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(1)アンケート調査の目的・対象

千代田区内のマンションの管理組合から管理業務を受託している管理会社を対象に、千 代田区特有のマンション管理の課題等を把握するために、アンケート調査を実施した。

(2)アンケート調査の回収率

104社に送付し48件から回答を得た。(回収率46.1%)

2.アンケート集計結果

問1 千代田区内のマンションについて、他の区・市のマンションと比べて、以下のよう な問題点があるか?(複数回答)

4.2%

8.3%

14.6%

29.2%

31.3%

33.3%

43.8%

43.8%

60.4%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70%

その他 地域や町会との関係が複雑 マンションの耐震診断が進まない 居住者の高齢化率が高い マンションの老朽化率が高い 地域や町会との関係が希薄 区分所有者同士のコミュニケーション不足 賃貸化率の高さ(区分所有者が住んでいない)

管理組合役員のなり手が少ない

●他の区・市に比べて「役員のなり手が少ない」

千代田区内のマンションについて、他の区・市と比べたときの問題点として最も多いの は「役員のなり手が少ない」(60.4%)である。これは千代田区内のマンションに限らず 各地区で見られる共通の問題であるが、他の区・市に比べて多いことは、「賃貸化率の高 さ」や「区分所有者同士のコミュニケーション不足」(いずれも43.8%)とも関係してい ると考えられる。

管理組合に対するアンケート結果にも顕著に表れているように、マンション内外のコミ ュニティ形成が遅れていることが、管理会社から見ても問題と考えていることがわかる。

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問2 今後、千代田区内のマンションについて管理会社として重要視する事業は何か?

(複数回答※3つまで)

0.0%

4.2%

10.4%

14.6%

16.7%

18.8%

22.9%

29.2%

31.3%

47.9%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60%

その他 長寿命化事業 バリアフリー化 修繕事業 リニューアル事業 住生活サービス事業 建替え支援事業 高齢者への支援事業 耐震診断、耐震改修工事 防災対策支援事業

●今後、管理会社が重視する事業は<防災と耐震>

千代田区内のマンションについて管理会社として重要視する事業として、最も多いの は「防災対策支援事業」(47.9%)、次に「耐震診断、耐震改修工事」(31.3%)、「建替え 支援事業」(22.9%)の順となっている。

ソフト事業としては、「高齢者への支援事業」(29.2%)、「住生活サービス事業」(18.8%)

が上位にある。

これらの事業は、いずれも管理組合の取り組みが遅れている分野であり、管理会社が 積極的に対応する必要性があることを示している。

113

問3 今後のマンションの維持管理や修繕等を良好に行うために、千代田区にはどのよう な支援や施策の充実が必要だと考えるか。(複数回答)

2.1%

2.1%

2.1%

8.3%

8.3%

12.5%

18.8%

22.9%

25.0%

29.2%

31.3%

33.3%

33.3%

37.5%

47.9%

0% 20% 40% 60%

その他 管理組合間、マンション居住者間の

ネットワークづくりの支援 屋上緑化など緑化支援の充実 管理マニュアルやガイドブックなど

情報提供の充実

再開発・共同建築等組織助成制度の充実 各種アドバイザー派遣制度の充実

(防災、建替え、改修・改良、耐震)

建替え支援の充実 建替え等検討調査費助成制度の充実 防犯カメラの設置費用の助成 グレードアップ等の改良工事助成の充実 長期修繕計画の策定や見直し、劣化診断への支援 大規模修繕工事費債務保証制度の充実 高齢者安心生活見守り制度の充実 耐震診断・改修への支援の充実 防災備蓄助成の充実

●千代田区への要望は、防災備蓄と耐震への支援

今後、マンションの維持管理や修繕等を行うために、千代田区で充実する必要がある と考える施策として、最も多いのは「防災備蓄助成の充実」(47.9%)、次に「耐震診断・

改修への支援の充実」(37.5%)、「大規模修繕工事費債務保証制度の充実」と「高齢者安 心生活見守り制度の充実」(いずれも33.3%)、「グレードアップ等の改良工事助成の充 実」(29.2%)、「建替え等検討調査費助成制度の充実」(22.9%)の順となっている。

管理会社としては、これらの制度の積極的な活用を管理組合に提案することで、公民 の連携による良好なストック形成につながると考えている。

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問4 今後、千代田区とまちみらい千代田に期待することや意見・要望。

・ 防災対策及び高齢者への支援事業に対する助成

・ 千代田区の居住形態はマンションが中心となっており、首都直下型をはじめとした大規 模地震の発生も危惧されることから、マンションの防災対策に関する様々な情報の発信 を期待します

・ 耐震診断等の助成支援や建替え支援のアドバイスの窓口紹介等ほしい

・ マンション居住者の高齢化による建替え等資金面での助成等対策の充実

・ 助成を受ける際の居住率の見直し、防災備蓄や AED 設置など基準を満たせないものが ある

・ 修繕積立金不足のマンションに対する助成、貸付の充実(限度額アップ)

・ 補助金制度拡充をお願いしたい

・ 管理組合の管理収支が、消費税・電気代アップなどで、組合財政がひっ迫しつつある

・ 収益増や支出削減の手法をご教授願いたい

3.管理会社に対するアンケート結果のまとめ

管理会社へのアンケート結果で注目されることは、現在の管理組合の事業のなかで不十 分な課題、遅れていることに対する懸念や問題意識を持っていることである。

第2章の管理組合に対するアンケートが示しているのは、日常的な管理については概ね 良好に行われ、管理不全やスラム化といった他の区・市で生じている問題は千代田区内の マンションではほとんど見られないことである。

その半面、管理組合運営については概して低調で参加意識も低い。コミュニティ活動も ほとんど行われていないことが浮き彫りになっている。とりわけ災害対策、防災への取り 組みが進んでいないことは憂慮される。

高経年マンションが他の区・市に比べて多いにもかかわらず、再生への取り組みもほと んど見られない。

こうした課題は、管理会社が受託し実施する日常の管理業務とは違い、管理組合や区分 所有者の主体的な取り組みがなければ進まないことである。

別の角度からみれば、現在のところ管理会社が実施している日常業務により管理状態が 概ね良好に見えるなかで、管理組合の空洞化や形骸化が進んでいることを管理会社は把握 し、将来大きな問題になることを懸念していることをアンケート結果から読み取ることが できる。

●自由回答でも、耐震化を含む防災と高齢者対応に関連する意見が多い

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