映画でも3D 映像があるように、ドームへの投影でも立体視を導入している施設もある。映像 の種類としては、全天周映像と 4D2U の 2 種があり、両方を投影している施設もあるが、3D 映像 番組の確保や 3D メガネの管理などの面から3D 投影を実施している施設は多くない。
プラネタリウム施設で導入が可能な立体視には「アナグリフ方式」「アクティブ方式」「インフィ ティック方式」「パッシブ方式」がある。このうち、アナグリフ方式は色フィルターを使用することか ら色再現性が難しく、ドーム映像施設がカラー化された現在、採用する施設はない。このため、
納入実績のある3方式について確認する。
(1)アクティブ方式
プロジェクターは、画像を毎秒 60、120 フレームで右目と左目の映像を1フレーム毎、交互 に投影する。メガネに組み込まれた液晶シャッターは、右目映像が投影されている時には左 目を閉じ、左目映像の時はその逆と、投影される映像に同期して開閉され、右目、左目の映 像が分離され立体視を可能にしている。現在、国立天文台4D2Uで導入している。
機材構成 毎秒、60、120 フレームの画像を投影するプロジェクターと 3D 画像を送り出す パソコンのシステム。液晶シャッターが組み込まれた専用メガネとメガネへ同期 信号を送り出す送信装置からなる。メガネには同期信号を受信する装置と電池 などが組み込まれる。メガネが同期信号を受信できないとシャッターが動作しな いため、それに配慮した断面計画が必要となる。
メガネ管理 貸し出すメガネには必ず予備が必要で、投影を繰り返す場合には、客席数の 倍数以上を用意する必要がある。番組投影前の貸し出しと終了後の回収と数 量確認、また、衛生管理は重要で、アルコールでの拭取り(消毒)など、番組終 了後に行わなければならない。
(2)インフィティック方式
光の三原色赤、緑、青の光の波長域をそれぞれ2分割する特殊なフィルターを2台のプロ ジェクターの投影レンズ内にセットし、それぞれのプロジェクターが右目用、左目用映像をド ーム同時に投影する。(投影機は右目、左目用2台を必要とする)メガネにも同様の右目用、
左目用のフィルターが組み込まれ映像を同時に見ることで立体視を可能にする。ただ、投影 機とメガネにフィルターを組み込むため映像は暗くなる。現在、科学技術館シンラドーム、小 松サイエンスヒルズ(リストにはないが科学未来館)などで採用されている。
機材構成 右目用、左目用の2台のプロジェクターを必要とする。ドームでの二分割投影 方式の場合、投影機4台が必要となる。
メガネ管理 メガネの予備、数量確認、衛生管理など基本事項はアクティブ式と同じ、ただ、
衛生管理においては、メガネの構造の違いから、アクティブ方式が人の手によ って行うのに対し、超音波洗浄機などが利用できる。
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(3)パッシブ方式
投影機 2 台に光を縦、横の波に分離する偏光フィルターを装着し、それぞれを右目用、
左目用として映像を投影する。メガネにも同様のフィルターが組み込まれ投影機で分離され た縦横の光の波をそれぞれ右目、左目に分離して見ることで立体視を可能にする。投影機 とメガネに偏光フィルターを使用するため映像は暗くなる。
この方式では縦、横に分離した光を正確に反射する特殊なスクリーンが必要になることか らドームスクリーンでは難しい問題が残り採用する施設は限られる。現在、黒部市吉田科学 館で導入している。もともとスクリーンがこの方式に対応出来るものであったため導入が可能 になった。
機材構成 右目用、左目用の2台のプロジェクターを必要とする。ドームでの二分割投影 方式の場合、投影機4台が必要となる。
メガネ管理 メガネはボール紙等の枠でも良く、それにフィルターを貼り付けた簡単なもので も可能。
(4)立体視方式の比較表
3つの方式と投影機との関係を以下に示す。ドーム映像の立体視では、今後アクティブ方 式が採用されていくものと思われることから、本計画においても立体視導入の場合、このシス テムを検討する。
立体視方式 アクティブ インフィティック パッシブ 方式 液晶シャッター 分光フィルター 偏光フィルター
同期信号の送信機 必要(設置位置注意 不要 不要
投影機(要求性能 60-120 フレーム 30 フレーム以上 30 フレーム以上
投影機台数(2分割 2 台 4 台 4 台
投影像への影響※1 少ない 大きい(暗くなる) 大きい(暗くなる)
メガネ管理 重要 重要 重要では無い
メガネ衛生管理 必要 必要 不要
スクリーン 通常のスクリーン 通常のスクリーン 特殊スクリーン
実績※2 A:1 施設 B:3 施設 C:1 施設
※1 メガネを通して見た時の映像への影響
※2 実績について
A:アクティブ方式を採用する1施設は、機器更新と共にインフィティック方式からアクテ ィブ方式へ変更したもの。
B:インフィティック方式を採用する3施設(表は2施設)は、納入時のプロジェクター性 能などの問題からこの方式以外に選択が出来なかった。
C:施設建設時から特殊なスクリーンが施工されており、パッシブ方式の導入が可能で あった。
53 5) 4D2U の導入
本計画が導入を予定しているデジタルプラネタリウムの投影システムに(ヒアリングを行った各 会社の機材)に 4D2U(Mitaka 立体視)を搭載することが可能かどうか、調査を行った。一つのシ ステム(パソコン)に同種(デジタルプラネタリウム)のソフトウエアを混在させることで発生する障 害を避けるためである。結果、ソフトウエアの混在を理由としたフリーズ等が起こる可能性があり、
トラブルへのリスクが高まることがわかった。「美ら星ゲート」では、運営形態や離島であるための メーカーの修理対応(対応時間)などの設置環境を考えると、リスク負担を極力避ける方策をと らなければならない。この問題を避けるためにはその原因であるソフトウエアの混在を避けた投 影システムが必要であり、その対策として以下の方法を確認した。
ア) 専用のパソコンとプロジェクター(1 台)を用意して投影する。
基本は、石垣天文台の 4D2U と同等の投影システムであるが、ドームを利用することが異 なる。
イ) デジタルプラネタリウム投影システムのプロジェクターを使って投影する。
Mitaka 専用パソコンを別に用意して、本来のデジタルプラネタリウムのシステムと切り離 す。映像はスイッチャーを経由し、切り替えてプロジェクターへ画像を送出する。
区
分 投影方式等 投影効果 導入コ
スト※1 ア) ◇シアター後方からプロジェクターを 1 台追加して客
席前方に投影する。(全天周映像とはならない)
◇この投影システムを汎用投影機※2 としても利用 可能。
(投影前の注意、お知らせなどの投影も可)
◇3D 映像は主に観客 が正面を向いている時 の効果が高い。4D2U の立体視の投影効果 は得られる。
低い
イ) ◇デジタルプラネタリウムの投影システムを使って投 影する。
◇専用パソコンを用意し、プロジェクター以外のシス テムを2重にして混在を避ける。また、スイッチャ ーなどの操作も必要となる。
◇全天周映像として投 影できる。
高い
※1 コストはプラネタリウムメーカーへのヒアリングによるコメントによるもの。
※2 汎用投影機とは、様々な案内(例えば船の出航時間、運航状況、ニュース等々)や投影 中の注意事項の表示、また、プレゼンや DVD の投影等に利用出来る。
4D2U を導入しない場合でも、この投影機は様々な場面で利用可能。
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◇投影システムの概要(参考図)
なお、4D2U については、Ⅱ章の類似施設調査でも提言したように、システムそのものを導入 する、しないの検討を行う必要がある。その理由として以下の 3 点が課題である。
・ 石垣島天文台では無料で上映している
・ 4D2U の面白さは「解説者の話術」によるところが大きく、専任で常時確保する必要があ る
・ 3D メガネのメンテナンス(衛生管理や保守管理)に人員と費用がかかる
施設の目的やターゲットをふまえ、立体映像や 4D2U の導入には慎重な検討が必要となる。
4D2U を映し出す投影機 4D2U の映像を映し出す画面範囲
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