第 2 章 実験方法・理論 35
2.4 細孔径評価
細孔径は 4 種類の方法で評価した。一つ目は気体透過性能から算出する Normalized Knudsen based
permeance (NKP)法2, 3)、2 つ目はシリカ源に導入した有機置換基のサイズから推算したモデル細孔径で
ある。3つ目は液体透過性から評価した分画分子量、4つ目はイオンの水和径であるStokes径を用いた。
各評価方法の算出方法について詳細を述べる。
2.4.1 気体透過-NKP法
NKP(f)は、透過率P [mol m-2 s-1 Pa-1]、分子量M [-]、膜の細孔径dp[nm]としたとき、各気体の活性化 エネルギーの差が十分に小さいとすると下記の2式で表せる。NKP細孔径は、水素透過率を1として分 子量の2乗根を利用して各気体透過率を基準化することで、Knudsen拡散による透過の影響を排除し、
透過分子の分子径をベースに膜の細孔径を算出する。そのため、評価した気体の透過率比がKnudsen拡 散比よりも小さい場合、細孔径を評価できない。
(2-6)式と(2-7)式を利用し、実験で得られた水素、窒素、六フッ化硫黄の透過率から膜の細孔径をパラ メーターとしてフィッティング法により求めた。
・・・(2-6)
・・・(2-7)
2.4.2 モデル細孔径
モデル細孔径は、有機置換基をもつシリカ複合膜の細孔径と有機置換基サイズの関係を明らかにする ため考案し、次の三つの仮定をもとに算出した(図2.3.1)。有機置換基のサイズを円と仮定しているが、
シリカ源に導入した有機置換基の大きさと膜の細孔径の指標になると考えた。
仮定1. シリカネットワーク(-Si-O-Si-)部分を2 nmの円とする。
仮定2. シリカネットワーク部の間隙を細孔とし、その細孔径をモデル細孔径と呼ぶ。
仮定3. 各有機置換基のサイズはMM2ポテンシャルから計算する。
図2.3.1 各シリカ源のモデル細孔径の求め方(左:TMOS、右:PrTMOS)
青い円:シリカ部(-Si-O-Si-)、オレンジの円:有機置換基のサイズ、黒丸:モデル細孔
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2.4.3 液体透過-分画分子量
分子量が異なる中性分子を用いて、膜の透過性を評価し、各分子量と各中性分子の阻止率をプロット した。このとき、分画分子量曲線を引き、阻止率90%以上が保たれる分子量をこの膜の分画分子量とし た。
2.4.4 液体透過-ストークス径
透過分子やイオンのストークス径と阻止率を比較することで、膜の細孔径を検討した。ストークス半
径は次のStokes-Einstein式で表される。rpはストークス半径、dは分子径、kはボルツマン定数、μは溶
質粘度、Dは拡散係数を意味する。
r
p=
d2
=
kT6πμD ・・・(3)
中性分子の糖類のストークス径は、次の変形したWilke-Chang式4)を利用し、(3)式に導入することで 求めた。Mは分子量である。
Dμ/T= 4.98×10-14(M)-0.6 ・・・(4)
42 引用文献
1) Mikihiro Nomura, Kenta Ono, Suraj Gopalakrishnan, Takashi Sugawara, Shin-ichi Nakao, “Preparation of a stable silica membrane by a counter diffusion chemical vapor deposition method”, Journal of Membrane Science, 251, 151-158 (2005)
2) Hye Ryeon Lee, Masakoto Kanezashi, Yoshihiro Shimomura, Tomohisa Yoshioka, Toshinori Tsuru,
“Evaluation and fabrication of pore-size-tuned silica membranes with tetraethoxydimethyldisiloxane for gas separation”, American Institute of Chemical Engineers Journal, 57(10), 2755-2765 (2011)
3) Masakoto Kanezashi, W.N. Shazwani, Tomohisa Yoshioka, Toshinori Tsuru, “Separation of propylene/propane binary mixtures by bis(triethoxysilyl) methane (BTESM)-derived silica membranes fabricated at different calcination temperatures”, Journal of Membrane Science, 415, 478-485 (2012)
4) 山本修一, “物質移動物性としての拡散係数と水分吸脱着(乾燥)”, 日本食品工学会誌, 11, 73-83 (2010)
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