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友人数の多さが対人印象に与える影響(1)

第 5 章 現代青年の友人や友人の数に対するイメージついての基礎的検討

第 3 節 友人数の多さが対人印象に与える影響(1)

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52 2-4. 紹介文

以下の文章の後に,それぞれの条件に対応する文章が加えられていた。

「Aさんは,都内の専門学校に通っています。授業中は先生の話をちゃんと聞き,ノートも しっかりとっています。学校行事の時には積極的に行事に関わるほうです。」

1)友人数多条件(46名:男性30名,女性16名):友人もとても多く,休日にはよく友人

と一緒にいることが多いです。

2)友人数少条件(37名:男性28名,女性9名):友人はあまりおらず,休日には1人でい

ることが多いです。

3)統制条件(36名:男性28名,女性8名):友人に関する記述なし。

2-5. 質問項目

1)Aさんに対する好意度:特性形容詞対尺度(林, 1978)を用いた(20項目,7件法)。 本尺度は,人が他者のパーソナリティを判断する際に共通して用いる対人認知構造を測定 するものであり,「個人的親しみやすさ」「社会的望ましさ」「力動性」の3次元から構成さ れている(Table 5.4)。

2)友人に対する考え方 3 項目:「あなたにとって,友人の数が多いことは,どのくらい

重要ですか(以下,友人数の重要性)」「あなたには,どのくらい友人がいますか(以下,

友人数)」「あなたは,どのくらい友人との関係に満足していますか(以下,友人関係満足 感)」という 3 項目に関して,それぞれ,「1. 全く重要ではない,全くいない,全く満足し ていない」~「5. とても重要である,とてもいる,とても満足している」の5 件法で回答 を求めた

3)フェイスシート:年齢と性別についてたずねた。

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人のわるい - 人のよい なまいきな - なまいきでない 近づきがたい - ひとなつっこい

にくらしい - かわいらしい 感じのわるい - 感じのよい 親しみにくい - 親しみやすい

不親切な - 親切な 心のせまい - 心のひろい 責任感のない - 責任感のある

軽率な - 慎重な 無分別な - 分別のある 無気力な - 意欲的な 自信のない - 自信のある

短気な - 気長な 消極的な - 積極的な 非社交的な - 社交的な

恥知らずの - 恥ずかしがりの 重々しい - 重々しくない

沈んだ - うきうきした 卑屈な - 堂々とした Table 5.4 特性形容詞対尺度

個人的親しみやすさ

(α=.81)

社会的望ましさ

(α=.60)※

力動性

(α=.62)

※「短気な‐気長な」を除いて,得点を算出した。

2-6. 実施方法

上記の質問紙を講義中に集団で施行し,その場で回答を求め,回収を行った。なお,倫 理的な配慮として,個人の特定は行わない旨を伝え,無記名とした。また,強制ではなく,

協力するか否かは自由であること,また,回答しないことによる不利益はないこと等を伝 えた。同意を得た者のみを対象として実施した。

3. 結果

まず,回答者自身がもともと有している友人に対する考え方が好意度へ影響している可 能性があるために,条件間において友人に対する考え方が異なるかどうかを検討する。友 人数(友人数多条件・友人数少条件・統制条件)を独立変数,友人に対する考え方(3項目)

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を従属変数とした分散分析を行った。分析の結果,友人数の重要性(F (2,116) = 0.797 , n.s.), 友人数の多さ(F(2,116) = 1.095 , n.s.),友人関係満足感(F(2,116) = 0.686 , n.s.)の3項目全 てにおいて,条件間による得点の違いは認められなかった。よって,条件間において友人 に対する考え方に偏りはないものと考えられる。

次に,友人数(友人数多条件・友人数少条件・統制条件)を独立変数,特性形容詞対尺 度の各得点(個人的親しみやすさ,社会的望ましさ,力動性)を従属変数とした多変量分 散分析を行った(Table5.5)。なお,各得点に関して,得点が高いほど印象が良くなるように 逆転処理を行った。分析の結果,すべての得点に関して条件間による違いが有意であった

(F(2,110) = 15.72, p < .005 , λ = .48)。条件間の差が有意であったため,多重比較(Bonferroni 法)を行った。個人的親しみやすさに関して,友人数多条件(M = 5.63,SD = 0.75)は友人 数少条件(M = 4.30,SD = 0.73),統制条件(M = 4.70,SD = 0.69)よりも有意に得点が高か った(p < .001)。次に,社会的望ましさに関して,友人数多条件(M = 5.26,SD = 0.71)は 友人数少条件(M = 4.74,SD = 0.80)よりも有意に得点が高かった(p < .01)。最後に, 力 動性に関して,友人数多条件(M = 5.22,SD = 0.70)は友人数少条件(M = 4.10,SD = 0.56)

よりも有意に得点が高かった(p < .01,p < .05)。また,友人数少条件(M = 4.10,SD = 0.56)

は,統制群(M = 4.89,SD = 0.58)よりも有意に得点が低かった(p < .001)。

平均値 SD 平均値 SD 平均値 SD

個人的親しみやすさ 5.63 0.75 4.30 0.73 4.70 0.69 35.45*** 多条件>少条件 社会的望ましさ 5.26 0.71 4.74 0.80 4.97 0.69 4.93*** 多条件>少条件,統制条件

力動性 5.22 0.70 4.10 0.56 4.89 0.58 32.75*** 多条件>少条件,統制条件>少条件

*** p < .001

友人数多条件 友人数少条件 統制条件

Table 5.5 条件ごとの各得点の平均値および標準偏差(SD),F値,多重比較の結果

独立変数

F 多重比較

4. 考察

本研究の結果,当人の持つ友人の数に対する考え方に関わらず,友人数多条件が最も A さんに対する印象が良く,友人数少条件が最も A さんに対する印象が良くないことが明ら かとなった。友人数多条件を読んだ人は,Aさんに対して,個人的親しみやすさ,社会的望 ましさ,力動性が高いと判断していた。一方,友人数少条件を読んだ人は,Aさんに対して,

個人的親しみやすさ,社会的望ましさ,力動性が低いと判断していた。本研究において用 いられた人物の紹介文は,友人の数に関する記述以外では,学校に積極的に関わり,授業

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態度も真面目であるという印象を喚起するような紹介文であったため,印象としては良い と判断されやすいと考えられる。そこに,友人の数が多いという記述が加わることで,人 物の評価がさらに高まっていた。しかし,友人の数が少ないという記述が加わると,良い と判断される可能性の高い印象はあまり見られなくなり,全体的に印象が低くなることが 明らかになった。

現代青年の間では,学校の成績よりもコミュニケーションに関する能力が評価される(斎 藤, 2005)ために,他者とのコミュニケーションを円滑に行うことが重要であると考えられ る。そうであるならば,友人を多く持つことが,他者に対して自分にコミュニケーション 能力があることを示すための一つの判断材料になる可能性があり,他者からの評価が高く なれば,結果的に今後より有益な相手との関係を形成できる可能性も高まるだろう。本結 果により,現代青年にとって,友人つき合いの多さが当人の好意度を高め,友人つき合い の少なさが当人の好意度を低めることが明らかとなった。