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本件商標は、「サークライン」の片仮名文字を横書きしてなり、第69類「電気機械器具」等を指定 商品とするものである。

被告が環状蛍光燈を発売してから本願商標が登録されるまでの間はわずか半年余りに過ぎないこと、

蛍光燈という商品自体が短期間に消費されたり新品に買い替えられたりするものでないこと等を総合す れば、被告が環状蛍光燈を発売し、それが初めて取引市場に現れるようになってからわずか半年余りし か経過しない本件商標の登録当時に、本件商標がわが国において一般に環状蛍光燈を意味する普通名称 として認識されていたものとは到底認められず、「サーク」と「ライン」とを結合した造語として受け 取られるとみるのが自然である。

してみれば、本件商標は、その登録当時における取引の事情その他社会の一般通念に照らしてこれを 見るとき、指定商品に属する環状蛍光燈の普通名称に該当するとか、環状蛍光燈を直感させるとか、環 状蛍光燈の形状を暗示しているとはいえ一見して直ちにその形状を表示したに過ぎないとかを感じ取ら れるような表示方法と認めることもできないから、環状蛍光燈との関係において本件商標が特別顕著性 を欠くものとすることはできない。

したがって、本件商標は、商標法(旧法)1条2項に該当しない。

22.「セロテープ」は、指定商品「セロファン製テープ」を暗示しているとはいえ、単にその品質・形状を 表わすに過ぎないものではないとされた事例(昭和42年12月21日 東京高昭和39年(行ケ)第27 号)

本件商標は、下記のとおりの形状構成の、「セロテープ」の片仮名を左横書きしてなり、第50類

「セロファン製のテープ」を指定商品とするものである。

本件商標「セロテープ」は、少なくともその登録時においては、その指定商品である「セロファン製

テープ」を暗示するものではあっても、単にその品質・形状を表すに過ぎないものではなく、また、そ

の取引者・需要者間において一般的に普通名称として使用され、認識されていたものではなく、商品で

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ある「セロファン製粘着テープ」の商標として自他商品識別機能を失わない程度に広く認識されていた ものであって、商標法(旧法)1条2項にいわゆる特別顕著性を有していたものとみるのが相当であ る。

本件商標

23.九州西部の有明海の沿岸地方が貝柱、海苔等の粕漬けを産出することで著名であることから、本願 商標からは、上記漬け物を直感させ、その商品の産地を表示する標章であるとされた事例(昭和47 年4月18日 東京高昭和45年(行ケ)第122号)

本願商標は、下記のとおりやや肉太の楷書体で「有明漬」の漢字を縦書きしてなり、第32類「粕漬 け肉、粕漬け魚介類、野菜または果実の漬物」を指定商品とするものである。

各証および弁論の全趣旨を総合すると、九州西部で長崎、佐賀、福岡、熊本の四県に囲まれている有 明海の沿岸地方が指定商品に含まれていることの明らかな貝柱、海茸等の粕漬けを産出することで一般 に著名であることもあって、「有明」と「漬」とを結合した「有明漬」なる文字は、取引者・需要者に 有明海沿岸地方で生産される上記のような漬物を直感させ、「その商品の産地を表示する標章」である と認めるのが相当である。

したがって、本願商標は、商標法3条1項3号に該当する。

本願商標

24.「げい洲」は、広島県西北地域の旧国名であって、今なお用いられている「芸州」と、同音であ り、これに接する需要者・取引者は商品の生産地であると理解するにとどまるとされた事例(昭和 49年8月15日 昭和45年審判第5385号)

本願商標は、「げい洲」の文字を縦書きしてなり、第32類「食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、

加工食料品」を指定商品とするものである。

そこで判断するに、広島県西半部の地域は、古くより「芸州」(げいしゅう)の国名をもって呼ばれ ており、かつ、該地域は、「かき」(牡蠣)等の水産物、「うんしゅうみかん」、「なつみかん」、

「ネーブルオレンジ」、「はっさく」、「まつたけ」、「ばれいしょ」等の農林産物、「佃煮」、「菜 漬」等の加工食料品の産地としてよく知られているところである。また、一般に農林産物が一定地域の 特産物であることを表示するための一用例として、旧国名を冠して「信州りんご」、「甲州ぶどう」、

「信州そば」等の表現が用いられ、さらに、「梅干」、「するめ」、「うに」等についてそれぞれ「紀

州名産」、「長州名産」のような表示もまた普通に行われているところである。

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以上の事実よりして本願商標及びその指定商品をみると、本願商標は、「げい洲」の文字を書してな るものであって、これより生ずる称呼は「げいしゅう」であるとみられるから、広島県の西北部地域の 旧国名であって今なお用いられている「芸州」(げいしゅう)と同音であり、かつ「洲」の文字は

「州」の文字と同義語として混用されているところから、本願商標が指定商品中「芸州」と呼ばれる上 記の地域において生産される商品としてよく知られている「かき」(牡蠣)、「まつたけ」、「ネーブ ルオレンジ」、「はっさく」、「菜漬」等に使用された場合、これに接する取引者、需要者は、該商品 の生産地であることを表示する文字と理解し把握するに止まる。

してみれば、本願商標は、商標法3条1項3号に該当する。

25.商品(血圧計)の使用方法を図形をもって表示したにすぎない商標であり、商品「第10類 血圧 計」について使用しても、商品の使用方法を表示するにすぎないとされた事例(昭和53年3月27日 昭和48年審判第6426号)

本願商標は、下記のとおりの構成からなり、第10類「血圧計」を指定商品とするものである。

よって按ずるに、近時家庭で手軽に自分の血圧を計れる血圧計が市販されており、当該商品を取り扱 う業界では、簡単な操作で血圧を測定することができる器具であることを表すために、該血圧計を使用 している状態を表した人の上半身図形を普通に用いている事実がある。

しかして、本願商標は、血圧の測定器具を身に付け、該計器部を右手に有する肥満体風の男子の上半 身図形を格別に特異なものとはいえない表現で表してなるものであるから、前記の事実よりすれば、指 定商品(血圧計)に使用された場合、取引者、需要者は、該商品の使用状態すなわち使用方法を表示す るにすぎないものと理解するに止まり、自他商品識別の標識としては認識しえないと判断するのが相当 である。してみれば、本願商標は、商標法3条1項3号に該当する。

本願商標

26.「地名等は、取引に際し必要な表示であるから特定人による独占使用は公益上適当でなく、一般的 に使用されるものであるから自他商品識別力を欠く」とした事例

(昭和54年4月10日 最高裁昭和53年(行ツ)第129号)

(原審 昭和53年6月28日 東京高昭和52年(行ケ)第184号)

本件商標は、「ワイキキ」の文字よりなり、第4類「せっけん類、歯みがき、化粧品、香料類」を 指定商品とするものである。

しかし、商標法3条1項3号として掲げる商標が、登録の要件を欠くとされているのは、このよう

な商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示

として、なんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上

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適当としないものであるとともに一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠 き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである。

したがって、原審は、商品の産地、販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商 標であって、商標法3条1項3号に該当する旨を認定判断しており、正当として是認できる。

本件商標

27.「スベラーヌ」は、指定商品「滑り止め付き建築又は構築専用材料」について、商品の特性を普通に

用いられる方法で表示する標章であるとされた事例(昭和59年1月30日 東京高昭和56年(行ケ)