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第 7 章 友人関係における動機づけと友人とのコミュニケーションとの関連

第 4 節 第 7 章のまとめ

本章では,友人関係における動機づけと友人とのコミュニケーションとの関連について 検討を行った。その際に,親密さの程度の高い友人と低い友人に分けて検討した。研究 7,

研究 8 においては,親密さの程度の高い友人を対象に,友人関係における動機づけとコミ ュニケーション,対人葛藤方略との関連を,研究 9 においては,親密さの程度の低い友人 を対象に動機づけとコミュニケーション,対人葛藤方略との関連を検討した。その結果,

親密な友人の場合,親密さを促進するようなコミュニケーションに関しては,自己決定性 の低い動機づけとの関連はほとんど見られず,自己決定性の高い動機づけである同一化が 対面や携帯(通話)コミュニケーションを促進することが明らかとなった。しかし,葛藤 場面のようなこちらの行動によって相手との親密さが左右される可能性のあるコミュニケ ーションに関しては,自己決定性の高い動機づけと自己決定性の低い動機づけの両方が異 なる影響を与えていた。同一化は,友人との葛藤時に互いにとって有益な対処方略を促進 し,取り入れは,相手から嫌われないような方略を促進し,外的は自分の意見を押しつけ るような方略が促進することが明らかとなった。

一方,親密さの程度の低い友人の場合,親密さを促進するようなコミュニケーションに 関しては,男性の場合,自己決定性の高い動機づけと自己決定性の低い動機づけの両方が 対面や携帯(メール)でのコミュニケーションとの間に関連があることが明らかとなった。

女性の場合は,自己決定性の低い動機づけと対面でのコミュニケーションとの間に関連が 見られた。そして,葛藤場面においては,自己決定性の高い動機づけとの関連は見られず,

自己決定性の低い動機づけである外的が,男性においては,相手から嫌われないような方 略を,女性においては,自己を優先するような方略を促進することが明らかとなった。

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第 3 部 全体的統括

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第 3 部では,これまでの内容についてまとめ,本論文の意義や問題点,今後の課題につ いて述べる。第 1 部では,社会調査や社会学,心理学領域の先行研究を元に日本と海外で の友人関係の違いや現代青年における友人関係の特徴を捉える上で様々な視点がありうる ことについて確認した。その上で,第 2 部において,現代青年がどのような他者を友人と して捉えているのか,どのような理由により友人とつき合っているのか,友人つき合いが 多い人と少ない人に対する対人印象について確認を行った上で,友人関係における様々な 視点を包括的に捉える枠組みとして友人関係における動機づけに着目し,友人つき合いの 多さ,精神的健康,コミュニケーションという3つの側面について検討を行った。

本論文では,従来の内面的な友人関係から表面的な友人関係への変化として友人関係を 捉えるのではなく,現代では友人の捉え方が広がっており,それに関連して,友人関係に おける多様な動機づけ存在するという観点から,現代青年の友人関係の特徴を包括的に捉 えることを目的とした。その際に,親密さの程度の高い友人だけでなく,親密さの程度の 低い友人とのコミュニケーションについても検討を行った。友人関係は,哲学からドラマ まで非常に幅広い分野で扱われてきた。中でも,心理学の領域においては,友人関係を親 密さや互恵性によって特徴づけ,友人関係を形成,維持するための要因や,友人関係の意 義,現代青年の友人関係の特徴など様々な側面について検討が行われてきた。一方で,友 人と深く関わり合うことを避ける傾向や状況によってつき合う友人を切り替える傾向など,

必ずしも親密さや互恵性のみで特徴づけることができない友人との関わり方が見出されて きている。また,日本においては,友人が意味する対人関係の範囲が広い(宮本, 2007)と いう指摘も見られる。

そこで,現代青年は,どのような他者を友人として認識しており,どのような動機で友 人とつき合っているのか,そして,友人つき合いの多さが対人印象にどのような影響を与 えるのかについて確認を行った。その上で,友人関係における動機づけに着目をし,内発 的な動機づけだけでなく外発的な動機づけと友人とのつき合いの多さ,精神的健康,親密 さの程度の異なる友人とのコミュニケーションとの関連を検討した。本研究により,従来 別個に扱われてきた内面的な友人関係と表面的な友人関係を友人関係における動機づけと いう枠組みにより包括的に捉えることが可能であること,さらに,親密な友人だけではな く親密ではない友人とのコミュニケーションについても検討を行うことの有用性について 示すことができたと考えられる。

以下,まとめと意義(第8章),および,本研究の問題点と今後の課題(第9章)として

102 述べることとする。