連携し協働で解決にあたるコーディネー ター
より具体的に、中小企業コンサルタントの職務範囲を広さと深さという概念で捉えたのが 図6-1である。
広さは次の3つの軸により定義することができ、いずれも全域をカバーすることが求めら れる。
1) コンサルティングサービスの対象とするセクター(製造業、商業、サービス業)
2) コンサルティングサービスの対象とする経営機能(経営管理、人的資源、財務、オ ペレーション、マーケティング)
3) コンサルティングサービスのプロセス(開始、診断~改善計画~改善策の実施~評 価、終了)
第6章 中小企業コンサルタント登録・養成制度の構築に向けて
深さは、中小企業経営者の最も身近な相談相手として日常的な経営課題に対処できるレベ ルが必須要件である。目安として、「どのセクターのどのような業種・業態の中小企業に対 しても、全ての経営機能について少なくとも経営上の問題を感知することができるレベル」
を提案する。加えて、自分の得意分野に引き込んで課題設定してしまうことなく、中小企業 を総体として偏りなく診て、改善の優先順位を的確に判断することができるバランス感覚を 重視すべきであろう。
図6-1 広さと深さで捉えた中小企業コンサルタントの職務範囲
これら機能を果たすために必要とされる知識や能力を特定し、職務能力の階層別に相互の 連関をマッピングしたものを図6-2に示す。
深さ 日常的な課題
製造業
商業
サービス業
終了 評価 実施 計画 診断 開始 経営管理
人的資源 マーケティング オペレーション 財務
広さ(3)プロセス
広さ(2)経営機能
広さ(1)セクター
出所: 調査団作成
第6章 中小企業コンサルタント登録・養成制度の構築に向けて
図6-2中小企業コンサルタントの職務能力要件マップ 注:各要素のコードは役割(R)・実務(D)・知識(C)・態度(A)の区分ごとの通し番号であり、0番は1番以降の上位にある階層構造を示す。 さらに「:」に続けてR0~R3の役割ごとにそれを果たすために必要な職務能力要件を通し番号で示す。 出所:調査団作成
実務的スキル (D)理論的知識 (C) 態度・姿勢 (A)
期待される役割をまっとうするために必要となる資質および知識や能力の範囲と、習熟度の目安(+~+++) 中小企業コンサルタントとして期待される役割 (R) 中小企業に不足する経営資源を補完す るためのアドバイザーかつコーディネーター 個別の中小企業が抱える不特定分野の 経営課題に対して適切な助言を行い、成 長発展を支援する。 個別企業のニーズに応じて適切な中小企 業支援施策を有効に活用する目的で、 中小企業と行政の橋渡しを行う。 高度なコンサルティングの必要に応じて、 中小企業と各種専門家の橋渡しを行う。
中小企業の経営改善プロジェクトにおいて 限られた資金と時間で計画的に成果を上 げるプロジェクトマネジメント能力
中小企業経営者に信頼されるに足る人 間性(誠実さ・受容力・責任感)とコミュニ ケーション能力 中小企業支援担当者(専門家や行政担 当者)と良好な関係を構築し維持する対 人関係能力
中小企業経営の全般について基本的な 理論の理解と、それを現実に適用する力 中小企業に特有の経営課題に関する実 践的な知見と、それを個別ケースに応用 する力 中小企業支援体制の充分な理解中小企業支援施策に関する多様な情報 源を活用し、個別企業のニーズとマッチン グする能力
個別企業の抱える問題を分析し本質的 な課題を特定する課題設定能力 具体的で実現可能な解決手段を提示し てその実行を支援し改善成果を導く問題 解決能力 中小企業経営に関連する専門性領域に ついての基礎的な理解複雑高度な経営課題に対応するため、 専門家と円滑に連携・協働する能力
R0 R1 R2 R3
D1: R0-1 D2: R1-3 D3: R1-4 D4: R2-2 D5: R3-2
C1: R1-1 C2: R1-2 C3: R2-1 C4: R3-1
A1: R0-2 A2: R0-3
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