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筑波大学を対象とした経路探索の実行例

第 4 章 経路を探索する機能

4.4 筑波大学を対象とした経路探索の実行例

本節では筑波大学を例に,割増率a1, a2の算出プロセスとそれを用いた探索結果を示す.

4.4.1 割増率a1, a2の算出

4.2.4で述べた方法に従い,割増率a1, a2を求める.a1, a2の増加に伴う非主要路率と未舗 装路率の変化率が小さくなる領域を絞りこむため,a1, a2を0.3から3.0まで0.3刻みで増加 させた結果を付録C.1に示す.1.2≤a1 2.1,1.2≤a21.8の範囲内で非主要路率と未舗装 路率の変化が収まっている様子が確認できる.

そこで,この範囲内でa1, a2を0.1刻みで増加させ,より詳細に非主要路率と未舗装路率 の変化を調べた結果を付録C.2に示す.非主要路率の変化率はa1 = 1.6を超えると小さくな ることが確認できる.また,未舗装路率はa2= 1.5を超えるとほぼ変化しないことが分かる.

一方,a1, a2が大きくなるにつれて最短経路に対する推奨経路の距離比が大きくなっていくた め,a1, a2はむやみに大きい値にするべきではない.したがって,非主要路率と未舗装路率の 変化率が小さくなるときの値であるa1 = 1.6, a2 = 1.5が割増率として妥当であると判断で きる.

なお,本学の学生10名に対して,推奨経路を歩行した場合に最短経路より何分までなら 所要時間が延びることを許容できるか聞き取りにより調査したところ,平均5.4分までなら 許容できるとの結果が得られた.したがって,人間の歩行速度を5km/hと仮定すると推奨経 路と最短経路の距離差は約450mまでであれば許容される.一方,a1 = 1.6, a2 = 1.5とし たときの推奨経路と最短経路の距離差の平均は約74m,標準偏差は約104mである.よって,

a1 = 1.6, a2 = 1.5のときの推奨経路と最短経路の距離差は許容範囲内に十分収まっていると 言える.

以上より,筑波大学での推奨経路探索の際の仮想距離を求めるための割増率はa1= 1.6, a2 = 1.5を用いる.

4.4.2 探索結果の例

先述のアルゴリズムを用いて筑波大学の経路探索を行った結果の例を示す.

図4.4と図4.5に桐葉橋近辺から本部棟までの推奨経路と最短経路の探索結果を示す.最短 経路は松美上池沿いの未舗装路を通行することに対し,推奨経路はほぼ主要路のみを通行す る経路となっている.

一方,合宿所バス停から開学記念館への経路を探索すると,最短経路(図4.7)はほぼ直線 的に目的地へ向かう経路となるが,推奨経路(図4.6)は大学を循環する道路を使用して大き く迂回する経路となっており,約350mの距離差が生じてしまっている.これは推奨経路を探 索する際に先述の割増率を用いてエッジの仮想距離を計算した結果,目的地まで直線的に向 かう経路の仮想距離が大きくなってしまったことが原因である.このように,推奨経路の総 距離が最短経路より大幅に長くなってしまう場合もある.

図4.4:桐葉橋近辺から本部棟までの推奨経路 図4.5:桐葉橋近辺から本部棟までの最短経路

図4.6: 合宿所バス停から開学記念館までの推 奨経路

図4.7: 合宿所バス停から開学記念館までの最 短経路

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