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Part A:インタビューに基づくプルトニウム処分プログラムの最新情報およびダウンブレンディングというオプ

ションの実現可能性

2016年10月下旬に調査員1名が出席した会議に臨席した関係者によると、当時のDOE長官アーネスト・モニ ッツ氏は、オバマ政権がMOXプログラムへの資金提供の継続を望んでいないことを明らかにした。同政権はそ の代わりにWIPP施設でのダウンブレンディングおよび廃棄物処分への資金の割り当てを強く望んでいる。

ロシア政府は、2016年10月4日付け公式外交文書を通じてプルトニウム管理処分協定(PMDA)の停止を通知 した。関係者によると、同文書には、ウクライナとクリミアへのロシアの介入後に課せられた制裁を解除するこ と、ウクライナへの不拡散を NATO が約束することといった、同協定を再開するための幅広い条件が列挙され ていた。米国側は、PMDAの条件に基づき、検証可能な処分に全面的にコミットしていると述べた。米国関係者 は、これまでのところ、4件の個別研究がMOXは経済面で実行可能ではないことを示していると10月の会議に おいて述べている。最新の見積もりでは、約40年にわたるライフサイクル費用は400億ドルから500億ドルで ある。議会が年間10億ドル以上を40年(議会の20会期および大統領の10期)にわたって充当する可能性は、

政治的には非常に低いものである。一方、希釈処分(ダウンブレンディング法)は実証済みの技術であり、処理 スピードを低コストで速めることが可能である。WIPPはプルトニウムの安全な保管場所である。将来的に米国 政府が当該物質を掘り出す可能性はあるものの、それには莫大な費用がかかり、可能性は非常に低いであろう。

PMDA第3条は協議について定めている。ロシアの立場は、米国議会が米国のプルトニウム処分について決定 するまで自国のプルトニウム処分を待つというものであった。すなわち、ロシア政府は過去も現在も曖昧なメッ セージを発信しているということである。議員の中にはMOX施設の建設継続を望む者もいれば、オバマ政権の 計画の支持を望む者もいる。(2017年2月後半の時点で、トランプ政権はまだ計画を発表しておらず、NNSAに 人員を配置している)。米国は近年、次の段階についてのハイレベルの協議を行ってきたが、両陣営は実際の交渉 に入っていない。しかし両陣営は、米国が支持する技術的アプローチについて多くの情報を共有していた。米国 は検証を処分プロセスの中に含めなければならないということもロシアに明示していた。しかしロシア側は検証 体制を決して望んでいなかった。ロシア側は、検証・検査が自国の生産プロセスとエネルギー開発の妨げとなる 可能性があると懸念していたのであった。ロシアは兵器級プルトニウムについても協議しているが、原子炉級プ ルトニウムの増大にも取り組んでいる。関係者は、ロシアは米国の出方を待ってきたと考えている。ロシア側は、

兵器級プルトニウムのMOX化への移行に先立ち、原子炉級プルトニウムのMOX化のための製造工程ラインを 洗浄する必要があると述べている。

NNSAの環境管理部(EM)は、サバンナリバーサイト国立研究所を管理している。EMは最近、研究室のグロ ーブボックス内で希釈法の試験を開始しており、良い結果が得られている。そこでEMは1.5メートルトンまで 年間処理量の拡大を望んでおり、そのためには利用可能なグローブボックスを増やす必要がある。このように NNSAは希釈・処分方法の開発が進捗していると考えている。しかしある関係者は、NNSAがNEPA(環境保 護評価)およびライフサイクル全体のベースライン分析を依然として必要としていることを認めている。WIPP との合意に基づき、2016年に入って発生した火災の後、WIPPが近いうちに再開される(2017年1月の時点で 米国政府はWIPPの再開を発表している)と仮定すると、既に6メートルトンをWIPPに移すことが可能であ る。WIPPでは少なくともさらに13メートルトンのスペースが利用可能である。したがって、処分すべき総プ ルトニウム量については依然として約15 メートルトンの差異が存在している。しかし、この規制は実際の物質 量ではなくキャニスタの量を一般に対象としているため、解決は可能である。NNSAがこの計算変更の承認を受 けた場合、全てのプルトニウムに十分なスペースとなるであろう。しかしWIPPの今後の道筋がまだ確立されて

70 いない点を指摘することは重要である。

調査員は、ロシア政府と関わりのない専門家2名から意見を聞いた。その専門家は、プルトニウムの同位体組成 を単に変化させても、大量の非核分裂性プルトニウム同位体を核分裂性同位体と配合しなければ、必ずしもその 物質は核兵器に転用できないものとはならないため、プルトニウムの「ブレンディングダウン」アプローチに懸 念を抱いている。十分に熟練した核兵器設計者であれば、原子炉級プルトニウムであってもそれを使って核爆弾 を製造できるとも指摘した。当該アナリストは、全米科学アカデミーが20年前に「使用済燃料基準」を定義し、

それによりプルトニウムが「民生の使用済燃料中のより大量かつ増え続けるプルトニウム蓄積量に伴い、核兵器 への転用はほぼ不可能」となったことに言及した。MOX 使用の炉から取り出した使用済燃料内のプルトニウム は、原子炉級に変更された同位体混合物を有し、使用済燃料内においてプルトニウムの周りに高放射性核分裂生 成物を有し、使用済燃料内の多くの異なる化合物の混合物でできた化学的障壁を有するため、MOX 処分プログ ラムがうまく実施されればその基準に適合したであろう。これらの障壁により、単に兵器級プルトニウムをブレ ンディングダウンするよりも核分裂性プルトニウムへのアクセスが非常に困難となるであろう。

その専門家は、MOX プログラム・コストの高騰についての米国政府の懸念を理解していたが、希釈・処分法に より高放射性核分裂生成物の放射線障壁のない状態でプルトニウムが放置される可能性があるとロシア側が懸念 していることも強調した。プルトニウムに化学的に結合する特殊化学物質の化学的障壁が存在する一方で、専門 家はロシアの専門家の間でこの方法に多少の疑念があると述べた。それにも関わらず、当該専門家は、WIPPの 用地および核物質を保管可能なその他の用地での特殊化学物質や物理的な防護を用いた希釈・処分法は、テロリ ストなどの非国家主体による核物質の入手を阻止するのに十分であると考えている。このように、米国やその他 の国家主体が、兵器目的でプルトニウムを取得することをこれから長年にわたって防ぐのにこの方法が十分であ るかどうかについては、依然として懸念が残っている。

ロシアの米国非難が公正かどうかを評価する際、先述の独立した専門家たちは、兵器由来のプルトニウムを高速 炉で消費するロシアの方法の方がより拡散の懸念が大きいと考えている。これは、こうした原子炉に、その消費 するプルトニウムよりも多くのプルトニウムを生成する能力があるためである。この事実によりロシアがプルト ニウムの除去について真に誠実であるかどうかに疑念が生じていると当該専門家は評価した。それよりむしろ、

ロシアが米国を批判する真の要因は、ロシアが地政学的に強硬な態度を取って、米国との関係でロシアを受益関 係に置くプログラムを終了させようとしていることだと考えている。つまりロシア関係者は、プーチン大統領が この協定を不平等な関係と見ていると勧告しているのである。このように当該専門家は、両陣営が異なる理由で 協定の廃止を非難することになると考えている。

専門家の1人は、イランや北朝鮮における核拡散の懸念やシリアなどの人道的危機を含む、相互利益の問題につ いて、トランプ政権はできるだけ早くロシアを引き込むべきだと提言した。この考えは、相互に信頼できる分野 で物事を進めるというものである。恐らくその後で、両国はプルトニウム処分協定に立ち戻ることが可能となる。

トランプ政権はその任期の初めの1カ月の時点で、プルトニウム処分プログラムに関する計画を発表していない が、DOEの予算削減の可能性を示唆している。1月31日にNuclear Exchange Monitorは次のとおり報道して いる:

トランプ政権はどのDOEプロジェクトの財源がなくなるかについて公式に述べていないため、ジョー・

ウィルソン下院議員(サウスカロライナ州)はサバンナリバーサイトでのMOXおよびその他の使命に どれほど影響を及ぼしうるかについて語ることに慎重になっている。ウィルソン氏の広報担当者である リーシー・バーク氏は、DOE長官に指名されたリック・ペリー氏が、DOE予算に「ビジネス志向アプ ローチ」を持ち込むと議員が考えていると述べている。「完了する確率の高さと実施可能な代替案がない ことから、ウィルソン下院議員はトランプ大統領の下でのMOXの将来について楽観的だ」とリーシー・

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