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(特集) 「第 3 次食育推進基本計画の概要」

第2節 第3次食育推進基本計画の構成と概要

第 3 次基本計画は、平成 28(2016)年度から平成 32(2020)年度までの 5 年間を対象と する計画として作成されました。

第 3 次基本計画では、第 2 次基本計画の際にコンセプトとした「「周知」から「実践」へ」

を引き継ぎ、「「実践」の環を広げよう」をコンセプトとし、〈1〉若い世代を中心とした食育 の推進、〈2〉多様な暮らしに対応した食育の推進、〈3〉健康寿命の延伸につながる食育の推 進、〈4〉食の循環や環境を意識した食育の推進、〈5〉食文化の継承に向けた食育の推進の 5 点を重点課題として掲げました。また、第 3 次基本計画では、その内容を、「はじめに」、「食 育の推進に関する施策についての基本的な方針」、「食育の推進の目標に関する事項」、「食育の 総合的な促進に関する事項」、「食育の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために 必要な事項」の構成の中で具体的に説明しています。

(はじめに)

「はじめに」では、「食をめぐる現状」と「これまでの取組と今後の展開」について基本的な 認識を示しています。

「食をめぐる現状」では、近年の食を取り巻く社会環境の変化をはじめ、世帯構造の変化や 様々な生活状況の変化により、健全な食生活を実践することが困難な場面が増えてきている現 状に触れました。加えて、世界有数の長寿国となっている中、国民の食生活上の課題を解決す る必要があるとともに、若い女性のやせや高齢者の低栄養傾向等、健康面での問題についても 新たに触れ、子供から高齢者まで生涯にわたる健康寿命の延伸につながる取組が更に必要であ ることを示しています。また、国民の関心が高い食品の安全性についても、国民による情報の 適切な選別や活用の促進の必要性がますます高まるとともに、食料問題についても、世界全体 の問題として捉えていく必要性が生じているという、新たな認識を示しました。

「これまでの取組と今後の展開」としては、第 2 次基本計画に基づき、多様な主体と食育を 推進した結果、「食育に関心を持っている国民の割合」や「朝食又は夕食を家族と一緒に食べ る「共食」の回数」、「栄養バランス等に配慮した食生活を送っている国民の割合」、「農林漁業 体験を経験した国民の割合」、「食品の安全性に関する基礎的な知識を持っている国民の割合」、

「推進計画を作成・実施している市町村の割合」が増加するとともに、家庭、学校、保育所等 における食育が着実に推進され、進展してきた現状を評価しました。しかし、その一方で、若 い世代では、その他の世代と比べて、健康や栄養に関する意識や実践状況が悪く課題が残る 他、高齢者をはじめとする単独世帯や、ひとり親世帯、貧困の状況にある子供に対する支援が 重要な課題となっていること、食品ロスの削減等環境にも配慮する必要があること、我が国の 大切な食文化について継承していく必要があることなど、重要な課題も残されています。

こうした食育の推進の成果と食をめぐる諸課題を踏まえ、新たに平成 28(2016)年度から 平成 32(2020)年度までの 5 年間を期間とする第 3 次基本計画を作成し、食育に関する施策 を総合的かつ計画的に推進することとしています。

章食育推進施策の課題と取組(特集)「第

3次食育推進基本計画の概要」

(食育の推進に関する施策についての基本的な方針)

食育の推進に関する施策についての基本的な方針として、今回新たに設けられた 5 つの重 点課題と、第 2 次基本計画の内容を踏襲した 7 つの基本的な取組方針が掲げられています。

重点課題は、以下の 5 つです。

重点課題〈1〉若い世代を中心とした食育の推進

国民が生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性を育むためには、子供から成人、高 齢者に至るまで、生涯を通じた食育を推進することが重要です。しかし、特に 20 歳代及び 30 歳代の若い世代は、食に関する知識や意識、実践状況等の面で他の世代よりも課題が多い 状況です。

このため、若い世代を中心として、食に関する知識を深め、意識を高め、心身の健康を増進 する健全な食生活を実践することができるように食育を推進していきます。また、この世代 は、これから親になる世代でもあるため、若い世代が食に関する知識や取組を次世代に伝えつ なげていけるよう食育を推進します。

重点課題〈2〉多様な暮らしに対応した食育の推進

我が国では、少子高齢化が進み、世帯構造や社会環境も変化する中で、単独世帯やひとり親 世帯が増えており、家庭や個人の努力のみでは、健全な食生活の実践につなげていくことが困 難な状況も見受けられます。こうした状況を踏まえ、子供や高齢者を含む全ての国民が健全で 充実した食生活を実現できるよう、コミュニケーションや豊かな食体験にもつながる共食の機 会の提供等を行う食育を推進していきます。

重点課題〈3〉健康寿命の延伸につながる食育の推進

健康づくりや生活習慣病の発症・重症化の予防を推進することにより健康寿命の延伸を実現 し、子供から高齢者まで全ての国民が健やかで心豊かに生活できる活力ある社会を実現するこ とは、国が優先的に取り組むべき課題の一つです。このため、国民一人一人が生活習慣病の発 症・重症化の予防や改善に向けて、健全な食生活を実践できるよう支援するとともに、健康寿 命の延伸につながる減塩等の推進やメタボリックシンドローム、肥満・やせ、低栄養の予防や 改善等食育を推進していきます。

重点課題〈4〉食の循環や環境を意識した食育の推進

食に対する感謝の念を深めていくためには、自然や社会環境との関わりの中で、食料の生産 から消費に至る食の循環を意識し、多くの関係者により食が支えられていることを理解するこ とが大切です。また、我が国は食料及び飼料等の生産資材の多くを海外からの輸入に頼ってい る一方で、推計で年間約 642 万トンにのぼる食品ロスが発生しているなど環境への大きな負 荷を生じさせていることから、食品廃棄物の発生抑制などを更に推進するなど環境にも配慮す ることが必要です。このため、生産から消費までの一連の食の循環を意識しつつ、環境にも配 慮した食育を推進していきます。

重点課題〈5〉食文化の継承に向けた食育の推進

近年、地場産物を生かした郷土料理やその食べ方、食事の際の作法等、優れた伝統的な食文

章食育推進施策の課題と取組(特集)「第

3次食育推進基本計画の概要」

化が十分に継承されず、その特色が失われつつあります。このため、食育活動を通じて、食文 化に関する国民の関心と理解を深めるなどにより、伝統的な食文化の保護・継承を推進してい きます。

なお、これら 5 つの重点課題に取り組むに当たっては、「子供から高齢者まで、生涯を通じ た取組を推進すること」や「国、地方公共団体、教育関係者、農林漁業者、食品関連事業者、

ボランティア等が主体的かつ多様に連携・協働しながら食育の取組を推進すること」の 2 つ の視点に十分留意する必要があります。

また、基本的な取組方針について、「国民の心身の健康の増進と豊かな人間形成」、「食に関 する感謝の念と理解」、「食育推進運動の展開」、「子供の食育における保護者、教育関係者等の 役割」、「食に関する体験活動と食育推進活動の実践」、「我が国の伝統的な食文化、環境と調和 した生産者等への配慮及び農山漁村の活性化と食料自給率の向上への貢献」、「食品の安全性の 確保等における食育の役割」など 7 つの点からまとめています。

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3次食育推進基本計画の概要」

(食育の推進の目標に関する事項)

目標については、食育を国民運動として推進するためにふさわしい定量的な目標を掲げまし た。特に第 3 次基本計画では、重点課題を踏まえた目標を新たに設定し、その結果、21 の定 量的な目標値を定めています。具体的には、重点課題〈1〉若い世代を中心とした食育の推進 としては、「⑩主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を 1 日 2 回以上ほぼ毎日食べている若い 世代の割合」をはじめ、4 つの目標(図表- 42 の⑤、⑩、⑱、⑳)で国民(全世代)の実態 に加えて、若い世代についても実態を把握していくことにしています。また、重点課題〈2〉

多様な暮らしに対応した食育の推進として「③地域等で共食したいと思う人が共食する割合」

を、重点課題〈4〉食の循環や環境を意識した食育として「⑯食品ロス削減のために何らかの 行動をしている国民の割合」を、重点課題〈5〉食文化の継承に向けた食育の推進として、「⑰ 地域や家庭で受け継がれてきた伝統的な料理や作法等を継承し、伝えている国民の割合」を目 標値として新たに設定しました。

この他、これまでは生活習慣病の予防等に関して、国民一人一人の食に関する意識や実践状 況の向上を目指す目標を立てていましたが、国民が健全な食生活を実践しやすい社会環境づく りも必要であることから、健康で豊かな食生活を支える役割を担う食品関連事業者等が国民の 健康に配慮した商品やメニューづくりの推進につながるよう新たに目標(⑫食品中の食塩や脂 肪の低減に取り組む食品企業の登録数)を設定しています。

さらに、これまで知識や関心等食に関する意識に着目してきた食品の安全性や歯科保健に関 する目標についても、周知や取組が進んだことを踏まえ、行動や実践の定着につながるような 目標(⑬ゆっくりよく噛んで食べる国民の割合、⑲⑳食品の安全性について基礎的な知識を持 ち、自ら判断する国民(又は若い世代)の割合)へと変更しました。

目標及び具体的な目標値は図表- 42 のとおりです。

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3次食育推進基本計画の概要」

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