2.5.5 安全性の概括評価
2.5.5.2 第Ⅱ相臨床試験:706 試験
第Ⅱ相臨床試験の 706 試験では、VTE 0.5mg を 4 週ごとに IVT 投与する群(0.5Q4 群)、2mg を 4 週ごとに投与する群(2Q4 群)、2mg を 4 週ごとに 3 回投与しそれ以降は 8 週ごとに投与す る群(2Q8 群)、2mg を 4 週ごとに 3 回投与し、それ以降は PRN 投与する群(2PRN 群)、及び レーザー治療を 1 回実施後、16 週目以降は再治療基準に従い、レーザー治療を行う群(レー ザー治療群)の 5 群で試験を実施した。
48 週目までの VTE 群における平均投与回数は、0.5Q4 群(44 例)で 11.7 回、2Q4 群(44 例)
で 10.8 回、2Q8 群(42 例)で 7.2 回及び 2PRN 群(45 例)で 7.4 回であり、総投与量の平均値 は 5.90mg(0.5Q4 群)~21.64mg(2Q4 群)であった。
人口統計学的及びベースラインの疾患特性は、おおむね各群間で類似していた。
52 週目目までの TEAE、重篤な有害事象(Serious Adverse Event: SAE)SAE 及び注目すべき TEAE の発現頻度に VTE 群間又は VTE 群とレーザー治療群間で若干相違がみられたものの、概し て VTE 投与による一定の TEAE の発現傾向はみられなかった。1 件以上の治験対象眼の TEAE が発 現した被験者の割合は、レーザー治療群で 61.4%、すべての VTE 群を併合した VTE combined 群 で 64.6%であった。VTE combined 群で最も多く発現した TEAE は結膜出血(レーザー治療群 18.2%、VTE combined 群 26.9%)であり、次いで、眼痛(4.5%、13.7%)、眼圧上昇(2.3%、
10.9%)であり、主に注射手技と関連するものであった。1 件以上の眼以外の TEAE が発現した 被験者の割合は、レーザー治療群 75.0%、VTE combined 群 79.4%で同程度であった。VTE combined 群で最も発現頻度の高かった眼以外の TEAE は高血圧(レーザー治療群 11.4%、VTE combined 群 12.6%)であり、次いで血中ブドウ糖増加(2.3%、10.9%)、尿中蛋白/クレアチ ニン比増加(4.5%、10.9%)、グリコヘモグロビン増加(4.5%、10.3%)であった。治験対象 眼の TEAE 及び眼以外の TEAE の重症度はほとんどが軽度又は中等度であった(2.7.4.2.1.2.2 参 照)。
死亡例は 7 例に認められ、その内訳は、レーザー治療群 1 例(2.3%)、VTE combined 群 6 例
(3.4%)であり、いずれも治験薬との関連性はないと判断された。治験対象眼の重篤な TEAE の 発現頻度は低く、各 VTE 群(2.2~4.5%)に比べてレーザー治療群(11.4%)で高かった。治験 薬の投与中止に至った TEAE の発現は 8 例にみられ、レーザー治療群、0.5Q4 群、2Q4 群及び 2Q8 群に各 2 例の発現であり、いずれの群においても 2 例以上に発現した TEAE は認められなかった。
2.5.5.3 第Ⅲ相臨床試験
2.5.5.3.1 VISTA-DME 試験及び VIVID-DME 試験の併合解析
国外第Ⅲ相臨床試験の VISTA-DME 試験と国際共同第Ⅲ相臨床試験の VIVID-DME 試験では、VTE 2mg を 4 週ごとに投与する群(2Q4 群)、2mg を 4 週ごとに 5 回投与しそれ以降は 8 週ごとに投 与する群(2Q8 群)及びレーザー治療を 1 回実施後、12 週目以降はレーザー再治療基準に従い、
レーザー治療を行う群(レーザー治療群)の 3 群で試験を実施した。安全性の評価は 52 週目ま での TEAE に基づいて行った。
VISTA-DME 試験及び VIVID-DME 試験の併合解析において、52 週目までの VTE 群における平均投 与回数は 2Q4 群(291 例)で 12.0 回、2Q8 群(287 例)で 8.5 回であり、平均投与量はそれぞれ 24.0mg 及び 17.1mg、平均投与期間はそれぞれ 49.49 週及び 50.45 週であった。レーザー治療群 における偽注射又は VTE 投与の平均治療期間は 49.43 週であった。
人口統計学的及びベースラインの疾患特性は、おおむね各群間で類似していた。本試験の被験 者集団は DME を有する患者の一般的な特性を反映するものであった。
概して、眼及び眼以外の TEAE の発現頻度は VTE 群とレーザー治療群で同程度であった。治験 薬との関連性がある TEAE、重篤な TEAE、死亡及び治験薬の投与中止に至った TEAE の発現頻度は いずれも低かった。ほとんどの事象の重症度は軽度又は中等度であった(2.7.4.2.1.2.3 参照)。
なお、VISTA-DME 試験においては、本申請後に得られた 100 週目までの成績についても検討し た。TEAE が 1 件以上発現した被験者の割合は、レーザー治療群 97.4%、2Q4 群 98.1%、2Q8 群 97.4%であった。全体として、注射手技との関連性がある TEAE の発現頻度を含め TEAE の発現頻 度は各群でおおむね類似していた(2.7.4.2.1.1.4 参照)。52 週目と比較した 100 週目の TEAE の発現頻度は、いずれの群でもわずかな増加であった。治験対象眼の TEAE の発現頻度は、いず れの群も 10%程度の増加がみられたが、群間でほぼ同程度であった。
表 2.5.5-1 有害事象の要約(VISTA-DME 試験及び VIVID-DME 試験の併合解析、SAF)
Laser N=287 n (%)
2Q4 N=291 n (%)
2Q8 N=287 n (%)
VTE Combineda N=578 n (%) Number of subjects with any TEAE 258 (89.9) 261 (89.7) 258 (89.9) 519 (89.8)
Any ocular TEAE 204 (71.1) 201 (69.1) 202 (70.4) 403 (69.7)
Study eye 185 (64.5) 172 (59.1) 167 (58.2) 339 (58.7)
Fellow eye 145 (50.5) 154 (52.9) 147 (51.2) 301 (52.1)
Any non-ocular TEAE 213 (74.2) 217 (74.6) 217 (75.6) 434 (75.1)
Any drug related TEAE 8 (2.8) 24 (8.2) 14 (4.9) 38 (6.6)
Any drug-related ocular TEAE 4 (1.4) 22 (7.6) 9 (3.1) 31 (5.4)
Study eye 3 (1.0) 21 (7.2) 8 (2.8) 29 (5.0)
Fellow eye 1 (0.3) 3 (1.0) 4 (1.4) 7 (1.2)
Any drug-related non-ocular TEAE 4 (1.4) 4 (1.4) 6 (2.1) 10 (1.7) Any injection related TEAE 82 (28.6) 128 (44.0) 114 (39.7) 242 (41.9)
Any injection related ocular TEAE 82 (28.6) 127 (43.6) 114 (39.7) 241 (41.7)
Study eye 76 (26.5) 125 (43.0) 112 (39.0) 237 (41.0)
Fellow eye 28 (9.8) 37 (12.7) 28 (9.8) 65 (11.2)
Any injection related non-ocular TEAE 0 5 (1.7) 1 (0.3) 6 (1.0)
Any laser related TEAE 17 (5.9) 9 (3.1) 12 (4.2) 21 (3.6)
Any laser related ocular TEAE 17 (5.9) 8 (2.7) 12 (4.2) 20 (3.5)
Study eye 16 (5.6) 6 (2.1) 10 (3.5) 16 (2.8)
Fellow eye 2 (0.7) 2 (0.7) 2 (0.7) 4 (0.7)
Any laser related non-ocular TEAE 0 2 (0.7) 0 2 (0.3)
Maximum intensity for any ocular TEAE 204 (71.1) 201 (69.1) 202 (70.4) 403 (69.7)
Study eye 185 (64.5) 172 (59.1) 167 (58.2) 339 (58.7)
Mild 114 (39.7) 126 (43.3) 117 (40.8) 243 (42.0)
Moderate 63 (22.0) 39 (13.4) 46 (16.0) 85 (14.7)
Severe 8 (2.8) 7 (2.4) 4 (1.4) 11 (1.9)
Fellow eye 145 (50.5) 154 (52.9) 147 (51.2) 301 (52.1)
Mild 101 (35.2) 91 (31.3) 85 (29.6) 176 (30.4)
Moderate 38 (13.2) 56 (19.2) 59 (20.6) 115 (19.9)
Severe 6 (2.1) 7 (2.4) 3 (1.0) 10 (1.7)
Maximum intensity for any non-ocular TEAE 213 (74.2) 217 (74.6) 217 (75.6) 434 (75.1)
Missing 0 0 1 (0.3) 1 (0.2)
Mild 70 (24.4) 77 (26.5) 92 (32.1) 169 (29.2)
Moderate 101 (35.2) 92 (31.6) 90 (31.4) 182 (31.5)
Severe 42 (14.6) 48 (16.5) 34 (11.8) 82 (14.2)
表 2.5.5-1 有害事象の要約(VISTA-DME 試験及び VIVID-DME 試験の併合解析、SAF)(続き) Laser
N=287 n (%)
2Q4 N=291 n (%)
2Q8 N=287 n (%)
VTE Combineda N=578 n (%) Any treatment emergent SAE 78 (27.2) 76 (26.1) 72 (25.1) 148 (25.6)
Any ocular treatment emergent SAE 15 (5.2) 14 (4.8) 9 (3.1) 23 (4.0)
Study eye 12 (4.2) 5 (1.7) 5 (1.7) 10 (1.7)
Fellow eye 5 (1.7) 10 (3.4) 5 (1.7) 15 (2.6)
Any non-ocular treatment emergent SAE 65 (22.6) 67 (23.0) 64 (22.3) 131 (22.7) Any drug related treatment emergent SAE 1 (0.3) 1 (0.3) 2 (0.7) 3 (0.5)
Any drug-related ocular TE SAE 0 0 1 (0.3) 1 (0.2)
Study eye 0 0 1 (0.3) 1 (0.2)
Fellow eye 0 0 1 (0.3) 1 (0.2)
Any drug-related non-ocular TE SAE 1 (0.3) 1 (0.3) 1 (0.3) 2 (0.3)
Any injection related TE SAE 0 1 (0.3) 2 (0.7) 3 (0.5)
Any injection related ocular TE SAE 0 1 (0.3) 2 (0.7) 3 (0.5)
Study eye 0 1 (0.3) 2 (0.7) 3 (0.5)
Fellow eye 0 0 0 0
Any injection related non-ocular TE SAE 0 0 0 0
Any laser related TE SAE 2 (0.7) 0 0 0
Any laser related ocular TE SAE 2 (0.7) 0 0 0
Study eye 2 (0.7) 0 0 0
Fellow eye 0 0 0 0
Any laser related non-ocular TE SAE 0 0 0 0
Any TEAEs leading to discontinuation from the study drug
8 (2.8) 4 (1.4) 2 (0.7) 6 (1.0)
Any Death due to TEAE 2 (0.7) 2 (0.7) 4 (1.4) 6 (1.0)
Any treatment emergent APTC-classified events
8 (2.8) 9 (3.1) 10 (3.5) 19 (3.3)
a: Sum of the columns VTE 2Q4 and VTE 2Q8 through week 52
2Q4 = 2 mg VEGF Trap-Eye every 4 weeks; 2Q8 = 2 mg VEGF Trap-Eye every 4 weeks until week 16 and every 8 weeks, thereafter; AE = adverse event; APTC = Anti-platelet Trialists’ Collaboration; N = total number of subjects; TEAE = treatment-emergent adverse event; TE = treatment-emergent; SAE = serious adverse event
Source: 5.3.5.3.1 IA/Table 14.3.1/3
TEAE
VISTA-DME 試験と VIVID-DME 試験の併合解析において、1 件以上の治験対象眼の TEAE が発現し た被験者の割合は、レーザー治療群 64.5%、2Q4 群 59.1%及び 2Q8 群 58.2%であった。VTE combined 群で最も多くみられた治験対象眼の TEAE は、結膜出血(レーザー治療群 17.4%、2Q4 群 30.6%、2Q8 群 25.4%)であり、次いで眼痛(6.3%、10.7%及び 7.3%)であった。レー ザー治療群で最も多くみられた治験対象眼の TEAE は、結膜出血(17.4%)であり、次いで視力 低下(8.7%)であった。眼内炎はいずれの群においても認められず、網膜剥離は、レーザー治 療群の 1 例、2Q8 群の 2 例に認められた。1 件以上の僚眼の TEAE が発現した被験者の割合は、
レーザー治療群 50.5%、2Q4 群 52.9%及び 2Q8 群 51.2%であり、各群で同程度であった。僚眼 の TEAE で、レーザー治療群及び VTE 群で共に最も多くみられた TEAE は、結膜出血(レーザー治 療群 10.5%、2Q4 群 11.0%、2Q8 群 9.4%)であった。概して、眼の TEAE は、病態の進行又は 注射手技による事象と予測される事象であった。眼以外の TEAE で、すべての群で最も多く発現 した TEAE は高血圧(17.8%、18.6%及び 16.4%)であり、次いで鼻咽頭炎(11.5%、12.7%及 び 10.8%)であった。
治験薬との関連性があると判断された治験対象眼の TEAE の発現頻度は、レーザー治療群 1.0%、2Q4 群 7.2%及び 2Q8 群 2.8%、僚眼の TEAE ではそれぞれ 0.3%、1.0%及び 1.4%であ り、眼以外の TEAE では 1.4%、1.4%及び 2.1%であった。治験薬との関連性がある眼以外の TEAE でいずれかの群で 2 例以上に発現した TEAE は高血圧のみであり、それぞれ 2 例、1 例及び 1 例に認められた。
注射手技との関連性がある治験対象眼の TEAE の発現頻度は、レーザー治療群 26.5%、2Q4 群 43.0%及び 2Q8 群 39.0%であり、レーザー治療群に比べて 2Q4 群及び 2Q8 群の発現頻度が高か ったが、これらは注射手技に関連して発現することが想定される TEAE とほぼ一致していた。注 射手技との関連性がある治験対象眼の TEAE で VTE 群に多くみられた主な事象は、結膜出血
(レーザー治療群 16.0%、2Q4 群 29.9%及び 2Q8 群 25.1%)、眼痛(4.9%、10.0%、6.6%)
及び硝子体浮遊物(1.7%、5.2%、3.8%)であった。白内障、皮質白内障及び嚢下白内障は VTE 群のみに発現が認められ、VTE combined 群の発現頻度はそれぞれ 0.5%、0.3%及び 0.2%で あった。注射手技との関連性がある僚眼の TEAE の発現頻度は、それぞれ 9.8%、12.7%及び 9.8%であり、各群で大きな相違は認められなかった。注射手技との関連性がある眼以外の TEAE の発現頻度は低く、レーザー治療群ではみられず、2Q4 群で 1.7%(5 例)及び 2Q8 群で 0.3%
(1 例)であった。2 例以上に認められた注射手技との関連性がある眼以外の TEAE は頭痛(0 例、
2 例及び 0 例)のみであった。
死亡
VISTA-DME 試験と VIVID-DME 試験の併合解析において、52 週目までにおける死亡は、レーザー 治療群 2 例、2Q4 群 2 例、及び 2Q8 群 4 例に認められた。VISTA-DME 試験の死亡例は 3 例であり、
その内訳は、レーザー治療群 1 例(心突然死)及び 2Q4 群 2 例(心筋梗塞、死亡)であったが、
いずれも治験薬との関連性はないと判断された。VIVID-DME 試験では 5 例であり、その内訳は、
レーザー治療群 1 例(急性心筋梗塞)及び 2Q8 群 4 例(高血圧性心疾患、肺新生物、B細胞性リ ンパ腫及び肺炎、心不全)であった。このうち、VIVID-DME 試験において 2Q8 群の日本人被験者 1 例に認められた高血圧性心疾患は、治験担当医師により治験薬との関連性があると判断された。
なお、VISTA-DME 試験については、本申請後に得られた治験薬投与開始から 100 週目までの試 験期間を通して 15 例の死亡例が報告された〔レーザー治療群 3 例(1.9%)、2Q4 群 8 例(5.2%) 及び 2Q8 群 4 例(2.6%)〕。治験担当医師により治験薬との関連性があると判断された 2Q4 群の 2 例(心停止及び脳血管発作)以外はいずれも治験薬との関連性はないと判断された。心停止の 1 例は 75 歳の白人女性で、VEGF Trap-Eye の最終投与(初回投与から 657 日後)の 14 日後に発現 した。VEGF Trap-Eye の投与は 24 回受けた。心停止の原因として胃出血が疑われた。他に重篤 な TEAE は報告されなかったが、心停止の前日に治験薬との関連性はないと判断された嘔吐が認 められた。脳血管発作の 1 例は 76 歳のヒスパニック系女性で、VEGF Trap-Eye の最終投与(初 回投与から 494 日後)の 2 日後に発現した。VEGF Trap-Eye の投与は 18 回受けた。死亡診断書 に記載された直接の死因は頭蓋内出血であり、根本原因は出血性脳卒中及び高血圧とされた。死 亡に関与したその他の重要な疾患は、末期臓器障害(網膜症、腎症及びニューロパチー)を伴う 2 型糖尿病及び冠動脈疾患を伴うアテローム性動脈硬化症であった。試験 2 年目にその他の重篤 な TEAE は報告されなかった。
重篤な TEAE
VISTA-DME 試験と VIVID-DME 試験の併合解析において、治験対象眼の重篤な TEAE の発現頻度 は、レーザー治療群 4.2%であり、2Q4 群及び 2Q8 群で共に 1.7%であり、発現頻度は概して低 かった。ほとんどの事象は 1 例のみの発現であり、2 例以上に発現した事象は、レーザー治療群 の糖尿病網膜症及び網膜血管新生(各 3 例:1.0%)並びに硝子体出血(4 例:1.4%)、2Q4 群の