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本願商標「肉ソムリエ」は,本願指定役務に係る資格が,「肉(食肉)に関する専門的知識を有す る者」に関するものであるという本願指定役務の質(内容)を表示するものであるとして,商標法

LADY GAGA

55. 本願商標「肉ソムリエ」は,本願指定役務に係る資格が,「肉(食肉)に関する専門的知識を有す る者」に関するものであるという本願指定役務の質(内容)を表示するものであるとして,商標法

3条1項3号に該当するとされた事例(平成27年11月30日知財高平成27年(行ケ)第10152号)

本願商標は,「肉ソムリエ」の文字を標準文字で表してなる。指定役務は第41類「肉食を中心とす

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ることで健康を維持・促進するための肉の選択方法・肉の調理方法・肉と他の食材との組み合わせなど に関する資格検定試験の実施」等である。

「ソムリエ」の語は, 「ワインに関する専門的知識をもち,レストランなどで客の相談に応じてワイン を選ぶ手助けをする給仕人。」を意味する。そして,本件審決日以前に, 「日本酒ソムリエ」, 「野菜ソムリ エ」等, 「ソムリエ」の語の前に商品や食品等を表す語を結合した語(○○ソムリエ)は,当該商品等に ついての専門的知識を有する者を意味する語として,一般に理解されていた。さらに, 「肉」の語と「ソ ムリエ」の語を結合させた「肉のソムリエ」の語が,食肉業者間で「食肉技術専門士」の別称として用い られ,また, 「肉ソムリエ」, 「肉のソムリエ」, 「お肉ソムリエ」などの語が,食肉の選択や品質管理等に ついての専門的知識を有する者を意味する語として用いられる例も存在した。そして, 「資格検定試験の 実施」, 「資格の認定及び付与」などの役務においては, 「資格」の内容は,当該役務の質(内容)を構成 するものといえる。

そうすると,本願商標は,本件審決日当時,本願指定役務に使用されたときは,当該「資格検定試験 の実施,資格の認定及び付与,資格検定試験に関する情報の提供,資格取得に関する知識の教授」に係 る資格が,「肉(食肉)に関する専門的知識を有する者」に関するものであるという本願指定役務の質

(内容)を表示するものとして,取引者,需要者によって一般に認識されるものであって,取引に際し 必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであったものと認められるから,特定人によるその 独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに,自他役務識別力を欠く。加えて,本願商標は,標準 文字で構成されているから,「肉ソムリエ」の文字を普通に用いられる方法で表示する標章のみからな る。

したがって,本願商標は,商標法3条1項3号に該当する。

肉ソムリエ 本願商標

(標準文字)

第3条第1項第4号

56.本願商標のうち「LPガス」の部分は液化石油系炭化水素類を表示するものであるから、本願商標 の要部は「品川」の部分になり、これは氏として普通一般に使用されているものであるから、自他 商品識別力がないとされた事例(昭和42年7月31日 昭和41年審判第5240号)

本願商標は、「品川L.P.ガス」の漢字・ローマ字および片仮名文字を左横書きしてなり、第5類

「プロパンガス」を指定商品とするものである。

アルファベットの一字ないし二字が普通一般に使用されていることは、立証を待つまでもなく当業者 間に周知の事実であり、本願商標中の「L.P.」のローマ字は商品の記号として一般に使用されてい る文字であるというべきであり、また、「ガス」の文字が気体燃料として使用される石炭ガス、天然ガ ス、液化石油ガス等のガスを指称するものであることは明らかである。

また、「L.P.」の文字を一体としてみれば「Liquefied Petroleum Ga

s」の略称であって液化石油ガス(プロパン、ブタン、ブチレン等)を主成分とする液化石油系炭化水

素類を表すものであることは当業界においても顕著な事実である。

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そうしてみると、本願商標の「要部」というべき部分は「品川」の文字にあり、これが氏として普通 一般に使用されていることは東京都の電話番号簿等の刊行物の記載に徴しても明白な事実であり、本願 商標に接した需要者は何人の業務に係る商品であるかを認識できない。

したがって、本願商標は、商標法3条1項4号に該当する。

57.「チバ」はありふれた氏姓として理解し、または、容易に直感するものであるとみるのが社会通念上相 当であるとされた事例(昭和43年3月30日 東京高昭和42年(行ケ)第144号)

本願商標は、片かな文字「チバ」を左横書きしてなり、第26類「印刷物、書画、彫刻、写真、これ らの附属品」を指定商品とするものである。

ところで、本願商標「チバ」の文字は、漢字の「千葉」に通じ、漢字の「千葉」の文字はまた、片仮 名の「チバ」に通ずるので、世人は、これを、ありふれた氏姓としての「千葉」又は「チバ」を指称す るものとして理解し、または、容易に直感するものであるとみるのが社会通念上相当である(なお、

「千葉」なる氏が決して珍しくなく、ありふれた氏姓であることは、東京23区、50音別電話番号簿 に徴しても明らかである。)。しかも、本願商標は、この「チバ」の文字を格別特異と認められない書 体で現しているものであるから、これをその指定商品に使用した場合、取引者、需要者は、他の「千 葉」(チバ)の氏姓を有する者の同種商品とその出所を区別することができず、何人の業務にかかる商 品であるのかを認識することができない商標というべく、商標法3条1項4号に該当する。

58.本願商標は、著名な行政区画である「明石市」(兵庫県)を略称した「明石」の文字に商号を表す

「屋」の文字を付加してなる商号商標であり、このような商号は同市の居住者、関係者が自由に採 択使用することができるものであり、自他商品識別標識としての機能を有しないとされた事例(昭 和43年4月12日 昭和41年審判第6352号)

本願商標は、「明石屋」の漢字を縦書きしてなり、第26類「印刷物その他本類に属する商品」を指 定商品とするものである。

本願商標を構成する「明石屋」の文字は、著名な行政区画名であり、かつ有名な観光地でもある「明 石市」(兵庫県)を略称した「明石」の文字に、商号を表す「屋」の文字を附加してなる商号商標であ ることは容易に理解できるところである。そうして、このような商号は同市に居住する者、また同市に 関係のある者等が商号として自由に採択使用することができるものであるし、また、「明石」は氏姓と しても、ありふれたものであることは、例えば、東京都における電話番号簿の記載に徴しても明白であ り、これらの氏姓を有する者が、その営業の屋号として「明石屋」を採択使用することも普通に行われ るところであって、上記電話番号簿にも多数その記載があることからみても、本願商標「明石屋」はあ りふれた名称であるというを相当とするものである。

しかも、本願商標「明石屋」は、普通に用いられる方法で表示したものの範囲を脱するものとは認め られないから、本願商標をその指定商品に使用しても、取引者需要者は、他の「明石屋」なる名称を有 する同種商品とその出所を区別することができないものであって、需要者が何人の業務にかかるもので あるかを認識することができない商標と言わざるを得ない。

したがって、本願商標は、商標法3条1項4号に該当する。

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59.「株式会社」の文字は法人の企業形態を表示するもので、極めて普通に使用されているものであ り、「倉田」の氏姓がありふれたものであることよりすれば、これに接する取引者、需要者はあり ふれた名称(商号)を表示するものと理解、把握するに止まり、需要者が何人かの業務に係る商品 であることを認識することができないとされた事例(昭和48年8月17日 昭和43年審判第3878号)

本願商標は、明朝体の「株式会社」の漢字と隷書体風の「倉田」の漢字を横書きしてなり、第25類

「印刷用紙、包装用紙その他本類に属する商品」を指定商品とするものである。

よって判断するに、「株式会社」の文字は法人の企業形態を表示するもので、極めて普通に使用され ているものであり、「倉田」の氏姓がありふれたものであることは東京都における電話帳において多数 掲載されている事例に徴して認め得るところである。

しかして、本願商標は「株式会社倉田」の文字を普通に用いられる程度の書体で書してなるものであ るから、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者はありふれた名称(商号)を 表示するものと理解、把握するに止まり、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識すること ができない。

したがって、本願商標は、商標法3条1項4号に該当する。

60. 「株式会社」の文字は会社組織の一形態を表示するものであり、これにありふれた氏である「中 西」に通ずる「ナカニシ」を結合してなる本願商標は、ありふれた名称の範囲を出るものではな く、その態様も普通に用いられるものであるとされた事例(平成15年3年31日 不服2001-3676号)

本願商標は、「株式会社ナカニシ」の文字を標準文字を用いて横書きした構成よりなるところ、構成 中の「株式会社」の文字は、営利法人である会社組織の一形態であり、他方「ナカニシ」の文字は、あ りふれた氏である「中西」のカタカナ表記であることは、容易に認識されるところである。

ところで、会社の商号については、商法の規定により、株式会社の形態をとる会社は、「株式会社」

の文字をその商号中に用いなければならず、また、従来より、商号において、組織名称と、創業者や経 営者の姓氏とを結合させた構成よりなる名称が広く採択、使用されているところであり、その中にあっ て、姓氏部分を漢字以外の文字で表記し、本願商標のようなカタカナを用いて表した事例も多数見受け られるものである。

これらの事情を勘案すれば、組織名称に、ありふれた氏である「中西」に通ずる「ナカニシ」を結合 させてなる本願商標は、普通に採択され得る、ありふれた名称の範囲を出るものではなく、その態様も 普通に用いられるものというのが相当である。

したがって、本願商標は商標法第3条第1項第4号に該当するものといわざるを得ないものである。

61. 本願商標の特徴的外観からすると,商標法3条1項3号及び4号に該当するとはいえず,仮に該当する