第 3 章 土粒の粉砕の基本的メカニズム
3.3 結果と考察
3.3.1 粉砕ロッドの役割
第 3 章 土粒の粉砕の基本的メカニズム
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第 3 章 土粒の粉砕の基本的メカニズム
54 そこで、粉砕容器に150 × 10−3 kgの土粒と粉砕ロッド2本を入れて(図3.6 (a) )、2分 間運転をした。その結果、ほぼすべての土粒は断片化されて、土粒子が篩を通過して下 容器に落下した(図 3.6 (b) )。これは、粉砕ロッドが土粒を断片化するために重要である ことを意味している。
図3.6 (a) 土粒と粉砕ロッド2本を入れて運転した, (b) 2分間運転した後の結果
図 3.7は、粉砕後の土粒子の粒度分布を棒グラフで示している。土粒の約 65 %が直
径 1 mm 以下に減少したことは遊星式ロッドミルの設計要件が適切に機能していることを
示している。高速度カメラにより撮影された図 3.6 (a) のぼやけた写真に示されているよう に、運転初期段階から粉砕プロセス中の粉砕容器内部には摩耗による土埃(土粒子粉)
が観察された。土埃の原因は、土粒の表面がせん断力によって最初に摩耗した可能性 がある。粉砕ロッドが使用されない場合は、土粒の断片化は起こらないため土埃を生成 するせん断作用は粉砕ロッドではなく、粉砕容器の内壁が重要な役割を果たしている。
(a) (b)
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図3.7 粉砕後の土粒子径の頻度分布
通常のロッドミルでは数多くのロッドを使用して粉砕をしている。しかし、遊星式ロッドミ ルでは 2 本の粉砕ロッドの組み合わせが最も効率的な粉砕をする条件であるという予備 実験の結果について、それが何故なのか疑問に思った。 粉砕のために粉砕容器の中の 粉砕ロッドの数を変えてみた。 2 本の粉砕ロッドを使用した結果は、作業時間を短縮し、
土粒を小さな粒子(直径2 mm未満)への断片化が可能になるという利点が得られた。 し かし、回転する粉砕容器内で2本の粉砕ロッドを入れただけで粉砕するメカニズムは不明 のままである。 そこで、基本的な土粒の粉砕実験として衝撃実験と摩耗実験を実施する ことにした。この実験により、 回転する粉砕容器内ではどのようなひずみによって、どのよ うな破壊が起こるのか。そして、最大強度が土の降伏応力を超えるかどうか。また、どのよ うなメカニズムで粉砕ロッドが効率的な粉砕を実現しているのかを明らかにすることを目的 とした。以下に、これらの疑問を解決するための基礎実験の結果を紹介する。
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