5. 産業廃棄物の特性の解析
5.4 結果および考察
5.4.4 簡便な産業廃棄物の質(含有成分)の把握方法の検討
51
52
量が化学分析値より低い傾向があり、EDXRFで顕著であった。その他の重金属類は、蛍光X線分析 値の方が化学分析値より高い含有量値を示していた。EDXRFでのSiとPbの測定方法を改良すれば、
概ねEDXRFもWDXRFも化学分析値と同様な傾向を示すと考えられる(図5.4.4.1-2)。
鉱さいや中間処理施設から排出されるふるい下残さについても、概ねEDXRFやWDXRFの測定 値も化学分析値と同様な傾向を示していた。
5.4.4.2 汚泥を対象とした詳細検討 (1)強熱減量
強熱減量を有機物量とみなし、熱しゃく減量 10%未満を無機性汚泥、以上有機性汚泥として、
図5.4.4.2-1に示した。分析試料の事前調査による
と、無機性汚泥は脱水ケーキや製品副成物などで、
有機性汚泥はメッキ汚泥や建設廃棄物破砕物など であった。
(2)土壌成分(Al、 Si)
図5.4.4.2-2にAlとSiの合算値を示す。分析誤 差は数%程度であった。蛍光X線分析では、Siが
20%以上含まれると、Alの含有量が多くなる傾向
があり、Feが多い試料はSiの含有量が低くなる 傾向があった。AlとSiを比べると、Siの含有量 が圧倒的に多かった。また、有機性汚泥は無機性 汚泥に比べて、AlやSiの含有量が少ない。
(3)高頻度金属類(Fe、 Mn)
図 5.4.4.2-3 に Fe と Mn の合算値を示す。
EDXRF の測定値は、化学分析より数%程高い傾
向がみられた。Fe と Mn を比べると、圧倒的に Feの含有量の方が高かった。また、産業廃棄物処 理業から廃棄されたF6は誤差が大きかった。Fe やMnの含有量が高い試料は、無機性および有機 性の両方に分布していた。
(4)主要重金属類(Cu、 Cr、 Ni、 Sn、 Zn)
図5.4.4.2-1 汚泥の強熱減量
0 10 20 30 40 50 60 70
A18-3 AT4 AT5 AT6 B1 B2 C1 C3 C12 C14-1 E19 F6 F11 G3 G4 G6 G9 G11 G14 G16
強熱減量(%)
有機性 無機性
図5.4.4.2-2 汚泥の土壌成分
図5.4.4.2-3 汚泥の高頻度金属類(Fe, Mn)
図5.4.4.2-4 汚泥の主要重金属類
図5.4.4.2-5 汚泥の塩類
0 20 40 60 80 100
A18-3 AT4 AT5 C1 C14-1 G3 G16 AT6 B1 B2 C3 C12 E19 F6 F11 G4 G6 G9 G11 G14
無機性 有機性
含有量(%)
化学分析 EDXRF WDXRF
0 20 40 60 80 100
A18-3 AT4 AT5 C1 C14-1 G3 G16 AT6 B1 B2 C3 C12 E19 F6 F11 G4 G6 G9 G11 G14
無機性 有機性
含有量(%)
化学分析 EDXRF WDXRF
0 5 10 15 20 25 30 35 40
A18-3 AT4 AT5 C1 C14-1 G3 G16 AT6 B1 B2 C3 C12 E19 F6 F11 G4 G6 G9 G11 G14
無機性 有機性
含有量(%)
化学分析 EDXRF WDXRF
0 10 20 30 40
A18-3 AT4 AT5 C1 C14-1 G3 G16 AT6 B1 B2 C3 C12 E19 F6 F11 G4 G6 G9 G11 G14
無機性 有機性
含有量(%)
化学分析 EDXRF WDXRF
53 図5.4.4.2-4にCu、 Cr、 Ni、 Sn、 Znの合算 値を示す。Snは、蛍光X線分析で検出されにくい 元素であった。脱水ケーキやめっき汚泥などのAT6、
C1、 E19、は重金属類が多く含まれていた。金属 関連製造業の汚泥は、有機性と無機性に分布してい た。
(5) 塩類(Ca、 K、 Mg、 Na、 P)
図5.4.4.2-5にCa、 K、 Mg、 Na、 Pの合算 値を示す。化学分析と蛍光X線分析と比べると、
Naなどの軽元素が蛍光X線分析では誤差が大きく なる傾向にあった。特に、EDXRFは軽元素の測定 が不得意であるため、NaとMgが不検出であるこ とが多かった。塩類は有機性汚泥や無機性汚泥に分 布しており、どの汚泥にも塩類が多く含まれる傾向 にあったが、A18-3、 C14-1、 F6、 G11などのよ うに極端に塩類の低い汚泥もあった。
5.4.4.3 迅速化簡易分析手法の確立
5.3.5(4)節の迅速化簡易分析手法により、試料C12、
AT4、G4について検証した。C12、AT4、G4の蛍
光X線分析結果(EDXRF、 WDXRF)と化学分析比 較結果を図5.4.4.3-1、2、3に示す。C12の化学分 析値とXRFの測定結果を比較すると誤差は大きく
ても5wt%程度であった。また、XRF分析の測定結
果は、化学分析に比べ数wt%多めに測定された。
AT4も測定結果はほとんど類似しており、Feは
10wt%程高く、Siは10wt%程低く測定された。原
因としては、EDXRFの測定を1回しか行わなかっ たため(通常は試料を5回測定した後、安定して検 出された元素について再び3回測定する)、このよ うな検出誤差や測定誤差が生じたと考えられた。G4 はAT4に似た測定結果を示しており、同じ高塩類の
グループであることから、高塩類の試料はFeが高く、Siが低くなる傾向があると考えられた。
しかしながら、このEDXRFを使った分析を行うことで精密分析に比べ、簡易に数wt%の誤差範囲 で質的情報を得ることができた。また、汚泥を5因子(①有機物量、②土壌成分(Al、 Si)、③高頻度 重金属類(Fe、 Mn)、④主要重金属類(Cu、 Cr、 Ni、 Sn、 Zn)、⑤塩類(Ca、 K、 Mg、 Na、
P)で分類し、クラスター分析を行った結果から②~⑤の4分類が適当であることが分かった。しか し、①有機物量の多少では、重金属類等の多少は判断できないことも分かった。特に有機物量は、最 終処分場などの維持管理において重要な項目となるので、これらの5分類によって産業廃棄物の質管 図5.4.4.3-1 C12での簡易分析法と蛍光X
線分析法との比較
0 10 20 30 40 50
Al Ca Cr Cu Fe K Mn Ni P Pb Si Sn Zn
wt%
C12
簡易分析 EDXRF WDXRF
図5.4.4.3-3 G4での簡易分析法と蛍光X 線分析法との比較
0 10 20 30 40 50
Al Ca Cr Cu Fe K Mn Ni P Pb Si Sn Zn
wt%
G4
簡易分析 EDXRF WDXRF
図5.4.4.3-2 ATでの簡易分析法と蛍光X線 分析法との比較
0 10 20 30 40 50
Al Ca Cr Cu Fe K Mn Ni P Pb Si Sn Zn
wt%
AT4
簡易分析 EDXRF WDXRF
54
理を行うことが適しているものと考えられる。さらに、迅速化簡易分析手法(バーナー燃焼+EDXRF) により30分程度で分析が可能であることも分かった。
5.4.5 簡便な産業廃棄物の質(溶出成分)の把握方法の検討