第 5 章 現代青年の友人や友人の数に対するイメージついての基礎的検討
第 2 節 友人数の多さに対する対人イメージに関する調査(研究 2)
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られた同性,同世代の他者」として捉え,検討を行うこととする。
48 2. 方法
2-1. 調査対象者
都内の専門学校生 46名(男性7名,女性36名,不明3名)を対象に調査を行った。調 査対象者の平均年齢は,18.8歳(SD = 1.28)であった。
2-2. 調査時期
2009年9月に実施した。
2-3. 調査内容
1)友人のイメージ:(1)あなたは,「友人の多い人」と聞いた時に,どのような人物をイ メージしますか,または,(2)あなたは,「友人の少ない人」と聞いた時に,どのような人 物をイメージしますか,のどちらか一つについて思いつく限り自由記述にて回答を求めた。
2) フェイスシート:年齢と性別についてたずねた。
2-4. 実施方法
上記の質問紙を講義中に集団で施行し,その場で回答を求め,回収を行った。なお,倫 理的な配慮として,個人の特定は行わない旨を伝え,無記名とした。また,強制ではなく,
協力するか否かは自由であること,また,回答しないことによる不利益はないこと等を伝 えた。同意を得た者のみを対象として実施した。
3. 結果
今回得られたイメージは全部で221であった。「友人の多い人」のイメージは107であり,
「友人の少ない人」のイメージは114であった。それぞれのイメージについてKJ法に準拠 して分類を行った。その際に,ポジティブなイメージとネガティブなイメージという内容 に分けた上で,それぞれ分類した。分類の結果,「友人の多い人」に対するイメージ(ポジ ティブ)に関しては,「明るい」「信頼できる」「優しい,思いやりがある」「面白い,楽し い」「人つきあいが良い」「話しやすい」「気がきく」の順に挙げられていた。「友人の多い 人」に対するイメージ(ネガティブ)に関しては,「とても親しい人が少なそう」「誰と仲 が良いのかわからない」「目立ちたがり屋」の順に挙げられていた。「友人の少ない人」に
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対するイメージ(ポジティブ)に関しては,「狭く深い友人関係」「自分の世界を持ってい る」「思慮深い」「かっこいい」「一人が好き」の順に挙げられていた。「友人の少ない人」
に対するイメージ(ネガティブ)に関しては,「暗い」「内気,人見知り」「性格悪い」「自 己中心的」「社交的ではない」の順に挙げられていた(Table 5.3)。
カテゴリー 度数
明るい 23
信頼できる 12
優しい,思いやりがある 12
面白い,楽しい 10
人つきあいが良い 8
話しやすい 8
気がきく 4
とても親しい人が少なそう 1 誰と仲が良いのかわからない 1
目立ちたがり屋 1
狭く深い友人関係 12
自分の世界を持っている 2
思慮深い 1
かっこいい 1
一人が好き 1
暗い 18
内気,人見知り 18
性格悪い 14
自己中心的 11
社交的ではない 9
Table 5.3 友人の数に対するイメージ
ネガティブ 友
人 が 多 い 人
友 人 が 少 な い 人
ポジティブ
ネガティブ
ポジティブ
4. 考察
分析の結果,「友人が多い人」のイメージにおいては,「明るい」「信頼できる」「優しい,
思いやりがある」といったポジティブなイメージが多く挙げられていた。一方,「友人が少 ない人」のイメージにおいては,「暗い」「内気,人見知り」「性格が悪い」といったネガテ ィブなイメージが多く挙げられていた。
本研究において多く挙げられていたイメージは,パーソナリティの 5 因子モデルの外向
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性,調和性,誠実性に対応していると考えられる。5因子モデルは,特性論の立場から,個 人の嗜好,感情,行為の典型的なパターンに基づいて人への理解を試みる考え方である
(Carver, 2010)。外向性(extroversion),調和性(agreeableness),誠実性(conscientiousness), 神経症傾向(neuroticism),経験への開放性(openness to experience)の5つから構成されて おり(Nettle, 2009),これらの中でも外向性(外向性の高い人は,社交的であり,物事に熱 中しやすく,外向性の低い人は,よそよそしく,物静かである),調和性(調和性の高い人 は,共感性が高く,人を信頼しやすい,調和性の低い人は,非協力的で敵対的な傾向があ る),誠実性(誠実性の高い人は,有能で自己管理が得意であり,誠実性の低い人は,衝動 的であり注意散漫である)の3つは社会的に望ましいパーソナリティであると考えられる。
友人の数が多い人のイメージは,外向性,調和性,誠実性の高さに対応しており,友人の 数が少ない人のイメージは,外向性,調和性,誠実性の低さに対応しているようであった。
正直さや思いやり,誠実性は大学生にとって好ましいパーソナリティを表す形容詞である
(Anderson, 1968)ことを考えると,友人とのつながりの多さは,好ましいパーソナリティ を有していることを他者に認知させ,その結果,他者からの評価を高める可能性があり,
一方,友人が少ないことはあまり好ましくないパーソナリティを他者に認知させ,その結 果,他者からの評価を低める可能性があることが本研究から示唆された。
しかし,友人の数が多い人のイメージの中にも,「とても親しい人が少なそう」「誰と仲 が良いのかわからない」「目立ちたがり屋」といったネガティブな印象が挙げられていた。
そして,友人の数が少ない人のイメージの中にも,「狭く深い友人関係」「自分の世界を持 っている」「思慮深い」といったポジティブな印象が挙げられていた。友人の多さに関して,
人が円滑に関係を結ぶことができる友人の数には上限がある(Dunbar, 2011)ことを考える と,あまりにも友人が多いことは逆に,当人の不誠実さなどに繋がるのかもしれない。一 方,友人の少なさにおいても,狭くて深い友人関係という印象が多く見られていた。青年 期における友だちとのつきあい方の発達的な変化を検討した落合・佐藤(1996)において,
深く狭くかかわるつきあい方が年齢を増すにつれて多くなっていくことが示されている。
そのことを考えると,友人の数が少ないことは大学生にとってはある意味自然な状態であ り,あまりネガティブな印象を持たれないこともあると考えられる。
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