根
10
11k 10
5
0 0
01230123
分けつの抽出薫位 分けつの抽出葉位
第25図出現位置の異なる分けつの発根数(10個体当たり)
Fig.25.Numberofrootsoftillersshootedondifferentposition.
(10plants)
実験結果
主茎における内外別の節間長および根数は第27図のとおりである。第25表には抜き取り当時の地
上部の生育状況を示した。第27図によって節間長をみると,第9節間までは外側の伸長が増大し,特に第5節間ないし第7節
間では内外の差が著しかった。第10節間以後の伸長には差がみられず,ほとんど同じ長さであった。
琉球大学農家政工学部学術報告第12号(1965)
34
J~処、「フミE]
第25表地上部の生育状況 卜
Table25.Shootlengthand numberofleaves.
分けつ位、l瀞)抽出葉数",
11.8 6.0 5.6 177.2
116.2 134.7 主茎
8号分けつ 9号分けつ Note:(1)
(2)
(3)
Tilleringloci・
Shootlength
Numberoffoliageleaf
ofvisibledewlap. 第26図湾曲した茎の調査部位 Fig.26.Diagramshowingpartsofinvesti‐
gationonthebendingstem.
]|の節問長 m-O
内伯11の目ロ間逼 外イ目11のホ艮忍 フコィFlllの板遡
根
0節
数 問
5 長
3789叩
節位
第27図主茎の湾曲が節間伸長および根数に及ぼす影響 Fig.27.Theinfluenceofstembendingontheelongationof
internodesandnumberofroots.(Mainstem)
茎根は外側では第4節,内側では第6節に初めて出現し,節間の短い内側では発根節位が上昇した。
発根数は第7節までは節間伸長の著しい外側で増加するが,節間伸長に差のみられない第9節以後に おいては内側の根数が増加し,1株の総根数も内側で多かった。第9節以後の節間長は内外別の差が みられないにもかかわらず,内側で発根数が増加するのは分けつの発達と密接な関係があるものと考
えられる。
地下部の湾曲した分けつ茎の内外別の節間長および発根数を8号分けつおよび9号分けつについて
示したのが第28図である。
宮里:廿薦の初期生育相に関する研究 35
2 lnrn
節間
5
根
数
長
3 15m、
内|則の根弼 10
根2
問
数
5長
第28図分けつ茎の湾曲が節間伸長および根の発達に及ぼす影響 Fig.28.Theinfluenceofstembendingontheelongation
ofinternodesandnumberofroots.(Tillers)
分けつ茎は主茎に比べて湾曲の程度が著しいために節間長は比較的高節位まで内外別の差があらわ れた。茎根は8号,9号の両分けつとも茎の外側では第5節,内側では第6節から出現を初め,内側 の発根節位は上昇し,主茎と同じ傾向がみられた。発根数は各節位とも節間伸長の著しい外側の節で
増加した。
このように主茎および分けつ茎は地下部の湾曲によって茎の外側と内側で節間伸長が異なり,根の 発達も茎の湾曲によって著しく左右されることが明らかとなった。
第3節考察
主茎の伸長は第2葉抽出期までは急速に行なわれるが,第4葉,第5葉の抽出期にはおとろえ,第 6葉期以後,再び盛んになった。草丈の伸長が第4~第5葉抽出期に一時抑制されるのは次の理由に よるものと考えられる。すなわち,分けつは主茎の第2葉抽出期から伸長を開始するが,第4,第5 葉抽出期になるとその数が増加し,その一部は急速に伸長するために,分けつの生長に多くの養分が 用いられるようになる。他方,根の発達をみると蕨苗根の出現は第2葉抽出期までにほとんど終了し,
それ以後の増加はみられず,機能は生育が進むにつれてむしろ減退するものと考えられ,また,主茎
36 琉球大学農家政工学部学術報告第12号(1965)
根は第2葉抽出期に出現を初め,第4~第5葉抽出期まではその数も少ないが,第6葉抽出期になる と約20本に達し,分けつの根数もその時期以後において急増する。これらの点から考えると,主茎 の生長が主として苗の貯蔵養分にたよっていた時期から独立栄養をいとなむ時期への転換期に当たる のが第4~第5葉抽出期であり,もし発芽生長にともなって主茎の根が第1節から逐次出現し,蕨苗 の貯蔵養分が消費しつくされ,蕨苗根の機能が低下するころには独立しうる程度に茎根が発達してお れば草丈も正常に伸長することが可能であろうが,廿薦においては主茎の下位節には全く根が出現せ
ず,第4節ないし第7節の根もきわめて少なく,従って茎根の発達が比較的おそいために独立栄養へ
の転換が円滑に行なわれず,その結果として草丈の伸長が一時抑制されたものと考えられる,もちろ ん,伸長抑制の程度は蘇苗の貯蔵養分量,蕨苗根の寿命,主茎根発達の遅速および分けつ出現の多少 などによって左右されるであろう。廿蕨の分けつは主茎の地下部の葉鞘を破って出現し,初めて側芽の着生する節位,すなわち分けつ の出現可能な節位が一定でなく,更に下位分けつが必ずしも強力に伸長しないために生育中に分けつ の出現節位を確認することは困難である。従って分けつ節位の調査は掘り上げて後になされるが,
Barber24)は広範な研究により,主茎の記号をα,第1次分けつb’第2次分けつc…・とし,1株内 の分けつ数を分けつ次位別の本数によって,α+36+30.…で表わしている。しかし,この方式では 次位別の分けつ数は明らかにされるが,出現節位を知ることは不可能である。筆者は廿蕨においても 片山弱)の水稲についての方式に準じて分けつの識別を行なった方が便利であると考えて一つの試案を 提出した。
水稲についての研究によると,分けつ芽の発生に対しては外部条件が何らの影響をも及ぼさないこ とが明らかにされている94,100,125)が,形成された分けつ芽の発育は外部条件に左右され,`),茎部の窒 素濃度と葉鞘部の炭水化物の茎部への移動とが相互に関係して分けつが伸長し'05,106),窒素およびリ ン酸の欠乏期間の長短は分けつ芽の発育ならびに分けつ節位に影響を及ぼし'06),葉身の剪除は分け つ伸長の力源としての炭水化物の生産を低下させるために分けつの伸長が抑制され,出現が遅延す る92)ことなどが報じられている。更に,猪ノ坂46)は水稲において,〃葉からP32を吸収させると〃葉 の節の分けつよりも("-1)葉の節の分けつへ移行することを認めている。
Dillewijn24)によると蕨苗の発芽を支配する内的要因は主として水,養分および生長調節物質であ り,分けつは光線の強弱によって伸長が左右され,窒素およびリン酸の量によってその数が決定され るという。本実験の結果によると主茎の側芽は普通,第6節ないし第8節に初めて着生し,それ以下 の節に存在しないので分けつの出現可能な節位は第6節より上位になるが,既に形成されている第6 節の側芽が分けつ茎として伸長することが出来ず,第7節の側芽も生長して地上部に出現し得ないも のがあり,たとえ出現してもその後の伸長が上位節位の分けつに比べて漸次おとるようになり,下位 分けつが必ずしも強力に伸長しなかったが幼廿蕨のりん片はわずかに地上部に抽出する程度に伸長 し,それ以下のりん片は地中に埋まり,また,りん片につづく上位の完全葉も葉身が比較的短かいた めに葉で合成されて分けつ芽に移行すべき養分がきわめて少ないことが考えられ,第6節または第7 節以下の節間が著しく短かいために分けつ芽の生長に悪影響を与え,更に6号分けつの伸長すべき時 期は主茎の第2~第3葉抽出期であるが,その時期における主茎の根数はわずかに数本で分けつを養
う余力のないことなどのために下位分けつの生長が抑制されたものであろう。
水平植で蕨苗の芽を上方に向けると,主茎の両側に出現する分けつは均一な生長をとげるが,芽を 側方に向けた場合には,たとえ同位分けつであっても主茎の外側に出現する分けつは伸長が盛んであ る。主茎の分けつ節の節間は蕨苗側では圧縮され,外側では伸長しているが,外側で節間の伸長して いることが分けつの生長に好条件を与えていること,内側に出現する分けつは主茎および蕨苗によっ て根の発達が阻害されるが,外側はspaceが広いので根の発達が良好であること,更に,外側の分け
宮里:甘藤の初期生育相に関する研究 37
つは茎の外側の節間が著しく伸長し,発根に好条件を与えていることなどのために出現位置によって 分けつの生長に差を生じたものと考えられる。このように分けつが,出現位置によって茎の地下部の 湾曲程度が異なり,根の発達および草丈の伸長に差を生ずることは栽培技術の改善を図る上から注目 すべき点であろう。
第4節摘要 生育初期における廿蕨諸器官の発育経過を調査し,次の結果を得た。
(1)りん片数は採苗節位をそろえた標準栽培においては変異が少なく主茎で約8枚であった。生 育条件の不良な時は完全葉への発育がおくれてりん片数が増加し,また,野生の近縁種では栽培品種
よりも少なかった。
完全葉の伸長経過はS字型の'11]線を示すが,同伸葉の数は水稲とことなり6枚ないし7枚であった。
出葉期は〃=α+b〃であらわされ,その周期bは5.4日ないし5.7日であったが,完全葉の下に数枚 のりん片が着生するために常数αの値は大きかった。
(2)初めて側芽の着生する節位,すなわち初生芽節位は主茎,分けつともに第6節ないし第9節 (平均第7節)であり,それ以下の節には側芽が着生しなかった。初生芽節位は生育条件によっても変 動するが,りん片数に比べて変異係数が小さかった。また,近縁種のりん片数は栽培廿蕨と大差がな かった。初生芽節位と最上位りん片の着生する節位との間には高い相関がみられ,初生芽は最上位り ん片よりも1つ下位の節に着生した。
(3)蕨苗根は挿苗後2週間ないし3週間で出現を終り,2節苗では上位節よりも下位節の根数が 著しく多かった。
(4)主茎の根は第4節または第5節から出現をはじめ,それ以下の節には発根しなかった。主茎 根の数は蕨苗根の出そろう時期には3本ないし4本であった。その後,発根の節位は次第に高くな り,根数は抽出葉が1枚増えるごとに約4本の割合で増加した。また,主茎の根は隣接する分けつ茎 および蕨苗によって伸長が阻害され,従って分けつの出現する垂直平面と直角の方向への発達が著し かった。
分けつ茎の根は主茎の第4葉抽出期に,通常,第4節から出現しはじめ,高節位になるにつれて発 根がおくれた。また,同位分けつであっても蒔苗と主茎の間に出現する分けつは根の発達が著しく悪 かった。
湾曲した主茎および分けつ茎の地下部は茎の内側と外側で節間の伸長が異なり,発根数にも差を生 じた。
(5)主茎の第4葉ないし第5葉抽出期は,苗の貯蔵養分にたよっていた生長が独立栄養をいとな む時期への転換期に当たり,また,分けつの一部zl)そのころに急に伸長するために主茎の草丈の伸長 は一時抑制された。
(6)分けつの表示法として水稲の方式に準じて一つの試案を提出した。分けつの出現可能な最低 の節位は第6節であったが,下位の分けつは出現し得ないか,たとえ出現伸長しても生育後期になる につれて生長がおとろえた。また,分けつの生長は出現位置によって異なり,同位分けつであっても 内側に出現するものは伸長が悪かった。
(7)りん片数および初生芽節位は主茎,分けつともに個体によって差を生じ,下位分けつが必ず しも強力に伸長しなかったために生育初期における完全葉数は主茎と分けつとの間に一定の関係が認 められなかった。