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節位を異にした薦茎の節部における維管束の発達

イネ科植物の維管束が節間においては比較的簡単な垂直走向を示すのに比べて,各維管束の相互連 絡の行なわれる節部においては複雑に分岐横走する節網維管束(Nodalplexus)の発達することは熊 沢70)がトウモロコシ,猪ノ坂46),川原53)が稲で報告している。

廿薦の節間部における維管束の発達については多くの研究がある24)。上野122)は蕨茎の硬度とその 内部組織との関係を明らかにし,根帯部の維管束が根原基および芽に分岐することを認めているが,

詳細の調査は行なわれていない。

廿蕨の茎は節位によって令が異なるために苗の発芽および器 官の生長が採苗の節位によって著しく差異を生ずることは前章

において明らかにした。従来,蕨苗の節位による発芽生長の差

異は芽の水分含量,蕨苗内の含有成分の多少などから説明され ている23,61)が,これらの他に貯蔵養分および薦苗根によって吸 収された養水分の転流をつかさどる維管束の発達の程度が大き く関与するものと考えられる。そこで本実験では蕨茎の節部に

おける維管束の発達を節位ごとに調査した。

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第1節実験材料および方法

供試品種はN:CO、310で1962年8月15日に植え付けた

廿薦を用い,1963年8月12日に材料を採取した。維管束の調 査は節を中心にして第34図のように側芽着生部(B-section)

および節部(N-section)の横断面と側芽と茎の中心を結ぶα縦

断面,これと中心部および芽の近くで直角に交わるbおよびc

縦断面について行なった。節位の基準は第3章と同じである。 -a 第2節実験結果

(1)葉跡条の走向

廿薦の葉跡条は当該節において髄走条が合着融合する部位に 定入するのが普通である(P1atelllFig、5)が,それよりも上 部,すなわち横定する維管束の分布する部位に入り込むのもみ られる。葉跡条が茎中に走入する深さは葉跡条の大きさIこよっ

第34図蕨茎の切断部位 Fig.34.Longitudinaland

crosssectionsofthe nodeofsugarcane.

50 琉球大学農家政エ学部学術報告第12号(1965)

て異なり,大形のものは茎の中心部へ深く入り込み(PlatelllFig、5),比較的小形のものは走入の 程度が浅い(P1atelllFigl)。

走入後の葉跡条の走向をみると,〃節に走入した葉跡条は("-1)節では更に深く走入することな く,そのまま下降するのが多いが,ときには("-1)節で更に深く茎の中心部に入り込み,その後,

次第に周縁部に近づくものもみられる。

廿蕨は出穂すると茎の頂部における葉は葉鞘が著しく伸長して,葉身は短小となり,いわゆる花葉 となるが,花葉の着生する数節には側芽が存在しない。この花葉の着生する節,すなわち花葉節にお ける葉跡条をみると,普通の節と同様に茎の中に深く走入するもののほかに,走入の程度が浅く走入 した節の直下でただちに周縁部へ大きく移行するのがしばしばみられた。このように内部に走入した 葉跡条は入り込んだ側の茎中を下降するのが普通であるがときには茎の中心部を越えて入ってきた側

とは反対の茎中を走向するのもみられた(P1atelFig、2)。

なお髄走条の上下の合着融合は節部の1水平面上で行なわれるのではなく,周縁部で葉鞘の着生部

位付近で結合連絡するが,茎の内部に入るにしたがってその位置は漸次下方に移行し,中心部で最も

下降する。

(2)節網維管束

熊沢70)はトウモロコシの葉節部にみられる複雑な網状の横走する維管束を節網維管束Nodalplexus と呼んでいるが,廿蕨の茎を解剖的にみると,側芽の着生する節部には横に走るいわゆる節網維管束 が発達する。節網維管束は節部において葉跡条が茎中に走入し,縦走維管束が上下相互に連絡する部 位よりも上方に分布するが,その発達の程度は節位によって著しく異なる。

aFsectionによると,節網維管束は芽の着生する側から茎の中心部を通り,反対側の周縁部に及ぶ が,若い節位は内部への走入程度が浅く,芽の中心部から反対側の周縁部にかけての発達が悪い (P1atelFig、3,Fig.4,P1atellFigl)が,発育の進んだ+5節以下の節位では節部の全面にわ たって分布する(PlatellFig、4,P1atelllFig、4)。また,節網維管束の分布の層(垂直分布)は 側芽の着生側では厚く,茎の内部へ入って芽の位置から遠ざかるにしたがって薄くなるが,若い節位 では特に両部位における発達の差が著しかった。.

b-sectlonをみると,+3節では節網維管束の発達がきわめて 不充分で主として茎の中心部に多く分布するが(PlatellFig2),

+5節以下の節位では両側の周縁部に達し,節部の全面にほぼ一 様に分布する(P1atellFig,5,P1atelllFig,2,F19.5)。節 網維管束の発生時期についてはなお詳細な調査が必要であるが,

本実験では最上位抽出葉の着生する節位(+1節)よりも2つ上 位の節に初めて節網維管束が認められ,髄走条よりもおくれて発 生した。トウモロコシにおいては不定根,または側枝をそなえな い節位でも大型の葉器を着生する節には必ず節網維管束が分布す る70)というが,廿蒔の場合は側芽の着生しない幼植物の基部の節 には節網維管束が発達しなかった。PlateVFig、4をみると幼廿 蕨で初めて芽の着生する節,すなわち初生芽節位は第6節であり 第5節以下には側芽が存在しないが,節網維管束は第6節以上の 節部には既に発達しているにもかかわらず,側芽の着生しない下

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第35図梢頭部の2L-section

位節ではその発達がみられなかった。また,穂が充分に生長したFig.35.Longitudinalsection

後に出穂茎の側芽の着生しない花葉節について調査した結果はofthecanestemnear P1ateVFigl,Fig.2,Fig.3に示すとおりで,節網維管束の thegrowingpoint.

宮里:廿蕨の初期生育相に関する研究 51

発達が認められず,髄走条の発達もきわめて悪かった。

廿蕨の側芽は1節に1芽あて着生するのが普通であるが,

双芽の節もしばしばみられる(P1atelXFigB)。双芽の着生 する節の横走する維管束の発達をN-sectionおよびc-section で示したのがPlatelXのFig.4,Fig.5であるが,維管 束はそれぞれの芽を中心にして比較的均等に分布走向してい

るのがみられる。また,PlatelXFig、1は地上部で枝分か

,{i1ii1蕊1,

--'ゾーーハン⑭し~。-ノー,ユ…し‐▲△エユ遇・▲VJJ孔u-EpPご/T又フワー刀】 第36図双芽節のN-section

れした蕨茎を示したが,その節部における維管束の発達をFig.36.Crosssection

c-sectionでとらえたのがFig.2である。 oftwinbuds・

以上のように節部の1つの横断および縦断切片をみると,節網維管束は断続しているが,充分に発 育をとげた節ではこれら瀞すべて連続しており,基本組織中を不規則に走っているものと考えられる。

更に廿蕨の側芽の基部に発達する維管束をみると,蕨茎の発育にともなって側芽の着生部から次第 に茎の内部へ走入するが,その走向はaFsection(PlatelVFig、1,Fig.2)およびc-section(Plate lVFig、3)で明らかのように側芽を中心にしてほぼ放射状に走向分布する。

第3節考察

稲について猪ノ坂46)は,分けつ前葉の維管束が主稗中へ向基的に発達し,ほぼ同時期に発達する合 成維管束や辺周部維管束と連絡し,また,主桿の大維管束との連絡は節網維管束の発達にともなって 完成されると報じ,川原58)も同じく稲で,節の上部において茎内に侵入した分けつの維管束が節網維 管束と結合して横走し,その分けつの着生している側の茎内縦走維管束と連絡することを認めている。

熊沢71)はトウモロコシについて側芽の維管束が主軸中へ向基的に発達することを報じている。

廿蕨の場合にも側芽の維管束は節の発育にともなって漸次,芽の着生部位から茎の内部へ発達する

のが認められる。

熊沢70)によればトウモロコシにおいては側芽または不定根を有しない節でも大型の葉器の着生する 節には必ず節網維管束が存在し,節部において一様に分布し,他の維管束を横に連絡する役目を果し ているという゜山崎'25)は水稲分けつの発生発育の組織学的研究により,外部条件は分けつ芽の発生に 対して何らの影響も及ぼさないことを明らかにし,猪ノ坂46)はその一因として分けつの発育にともな

う維管束の発生による主桿との相互連絡を上げている。

本実験の結果によると,廿蕨の節網維管束の発達は節の老若と密接な関係があり,若い節では発達 が悪く,節の発育につれて発達が良好となり,最上位抽出葉から数えて下位の第5節あたりで完成さ れる。しかも節網維管束の完成する節位が,ほぼ同時期に採取した1節苗の発芽生長の良好な節位と 一致することからみると,節部における節網維管束の発達の程度および維管束相互の連絡の良否は蕨 苗の初期生育の良否と密接に関連のあることが考えられる。また,幼廿薦の基部の数節は葉身を欠く

りん片が着生し,側芽を有しないが,節網維管束は初生芽節位よりも上位の節で発達し,それ以下の 無芽節には認められず,更にまた,出穂茎の花葉節にも節網維管束の発達しないことなどからみて,

廿薦の場合には節網維管束の発達が側芽の有無と無関係とは考えられない。

このように,イネ科植物の節部において網目状に横走し,他の維管束間の横の連絡をつかさどって

いると考えられる節網維管束が,廿薦の場合には側芽の着生する節にのみ発達し,しかも節の発育程

度によってその発達に差異の生ずることは蕨苗の素質の良否を決める上から重要な意義をもつものと

考えられる。廿蕨の普通の節には葉および芽が着生し,根原基を有し,従って切断された蕨苗は節部

から芽が伸長し,薦苗根が出現する。立毛廿薦では分化生長しつつある器官への養水分の転流は主と

して縦走維管束によってなされるが,切断された薦苗の場合には節部の措定する維管束が大きな役割

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