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「空間的思考カ」とその構成要素

1コ

第3節 「空間的思考カ」とその構成要素

1 「空間的思考カ」の概念規定

 本章前節において先行研究における「空間的思考力」のとらえ方を整理した。その中 で,主として,國本(1995)の「空間直観力」を援用し,筆者の考える「空間的思考力」

を,次のように規定する。

r空間的思考カ」とは,r直観的思考カ、空間的関係をとらえるカ、空間的位置をとら

えるカの三つのカから構成されるカである。」

「空間的思考力」を図に表せば,図2.3.1のようになる。

空間的思考カ

   I

直観的思考カ

I

空間的関係を

とらえるカ

   皿 空間的位置を

とらえるカ

[図2.3.1 「空間的思考力」]

 さらに,これら三つの力の構成要素について,國本(1995)の「空間直観力」,狭間ら(2000)

のr空間思考」を参考にして,図2,312のように明確化した。

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「空間的思考力」

I:直観的思考力

①空間図形を認識する力  ②立体を構成する力

 ③空間イメージを操作する力  ④空間図形を見抜く力 I1:空間的関係をとらえる力

 ①立体や空間の広がりをとらえるカ

 ②立体を図で表現したり,図から立体をイメージしたりする力  ③立体を分類する力

㎜:空間的位置をとらえる力  ①位置をとらえる力  ②空間自由移動能力

[図2.3.2「空間的思考力」の諸能力]

(注)以下では,例えば,「空間図形を認識するカ」を示すのに,「I一①」と表すことにする。

2.r I 直観的思考カ」1こついて

次の①から⑤の能力からなる力を「直観的思考力」と呼ぶ。

①空聞図形を團識するカ

 國本(1995)は,《具体物から立体図形を抽象したり抽象的な立体図形から具体物を想起 したりすることができる力(國本,1995,p.415)》として,「図形を認める力」を提案し ている。例えば,「図形を認める力」は,図2.3.3に示しているような小学1年生の学習内 容「身の回りにあるものの形」において学習できると考えられる。具体物を手にとって操 作しながら,その概形をとらえ,立体図形の特徴や機能を知ることが期待される学習内容 である。この能力は,特に,低学齢期において,大切に培いたい力である。

(啓林館,2001,小学1年, P.26)

[図2.3.3 I一① 直観的思考力 図形を認める力]

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 筆者は,この「図形を認める力」を含めた,次のような能力が「空間図形を認識する力」

であると考える。

「空間図形を認識するカとは.具体的モデル,規約的な図、記号的モデルを基に,空間 イメージを構成するカである。」

 ここで,「図形」や「立体」を認識するという表現ではなく,「空間図形」という表現を 用いた。その理由は,小学校での学習の中心は立体図形であるが,その実は,空間内の直 線,空間内の平面も考察の対象になり,また,中学校では,空間図形を扱うことになるか

らである。

②立体を構成するカ

 國本(1995)は,「立体を構成するカ」を,《ひごや粘土,厚紙などを使って立体を構成 することができる力(國本,1995,p.415)》であると、規定している。筆者もこの考えに 基づき,「立体を構成する力」を次のように考える。

「立体を構成するカとは,立体の構成要素に着目しながら,立体を構成するカである。」

 図2.3.4は,直方体の頂点,辺の数などの構成要素とそれらの関係を理解するための問 題である。箱の形のスケルトン模型を作るために必要な粘土圧(頂点)の数とびこ(辺)

の長さや本数を調べ,立体を構成する活動を行う。このような学習場面で活かされる力で

ある。

(東京書籍,2010,小学2年下,p.78)

[図2.3.4 1一② 直観的思考力 立体を構成する力]

 また,図2.3.5は,展開図から正十二面体をつくる問題である。この問題でも,「立体を 構成する力」が必要となる。

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 図のように正五角形AB CD Eをつくり,その対角線を ひくと,正五角形P QR S Tができる。この正五角形の

対角線をのばすと,PQRSTのまわりに同じ大きさの

正五角形が5つできる。

右の図の太い線で切り,点線で折りまげると,正十二面体の 半分ができる。

この方法を使って,正十二面体の模型を厚紙で作れ。(啓林館,1967,中学1年,p.204)

[図213,5 I一② 直観的思考力 立体を構成するカ1

③空聞イメージを1果作するカ

 國本(1995)は,「操作を見通すカ」を,《操作を加えた後の図形の変化を見抜いたり図 形に加える操作を見通す力(國本,1995,p.415)》と捉えている。図形への操作やその変 化を見通すには,空間イメージの構成と操作が必要となる。そこで,筆者は,「空間イメー

ジを操作する力」を次のように捉える。

「空間イメージを操作するカとは、単純な操作(立体の切断,平面図形の回転等)を見 通すカ,及び,複雑な動き(立体の回転や移動、合成・分解等)を念頭操作1こよって追 跡していくカである。」

 図2.3.6の問題では,長方形の紙を円筒状にした図形を切断すると,どのような形にな るかというものである。

トイレットペーパーの芯をこの線にそって切り開いて   森        ・◆

広げます。どんな形になるでしょうか。      .       (東京書籍,2010,小学5年下,p.103)

[図2.3.6 I一④ 直観的思考力 空間イメージを操作する力]

 図2.3.7の問題では,平面図形を直線皿を軸として回転させた後の立体を想起する能力が 求められる。空間イメージを見取図に表す能力は,後述する「lI一②立体を図で表現した

り,図から立体をイメージしたりする力」に含まれるものである。

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下のような図形を,直線8を軸として,1回転すると,どんな 立体ができるでしょう。見取図をかきなさい。

ω ω○「

(啓林館,2005,中学1年p.140を参考に作成)

[図2.3,7 I一③ 直観的思考力 空間イメージを 操作する力1

 このように,一つの課題を遂行する場面においては,一つの能力が必要とされるのでは なく,「空間的思考力」として多様な能力を総合的に活かすことが求められる。

 図2.3.8の問題では,与えられた図を念頭で回転させる操作が必要となる。このような 課題遂行過程では,図に基づいて立体の空間イメージを作り,それを回転させたり,移動

させたりして,他の図と照合することが求められる。

固亀晶跨

7       イ       う

簿窃曲駒

傘       カ       ■

右の図はアからクのうち,どれをかいたものでしょうか。それぞれ記号で答えなさい。

      (影山,2003,p.296)

[図2.3.8 I一③ 直観的思考力 空間イメージを操作するカゴ

④空聞図形を見抜くカ

 國本(1995)は,「図形を見抜く力」を,《見えている図形だけではなく,図形の見えて いない部分(部分図形)を見抜いたりよけいな部分を捨象して図形をとらえる力(國本,

1995,p.415)》と捉えている。見えない部分を見抜く,余計な部分を捨象して図形をとら えるということは,図に表現された空間図形がどのようなものであるかを正しく認識する ことであると考えられる。また,複数の空間図形に関わって認識することも求められる。

この考えに基づき,「空間図形を見抜く力」を次のように捉える。

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「空間図形を見抜くカとは,図に表現された空間図形を認識し,あるいは,複数の空間 図形の関係を認識するカである。」

 図2.3.9の問題では,図の立体は,1cm3の立方体を何個用いて構成されているかを視覚 的にとらえること,かくれている部分を直観的に見抜くことが求められる。

1つの立方体は1c皿3です。

次の図形の体積は,

それぞれ何Cm3ですか。

(啓林館,5年,p.ほ一53H22補助教材)

[図2.3.9 I一④ 直観的思考力 空間図形を見抜く力 1

3 「I 空間的関係をとらえるカ」について

次の①から③の能力からなるカを「空間的関係をとらえる力」と呼ぶ。

①立体や空間の広がりをとらえるカ

 國本(1995)は,「立体や空間の広がりをとらえる力」として,《空間の無限性や,立体 図形の表面積や体積の広がりを量としてとらえることができる力(國本,1995,p,415)》

を提案している。筆者も,この考えに従い,「立体や空間の広がりをとらえる力」を次のよ うに考える。

「立体や空間の広がりをとらえるカとは,空間の無限性や、立体図形の表面積や体積の 広がりを量としてとらえることができるカである。」

 図2.3.1Oと2.3.11は,立体図形の体積や表面積を求める問題である。このような課題 は,小,中学校においては, 「空間的思考力」を活かして解く他の課題場面に比べて多数 見られる。ここで重要なのは,立体図形の表面積や体積を求めることができるだけでなく,

それを量感としてとらえることができることである。

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下のようにア,イ,ウの紙を積み上げてθ,⑳,⑳の 直方体の形を作りました。㊥,㊥,⑳で,いちばん 体積が大きいのはどれかな。

     4cm      51cm2  49.5c皿2

6㎝

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