1.調査の概要
(1)アンケート調査の対象
432マンションのうち、平成25年度竣工の18件を除く、414マンション(管理組合)
(2)アンケート調査の回収率
今回の調査及び同種調査の調査対象マンション数と回収率は次の通りである。
調査名 実施主体 実施年 対象数 回収数 回収率 千代田区マンション実態調査 まちみらい
千代田 平成25年 414 250 60.4 分譲マンション実態アンケート 同 平成20年 388 121 31.2 分譲マンション再生支援調査 同 同 388 93 24.0 東京都マンション実態調査 東京都 平成24年 53,213 9,076 17.1 豊島区分譲マンション実態調査 豊島区 平成23年 796 329 41.3 江東区分譲マンション実態調査 江東区 平成21年 925 440 47.6 マンション総合調査 国土交通省 平成20年 4,522 2,167 47.9
(3)アンケート回答者
①今回の調査の回答者の約7割は管理会社の社員(管理員を含む)である。
②東京都マンション実態調査によれば管理会社への業務の全部委託が 72.5%、一部委託 の17.7%を含めると90%超のマンションが管理会社に業務を委託している結果となっ ている。また(一社)マンション管理業協会のデータでも、全国のマンションの約9 割は同協会の会員社が業務を受託しているとの結果である。
さらに管理組合の理事長等の役員が1~2年で交代するマンションも多く、理事会の 開催回数が少ないため、自分たちのマンションの建物・設備の状態や管理実務の具体 的内容まで詳しく把握していないことも多い。
③今回の調査では調査対象マンション414棟の60.4%にあたる250棟から回答を得るこ とができた。これは調査実施にあたり、(一社)マンション管理業協会の協力を得たこ との成果である。
④このようにマンションの管理組合を対象とするアンケート調査としては、高い回収率 となり、管理についての実態を把握することができた。
(その半面、現状についての評価等については、管理組合役員や区分所有者の意見が 十分に反映されていない可能性もあるので、引き続き調査をしていくことが必要で ある。)
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2.アンケート集計結果
【特記事項】
※ 参考資料
「千代田区住宅白書」平成25年3月 (千代田区)
「第39回千代田区民世論調査」平成24年10月 (千代田区)
「千代田区ホームページ」(千代田区)
「国勢調査」平成22年 (総務省統計局)
「東京都マンション実態調査」平成25年3月 (東京都都市整備局)
※ グラフ等については、一部を除きアンケート調査票の回答記載順に並べ表記した。
※ 「アンケート調査票」は参考資料参照。
問1 マンションの概要について
・第1章「千代田区の住宅とマンションの概況」参照。
問2 住戸の利用形態について
区分所有者のみ 4 1.6%
賃借人のみ 20 8.0%
事務所・店舗のみ 3 1.2%
区分所有者と賃借人 57
22.8%
区分所有者と賃借 人と事務所・店舗
75 30.0%
不明・その他 91 36.4%
住戸利用形態(N=250)
・「賃借人のみ」と「事務所・店舗のみ」があわせて9.2%である。
・「区分所有者のみ」は1.6%となっている。
・「不明・その他」が 36%を占めているが、管理組合・管理会社で住戸の形態を把握で きていないことがわかる。
・多様な利用がされているマンションが多いことは、管理や施策のありかたにも影響す る。建物の形態はマンションで管理組合もあるが、事務所・店舗だけの場合は、住宅政 策、居住支援の対象外となる。今後、何らかの対応は必要である。
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住戸利用形態 麹町 富士見 神保町 神田
公園 万世橋 和泉橋 総数
区分所有者のみ 2 2 0 0 0 0 4
賃借人のみ 0 0 3 3 2 12 20
事務所・店舗のみ 2 0 0 0 1 0 3
区分所有者と賃借人 30 6 4 8 4 5 57
区分所有者と賃借人と
事務所・店舗 32 16 10 2 7 8 75
不明・その他 33 17 9 6 5 21 91
合計 99 41 26 19 19 46 250
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
4.9%
2.0%
26.1%
10.5%
15.8%
11.5%
0.0%
0.0%
0.0%
5.3%
0.0%
0.0%
0.0%
2.0%
10.9%
21.1%
42.1%
15.4%
14.6%
30.3%
17.4%
36.8%
10.5%
38.5%
39.0%
32.3%
45.7%
26.3%
31.6%
34.6%
41.5%
33.3%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
和泉橋 万世橋 神田公園 神保町 富士見 麹町
住戸利用形態 地域別(N=250 )
区分所有者のみ 賃借人のみ
事務所・店舗のみ 区分所有者と賃借人 区分所有者と賃借人と事務所・店舗 不明・その他
・住戸の利用形態を地域別にみると、区分所有者のみが利用しているマンションがある のは麹町地域と富士見地域だけである。その一方で麹町地域と富士見地域には賃借人の みのマンションは皆無である。なお、麹町地域には事務所・店舗のみのマンションが2 棟ある。
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あり 50 20.0%
なし 65 26.0%
不明 117 46.8%
未回答 18 7.2%
3ヶ月以上の空住戸(N=250)
8.7%
10.5%
0.0%
30.8%
26.8%
25.3%
19.6%
36.8%
26.3%
11.5%
29.3%
29.3%
69.6%
52.6%
73.7%
53.8%
36.6%
32.3%
2.2%
0.0%
0.0%
3.8%
7.3%
13.1%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
和泉橋 万世橋 神田公園 神保町 富士見 麹町
3ヶ月以上の空住戸 地域別(N=250 )
有り 無し 不明 未回答
・3ケ月以上の空住戸があるのは20%である。
・空住戸の有無が不明も46.8%と半数近くある。
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3ヶ月以上の空住戸 麹町 富士見 神保町 神田
公園 万世橋 和泉橋 総数
あり 25 11 8 0 2 4 50
なし 29 12 3 5 7 9 65
不明 32 15 14 14 10 32 117
未回答 13 3 1 0 0 1 18
合計 99 41 26 19 19 46 250
・地域別にみると「あり」か「なし」かの回答が多いのは、麹町地域と富士見地域であ る。管理組合や管理会社が住戸の状況を比較的よく把握していることが分かる。
・和泉橋地域と神田橋地域は「不明」と「未回答」があわせて70%を超えている。
・住戸(専有部分)の利用状況を把握していない管理組合や管理会社が多いことは、今 後の施策を考えるうえで重要な課題の一つである。
・居住世帯のない住宅(空き家)の増加が地域社会に与える影響は大きい。マンション の場合、空き家は住戸内の状態が外部から分かりにくいだけに、管理にも悪影響を及ぼ す可能性がある。
(参考※)千代田区住宅白書より 空き家の状況
空き家率は、平成 10 年の16.7%から拡大しており、平成 20 年には 25.8%となって います。特別区部や東京都の空き家率を見ると、平成10 年以降大きな変化はなく、概 ね 11%前後で推移しており、平成 20 年現在の千代田区の空き家率は、特別区部や東 京都の倍以上となっています。
空き家の腐朽破損の状況
活用可能な空き家の割合について、空き家の腐朽破損の状況によって確認すると、平成 20 年現在、空き家の 92.0%は腐朽破損なしとなっており、東京都(82.1%)や特別区 部(83.3%)よりも腐朽破損のない空き家の割合が1割程高い状況です。
32 問3 住民登録・高齢者・要援護者・小学生以下など
7割以上 31 12.4%
5割以上 16 6.4%
5割未満 21 わからない 8.4%
175 70.0%
未回答 7 2.8%
住民登録世帯割合(N=250)
・住民登録をしている世帯が「5割以上」は合わせて 18.8%で、「5割未満」は 6.4%
である。
・何割程度の世帯が住民登録をしているか「わからない」のは70%以上である。
・区分所有者と居住者は住民登録の有無を管理組合に届ける義務はないため、「わから ない」が多いのは現状ではやむを得ないといえる。
・住民登録をしている世帯の割合を把握している管理組合(管理会社)は、それだけ居 住者との係わりが深いといえる。
33
あり 92 35.8%
なし 12 4.7%
不明 138 53.7%
未回答 8 3.1%
未回答 7 2.7%
高齢者を含む世帯(N=250)
あり 69 75.0%
なし 6 6.5%
不明 14 15.2%
未回答 3 3.3%
高齢者のみの世帯(N=92)
・高齢者を含む世帯が「あり」は35.8%、「なし」は4.7%である。
・不明が53.7%にのぼる。
・高齢者を含む世帯が「あり」と答えたマンションは、具体的内訳も把握していること が多い。高齢者のみの世帯があるマンションは75%である。
34
あり 16 6.4%
なし 46 18.4%
不明 169 67.6%
未回答 19 7.6%
要援護者を含む世帯(N=250)
元気な高齢者も多いため、65歳以上であるかどうかを判断することは難しいが、「高齢 者を含む世帯」が「あり」か「なし」かは、ある程度、居住者に気を配っていれば分か るはずである。個人情報保護との関係で、管理組合・管理会社が居住者の暮らしに関与 しない傾向があることが読み取れる。
(参考※)千代田区住宅白書より 千代田区全体の高齢者世帯
千代田区の高齢者のいる世帯の割合は、高齢者単身世帯(9.7%)、高齢夫婦世帯(6.6%)、
その他の高齢者のいる世帯(9.3%)である。
・要援護者を含む世帯が「あり」は6.4%、「なし」は18.4%である。
・不明と未回答があわせて75.2%である。
・管理組合と管理会社が把握できていないことが推測できる。
・要援護者支援についての千代田区の施策を理解していない管理組合と管理会社が多い ことが推測できる。
35
あり 71 28.4%
なし 35 14.0%
不明 129 51.6%
未回答 15 6.0%
小学生以下の子供がいる世帯(N=250)
・小学生以下の子どもがいる世帯が「あり」は28.4%、「なし」は14%である。
・不明と未回答はあわせて60%近くである。
(参考)千代田区ホームページより
平成26年1月1日現在、千代田区の12歳以下の子どもは5,424人で、総人口51,703 人の10%以上である。
36 問4 共用施設・設備
13.6%
86.4%
82.8%
25.6%
68.0%
82.8%
0.4%
14.4%
88.4%
0.0%
92.4%
85.6%
13.2%
15.6%
67.2%
29.6%
14.8%
97.6%
83.2%
8.8%
97.6%
4.8%
0.8%
0.4%
1.6%
7.2%
2.4%
2.4%
2.0%
2.4%
2.8%
2.4%
2.8%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
集会室等の共用施設 管理員室・管理事務所 管理組合専用郵便受け 共用部バリアフリー 玄関のオートロック インターネット設備対応 太陽光発電 防災備蓄倉庫 ゴミ集積場 子供の遊び場、キッズルーム 掲示板等
共用施設・設備 普及率( N=250)
あり なし 未回答
・掲示板、ゴミ集積所、インターネット設備対応、管理組合郵便受け、管理員室等が 80%以上に普及している。
・太陽光発電が「あり」は0.4%(1件)に過ぎない。また、子どもの遊び場、キッズ ルームが「あり」は皆無である。
・共用部分のバリアフリーが「あり」は25.6%、「なし」は67.2%である。今後、高齢 者が増えるなかで共用部分のバリアフリー化は重要な課題である。
・玄関のオートロックシステムが「あり」は68%、「なし」は29.6%である。パニック オープンの仕組みはオートロックの約40%で導入されている。
・防災備蓄倉庫が「あり」は14.4%、「なし」は83.2%である。問29の回答とも関連 するが防災への取り組みが遅れていることがわかる。
・集会室等が「あり」は13.6%、「なし」は85.6%以上である。
・オートロック、インターネット設備等があるマンションが多いのは、供給時に設置さ れている場合以外でも、区分所有者の多くが日常生活に必要だと判断して管理組合が導 入したケースもあると推測できる。