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A X線ビームライン・真空チェンバーのアラインメント

前章で、実験装置の説明を述べた。この章では、装置のアラインメントについて述べる。

我々は実験を行う時に、入射角等のパラメータは真空チャンバー内の02テーブルとX-Yテーブル 等によって較正する(4.2、図4.3)。ブラッグ結晶のX線反射率曲線の幅は非常に狭いので、入射ビーム の分散を考慮しても、全ての装置に於いて最低20(arc-sec)以内の精度でアラインメントできていなけれ ば、正しいブラッグ入射角を与えることができず、実験が難しくなる。

A.1 アラインメントの概要

実験を始める前に、ビームラインと真空チャンバー 1 内のアラインメントをする必要がある。アライン メントは以下の手順で行う。

1. X線発生装置からのX線は、21mビームライン中な様々な障害物に遮られ、真空チャンバーまで届 かないことがある。したがって、チャンバー内の細かなアラインメントを始める前に、チャンバーま でX線を通さなければならない。そこで、レーザーをビームに見立て、レーザーで真空チャンバー下 流側フランジの中心からX線ジェネレーターのBe窓を狙い、窓にレーザが当たればX線はビーム ライン中で遮られることなくチャンバーまで届くと判断する。これまでの経験上、Be窓に当てるこ とが出来れば、間違いなくビームはチャンバーまで到達する。ビームラインのアラインメントに関し ては、橋本康明、修士論文 [5]を参照されたい。

2. 実験は、02テーブルの回転軸上で行う。したがって、真空チャンバーまでX線が到達していた としても、ビームの範囲内に02テーブルの回転軸がなければ正しく実験を行うことはできない

2。したがって、ビームが回転軸上を通過するように02テーブルを動かして調整する。

3. ビームに対する結晶の角度はテーブルによって行う。したがって、テーブルのゼロ点が正しく決 められていないと、ビームを狙った角度で結晶に入射させることができない。したがって、我々は テーブルのゼロ点を、結晶の表面((100))がビームと平行になるところをのゼロ点と決めて、ア ラインメントを行った。

4. テーブルのゼロ点が正しく決められても、実験を行う時に結晶がテーブルの回転軸に乗っていな ければ、ビームを結晶の狙った位置に入射できないばかりか、最悪の場合結晶に当てることすらでき ない。したがって、結晶が回転軸に乗っている所をXのゼロ点と決めてアラインメントを行った。

以下にアラインメントの手順を説明する。

1真空チャンバーという表現は全てビームライン末端の大チャンバーを指す。

2真空チャンバー内で、ビームの中心から10cmでも離れれば、ビームを捕まえることはできないと考えて良い

A.2 -2 テーブルの調整

-2テーブルの調整は、レーザーをBe窓に当ててX線が真空チャンバーまで到達することを確認した 後、そのレーザーを基準として行う。

実験では、真空チャンバーのすぐ上流にある4極スリットでビームの太さを調節しながら行う。ところ が、4極スリットは片側の歯で全面を塞ぐことができない。つまり、X線はスリットを通過していても、

太さを調節できない可能性がある。したがって、確実にスリットを利用できるようにアラインメントしな ければならない。最終的にビームは4極スリットにより細くするが、その場所は4極スリットの稼働範囲 内で調整できる。ここでは、4極スリットの稼働範囲内の精度(10mm)で調整すれば良い。

1. 図9.1のように、レーザーが4極スリットのほぼ中 央を通り、確実にスリットで太さの調節ができるよ うに、真空チャンバーの上流側を動かす。チャンバー とビームラインが継った状態で動かす場合は、チャ ンバー上流のベローフランジに力がかかりすぎない ように注意する。

レーザーの影 スリット

スリット

スリット スリット

9.1: 真空チャンバー内から4極スリットを見た図。

2. 02テーブルの回転軸上をビームが通るように するには、テーブルの回転軸上に細い棒を立てて、

レーザーが棒に当たる位置までテーブルを動かせば 良い。テーブルは簡単に動かすことができる。した がって、アラインメント後は、テーブルに体重をか けたり、不用意にチャンバーに振動を与えないよう に注意する。

棒にレーザーが当たる 動かす

ように、テーブルごと レーザー

X線ジェネレーター 側

下流フランジ 側

table

θ−2θ

9.2: 02のアラインメント

A.3 テーブルのゼロ点の決定

のゼロ点は、結晶の(100)面がダイレクトX線に対して平行になるところとする。そのとき、ダイレ クトX線が結晶台で遮られる部分は最も小さくなる。CCDを用いて結晶台の影を見ながらを振り、CCD イメージ上でダイレクトX線の領域が最も広くなるところを探す。以下に手順を示す。

1. CCDで結晶台の影が見えるように回転テーブルをX方向に動かす。

回転テーブルをX方向に動かすと、次第にテー ブルの影が見えてくる(9.3)。図9.4(a)は 結晶台を動かす前のCCDのイメージで、X線 はCCDの全面に当っている。(b)は結晶台をX 方向に動かした後のイメージで、結晶台の影が 見えている。CCD1ピクセルが24m

X-Yテーブルの最小駆動距離は1mであるので、

回転テーブルの場所を24m単位で決めるこ とができる。

X方向

00000 00000 00000 00000 00000 11111 11111 11111 11111 11111

0000 0000 0000 0000 0000 1111 1111 1111 1111 1111 0000 0000 0000 1111 1111 1111

X-ray

00000000 11111111

CCD

direct

9.3: 回転テーブルをX方向に動かすと、次第にテー ブルの影が見えてくる。

X-ray

(a)

座標軸

(b)

0 512

回転テーブルの影

φ

X-ray

9.4: (a)回転テーブルを動かす前のイメージで、全面にX線があたっている。(b)回転テーブ ルを動かした後のイメージで回転テーブルの影が見えている。

2. テーブルを回転させ、CCDイメージ上でX線の領域が最も広くなるところを探す

ドキュメント内 X X 0 X 4 K K 1 K 2 K 1 K 2 6[eV] 6[eV] X 3: % 23.8[eV] (ページ 68-71)

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