第5章 粒度評価径法の適用性に関する研究
5.3.1 粒度から推定した透水係数の利用
4・3章では式(3.2.3)及びCreagerの推定式は広範囲な粒度に対して透水係数の概略
的な値を知ることであれば適用できることを示した。また, 10%, 20%粒径d)o, d20が 求められない粘土に対しても,滑らかな曲線であれば適用することは可能であることを示した.一般に現場の透水性を知る上では現場揚水試験から求められる値が最 も精度が高いとされている。しかし現場の地層は複雑であり,揚水試験で求められ た値がどの層の透水係数に対応しているか,あるいは本当に平均的な透水係数かは 分からないことが多い。しかし,本研究で明かにしたように粘性土にも透水係数の
推定式が適用できることを利用して,図‑5.3.1, 5.3.2のような管理図を作成し,複雑 な地盤の分布特性を評価することができる。これは粘性土,砂を問わず粒度分布と
間隙比から求めた推定透水係数‑深度分布図に圧密試験及び現場透水試験から求め た結果を併記したものである。この図では透水係数が深度方向に複雑に変化してい るが,現場や室内試験結果はほぼこの変化に対応していることがわかる。図中の■
印は試験データの粒度分布と間隙比を用いて計算した推定値である。粘土の間隙比 は圧密試験結果による圧密降伏応力に対応する値を選定した。従って粘土の実験値 も圧密降伏応力付近の正規圧密条件に対応する値である。これに対し砂の間隙比は 未知であるため,間隙比e=o.6と仮定して求めた。実験値は単孔式現場透水実験結果
である。このように幅広い透水係数の範囲で推定値と実験値を比較すると複雑な地 層の水理条件の変化が実感として評価できる。
透水係数(cm/s)
10‑9 10‑8 10‑7
† 軽度からの推定
‑ヌー現場通水式験結果
ム 圧密試験結果
10‑6 10‑5 10‑4 10‑3 10‑̲つ 10‑1 100
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図‑5・3・1透水係数の深度方向分布例(1)
透水係数(孤/s)
10‑9 10‑8 10‑7
一粒度からの推定
≠現場透水試族結果
△ 圧密試験結果
10‑6 10‑5 10‑4 10‑3 10‑2 10‑1 100
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図‑5・3・2 透水係数の深度方向分布例(2)
5.3.2 粒度評価径と大阪層群の力学特性
大阪層群は段丘性堆積物で,地層の複雑な変化が予想される。このような地層の力 学特性を表現する場合は,数個の力学試験だけで評価するのではなく深度方向の分 布特性を考慮して工学的に力学特性を決める必要がある。この目的で図‑5.3.3を作成
した.この図はN値‑20‑40の部分はポーリング柱状図上では砂‑砂疎として記載さ れているが,もし砂としてしまうと,斜面安定解析等では粘着項が無視されてしま
うoところが,粒度評価径dcは4‑104‑10‑3(mm)とd,‑1012‑loll(mm)付近にばらついて いる。これらの粒度評価径4を図‑3.5.1の施工管理図と比較すると前者のグループは 細粒土,後者のグループは液状化の対象になる土に対応していることがわかるO徒つ
て一般に洪積地盤ではN値によって土性変化を表現する調査が実施されているが,
上記したように粒度評価径dcを対応させて考えると土質特性が理解しやすい.N値 粒度評価径dc(mm)
o 20 40 60104 10‑2 100
○
LS
0
l
図‑5.3.3 大阪層群と粒度評価径
また,粒度評価径法はN値の分布にも対応していることを示す。図‑5.3.4は粒度評
価径dcとN値の関係を示したものである.図からdc>5×10‑2
(mm)の粒度評価径4の範
囲ではN値は大きくぼらついているが,粒度評価径が大きくなるとN値も増加する傾向が見られる。これに対し,粒度評価径4がdc<5×10 2 (mm)では10以下のN値が
多くなり,しかも粒度評価径の減少に伴ってN値も減少する傾向がが見られる。液状化強度の推定で用いられる50%粒径¢〃とN値の関係も,図5.3.5に示されるよう
に傾向的には粒度評価径とN値の関係に類似し, d,o‑0.1mmをN値の大部分が10以下になるか否かの境界にすることができる。
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N値 図‑5.3.4 粒度評価径とN値
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