第 2 章 有機農産物の生産と管理の詳細
第 2 節 生産の方法 -有機 JAS 規格第 4 条を中心として-
2. 種及び苗
① 原則として、有機農産物の生産の方法の基準に適合する種苗を使用すること。
② ただし、通常の方法により入手が困難な場合や、品種の維持更新に必要な場合には、使 用禁止資材を使用されずに生産されたもの(薬剤で未処理のもの)を使用。それも困難 な場合は、一般の種苗を使用してよいが、その場合、種子から使用するものは種子から、
苗の場合は最も若齢の苗を使用すること。(ただし、食用新芽の生産を目的とする場合 は、この項目の基準は適用できない)
③ ②の入手も困難で、かつ(1)災害、病虫害等により、植えつける種子又は苗がない場 合、(2)種子の供給がなく、苗等で供給される場合は、一般の苗を購入して使用する ことが可能。(なお、災害・病害虫等の「等」には、育苗の失敗も含まれる。)
④ 組換えDNA技術を用いて生産されていないこと。
されている期間を可能な限り長くする必要があります。
また、この有機の種苗が入手できない場合の例外措置(上記②)は、食用新芽を除くとあるが、食 用新芽に関してはQ&Aの問9-4で詳しく説明されているので、以下に引用する。
[Q&A問9-4]
1 有機栽培により食用新芽の生産を行う場合には、「ほ場に使用する種子、植え付ける苗等又 は種菌」の基準における、有機の種子及び苗等の入手が困難な場合の規定が適用されないこと から、有機の種子及び苗等を用いて食用新芽の生産を行わなければ有機の格付はできないこと となります。
2 ここでいう食用新芽とは、有機ほ場の生産力を発揮させることなく、は種する種子又は植え付 ける苗等が有する生産力のみで生産される農産物を指します。具体的には、種子に蓄えられた 生産力により生産される貝割れ大根、豆苗、もやし等のスプラウト類や、苗木や穂木に蓄えら れた生産力により生産されるタラの芽、茶といった新芽類が該当します(ただし、植え付けた 作期における食用新芽の生産を目的としている場合に限り、植え付けた作期においては収穫せ ずに有機ほ場において養生し、翌期以降に収穫する場合には、有機の格付をすることが可能で す。)。
種の入手については、現時点では種苗会社で有機の種を販売していることはほとんどない。従っ て、自家採取するか、有機栽培のグループどうしで協力しあって有機の種を確保する方法が現実的 である。但し、種の入手にあたっては、種苗法(平成 15 年に改正)に基づき取引をする必要がある ので、十分注意のこと。
有機の苗を購入している場合は、メーカー(又は生産者)から育苗方法についての説明書などの情 報を入手し、有機JAS規格に適合しているかどうかの確認をする。特に培土の適合性、育苗期間中の 禁止資材の使用がないかどうかなどの情報を収集する。ただし、苗の場合も有機基準に準拠した苗が 手にはいらない場合は、上記のとおり、やむを得ず基準に準拠しない方法の苗を使用することも考え られる。この場合も、それでよしとするのでなく、できる限り有機基準に準拠した育苗方法による苗 を購入するよう継続的に調査し、また供給先に働きかける必要がある。なお、一般の種苗を使用する 際、化学肥料等を被膜で覆うことにより、肥料成分の溶出量や溶出期間等を調節した資材等が使用さ れた苗は認められない。これは、ほ場において長期間化学肥料の効果が継続することになり、有機農 産物の生産の原則に合わないためである。
平成24年の規格改正により、これまでの経過措置が改正された。これまでは、上記のすべてのも のが困難な場合、一般の苗の使用が認められていたが、改正後はナス科及びウリ科に限って認められ ることとなった。
(種子が帯状に封入された農業用資材(シーダーテープ))[Q&A問9-9]
種子が帯状に封入された農業用資材について、これまで経過措置で、素材を問わずその使用を認め
てきたが、平成21年度の改正により、コットンリンター由来の再生繊維を原料とし、化学的に合成さ れた物質が添加されていないものに限り使用が可能となった。
なお、形状は種子を封入するために必要な幅の帯状の資材に限定しており、マルチ資材を兼ねるよ うなシート状の資材は経過措置の資材に該当せず、使用できない。
2.2 自ら育苗を行う場合 2.2.1 育苗管理
自ら苗作りを行う場合は、苗作りの段階から有機の基準で定められた方法で実施しなければならな い。平成17年の改正により、育苗管理という項目が新たに設けられ、育苗時の基準が明確化された。
・ 育苗の場所が、有機登録ほ場以外の場合(自宅の庭先など)、除草剤などの禁止資材が飛来しな いように気をつける。
・ 有機の育苗と、それ以外の育苗を同時に実施する場合は、区分をはっきりさせ、後で混合しな いような対策をとる。
・ 育苗の培土には、使用可能な培土が定められている。次項2.2.2を参照。
・ 前年使用した育苗箱などを使用する場合は洗浄して使用する。箱を薬剤で殺菌する場合は、殺 菌剤が残らないように十分洗浄する。
・ 育苗用の水はどのような用水を使用しているか、水田の水の管理と同様の管理を行う。
2.2.2 育苗培土
育苗培土で使用できるものは、JAS規格で以下のように明記されている。
1 この表ほ場又は採取場の項の基準に適合したほ場又は採取場の土壌
2 過去2年以上の間、周辺から使用禁止資材が飛来又は流入せず、かつ、使用されていない一定の 区域で採取され、採取後においても使用禁止資材が使用されていない土壌
3 別表1の肥料及び土壌改良資材
1は、認定を取っている有機ほ場の土を使用する方法である。この場合、どのほ場から土を採取 したか、それをどこでどの程度の期間保管して使用したかを記録につけておく。(保管場所が禁止 物質の汚染をうけてはいけないことはいうまでもない。)
2は、例えば山土のように、有機認定ほ場の土ではないが、過去2年間禁止物質の飛来や流入の ない場所の土である。このような土を使用する場合は、この項目の基準を満たしていることを証明 できるように、供給業者からの誓約書のような文書を入手したり、近ければ自らが場所を訪問して 状況を確認してその記録をつけるなど、何らかの書面や記録による証明が必要となる。
3は、泥炭など別表1に記載され、別表1の条件を満たす資材が使用できるということである。
この場合は、肥料と同様に、別表1を満たす資材であるということの書面を入手しておく。