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経済システムのモデル化

企業の集合体はシステム化され、企業システム全体は国民性 を反映する形で、全体としてまとまった経済機能を発揮するよ うに構造化されていく。そして国家経済というシステムはそれ を動かす国民性によって特徴付けられる事になる。本書はその 国家の経済状態の把握と予測を経済行動の基本と考えている。

その手段としては視覚的な表現である経済天気図を基本とし、

自然環境と生物としての法則性を基準とする事を前提としてい る。ここでは、その立場に立って1章で概観したモデル化の方 法を議論する。

一般に企業における財生産は、モデル的に言うと自然に存在 する素材にエネルギーを加え、人の知性を使って人工物という 不自然な財、サービスを生み出す事である。不自然な人工物と いう意味は一定の時間放置すれば加えたエネルギーを再び放出 して自然が許容出来る状態にまで戻る事を意味する。一連の財-財変換、財-人(能力)変換を行った過程の結果生み出された財 に、魅力や価値を与え、人社会のポテンシャルを上げていく行 動が経済活動のモデルの基本である。その事が自然環境の許す 範囲内であるかどうかは、常に問われる問題である。その結果 は生物として繁栄する法則から見て判断する事になる。単純に 人口が減少する方向であれば、理由はともかく結局滅亡に向か う方向という事になる。

【本書の物理的経済活動のポイント】

第一章で議論したように、経済活動のエンジンとなるのは企 業生産であり、その生産活動は結果として貨幣増幅機能として 特徴付けられる。それ等企業の集合体を組織化して、国家の貨

幣循環と財循環の組み合わせシステムとして見る形となる。そ のシステム全体を人社会が民主主義統治によりコントロールし て国民の文化を創造していくというのが国家システムのモデル である。それは、地球の内外からの物理的エネルギー入力と人 の知性によるコントロールによって自動運転され、経済発展と いう形の出力を生むシステムが国家の経済モデルと考えるもの であった。その自動運転される自律的に動作していく機械は、

オートマトンのモデルとして知られているものである。それが 本書で想定する物理的な国家像であると言って良い。この経済 活動をコントロールしていく主体が人社会であり、擬人化表現 として特徴が表現されるものである。経済コントロールは回路 論的にいえば、時間経過と共に経済活動の活発化を実現しよう とする、帰還回路によって制御されるシステムという事になる。

このため各要素は常に外部のコントロールを受け入れる帰還回 路入力を持つ形式の回路組織として表現される形となっている 事を想定している。それはまた国家全体を機能別にコントロー ルシステムとしてまとめる可能性を与えるものである。それは 生体を作っている全ての細胞がすべて同じ DNA をもち多細胞 の各器官を形成して合目的な動作をする起源となっている事と 類似の形と考えてよい。体液、血液、神経電気信号を通じて各 場所で異なった動作を統一的にするように細胞内生体化学反応 を制御している形をモデル化したものである。外部信号を受容 し解読して応答する組織が全体として有機的に動く最も基本的 な組織の条件である。本書ではそのような生物の特徴を念頭に おいて、全ての基本組織は外部コントロールを受容する入力を 持つ事を仮定しておく。

そ の 各 企 業 の コ ン ト ロ ー ル 受 容 の 部 分 こ そ が 経 済 活 動 に お いて人間が関わる問題である。そのコントロールの際最も必要

になるのが、経済の現状認識であり、将来予測である。本書で はそのキーとなる経済予測について、特にカオス的に起こる経 済現象を予想できる事が重要であると考えている。つまり多変 数の経済ベクトル成分のうち、どれかに異常が現れた場合、い ち早くそれに気付き、専門家の目で経済全体に与える影響の深 刻さの度合いが予想できる能力を持つ事にポイントに置いてい る。それには各専門家が自分の専門性を通じて経済活動を見る 目が非常に役立つというのが本書の立場であり、その様な専門 家と共通に議論する場の設定に大きな意味があるという立場を 採っている[2]。以下の章でその情報提供をコンピューターの可 視化システムで提供すべき事を主張する。これらが第1章で概 観した事である。

§ 3.1. 経済活動モデルの基礎

各 国 の 経 済 シ ス テ ム は 互 い に か な り の 運 営 上 の 違 い が あ る が、一つのモデルにより経済構造を各国共通の項目にしたがっ て数値的に比較する方式を採用する。その比較のために、貨幣 循環を基準に経済の業種構造中を流れる貨幣キャリアーとそれ を駆動するポテンシャルの高さで特徴付ける方式を採っている。

3.1-1. 国の擬人化と経済の国際比較

【各国経済の擬人化による知識の整理】

経済の応用可能性を説明する背景として、まず物質理解の物 理的モデルのポイントをここで紹介したい。あらゆる物質を究 極まで分解すると、比較的単純な要素に分解される。システム 形 成 の 重 要 性 は 、 複 雑 で 高 級 な 計 算 操 作 が 実 行 出 来 る コ ン ピューターを分解すると、ごく単純なスイッチの集合体である 事をみれば理解できる。これらの例が意味する事は、単に無秩

序な素子の集合体を作るだけではほとんど意味がなく、一定の 操作やルールがいかに本質的で重要であるかを意味する。物質 科学においては原子配列など物質をシステム化するルールと操 作手順こそ多彩な物質構造を作り出す重要なポイントである。

経済においては、同じ生体構造を持つ人の集団が、生産機能 としての企業集団を形成し、社会ルールと組織化のソフトの存 在によって大きな機能をもつ社会が実現していると思われる。

その組織化の対象となるのは人と企業の生産活動と、その消費 生活との組み合わせである。人々は、同じ人体構造を持つ人間 ではあるが、自分達の置かれた自然条件(境界条件)に適した 特 有 の ソ フト を 持 ち 、国 あ る い は地 域 に 住 む集 団 と し てま と まった生活行動をしている。一つの平均した国民像をイメージ する事によって各国を把握する事はこれまでにも見られたが、

それは単に、生産、消費、文化の創造に携わる平均的人間像の 人格的な特徴を国別にイメージする事が一般的に行われたとい う事である。本書では積極的に一人の代表的人格像として国民 の特徴を経済システムの中に埋め込み、国全体を(平均人格×

人口)と見る事を明確に意識する事にする。

平均人格は国によって異なっているが、それが国民性という 概念に繋がっていると考えよう。擬人化モデルでは、「企業集合 体と各種マーケットを貨幣循環システムにより結び付ける」と いう構造は各国共通にして、「各国の違いは業種間を流れる貨幣 循環量の違いで表現できる」ものと仮定する。それは結局の所、

それぞれの国の美感、価値観など、擬人化モデルの頭脳の役割 を果たす部分が重要で、それ等が資金の流れとして株価に反映 するという立場に立っている。経済の基本機能である企業シス テムと銀行、金融機関やマーケットは、生活水準の平滑化と生 産量制御の機能として配置され、安定的に各個人の生活を発展

させるそのシステムは臓器に対応するという見方が擬人化の具 体的イメージである。

社会集団としての市民の特徴は企業集団と行政府の関係や、

それぞれの生産・消費行動で、基本構造は同じであっても、それ を運営する制御システム(OS: Operating System)の差で特徴が 表現できる。その特徴を決める起源になっているのは最終的に 人の消費生活に行き着く。それを根拠に、企業生産を平均的市 民像という擬人化した人の消費の仕方として整理する事により 各国の特徴が明確になるはずである。そのためすべての企業を 業種に分けて分類、分析する。人の消費構造に関しては最終的 に経済活動を次のように生物体機能と本能に結び付けて議論す る:

生態維持 食品生産関係企業 衣、住関係企業 素材産業

機械、電気

生き甲斐 運輸、交通、旅行、家電、情報、

研究機関、美術、芸術、伝統工芸 スポーツ、趣味

これらの関係は後のデータ表現の項目順をきめる事や役割関 係を整理するために利用することを前提にしている。

本書では、国民性の違いを意識した経済活動を把握するため に擬人化を採用している。とりあえずここではその方法の重要 性を強調しておきたい。

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