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第 1 章 ブラフマー創造神話

第 2 節 神話全体の流れ

最後に神話全体の構成について検討する。以下に、それぞれの要素をそれぞれの神話 の流れに沿ってまとめた表を示す(表7)。

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表 7 神話の構成要素と神話の流れを対応した表187(ブラフマー創造神話)

マヌ法典 1.1-51 agni-p. 17.15-18.1 bhAgavata-p. 3.12.51-56 brahma-p. 1.41-59 brahma-p. 43.30-38 brahma-p.gm. 91.33cd-35ab brahmANDa-p. 1.2.9.8cd-42 kAlikA-p. 25.44-55 kUrma-p. 1.8.1-12b liGga-p. 1.70.260cd-276 matsya-p. 3.30-32 padma-p. 1.40.67-72 Civa-p. 2.1.16.3-15ab Civa-p. 5.29.16-30.5 Civa-p. 7.1.17.1-6 varAha-p. 2.13-20 vAyu-p. 10.1-17

A A1

G G1 G1

B B1

G G2

F F2

F2 F1 F3

F2 F1 F1

F2 F1 F3

A A3 A3 A1 A1 A3 A1 A3 A3 A1 A3 A2 A3 A1 A3 A4 A1

G G1 G1

F F3

F2

F2

F3 F1

B B1 B1 B1 B1 B1 B1 B1 B1 B1 B1 B1 B2 B1 B1 B1 B1 B1

G G1

G2 G3 G2

C C C C C C C C C

G G3

D D2 D1 D2 D1 D1 D1 D2 D1 D1 D1

E E1 E1 E2 E2 E1 E1 E1 E1 E1 E1 E1

F F2

F3 F2 F2

この神話の構成要素と神話の流れを対応した表から、構成要素F(その他の者たちの創 造)、G(サーンキヤ・ヨーガ哲学的記述)を省く188と、以下のようになる(表8)。

187 横軸は文献別、縦軸は神話において述べられる構成要素の順番である。例えば、『マヌ 法典』1.1-51では、構成要素がA3→B1→F2→F3の順に述べられていることを示す。

188 神話の流れに関わりのない要素であるため。

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表 8 神話の構成要素からF、Gを除いた神話の流れを対応した表(ブラフマー創造神話)

マヌ法典 1.1-51 agni-p. 17.15-18.1 bhAgavata-p. 3.12.51-56 brahma-p. 1.41-59 brahma-p. 43.30-38 brahma-p.gm. 91.33cd-35ab brahmANDa-p. 1.2.9.8cd-42 kAlikA-p. 25.44-55 kUrma-p. 1.8.1-12b liGga-p. 1.70.260cd-276 matsya-p. 3.30-32 padma-p. 1.40.67-72 Civa-p. 2.1.16.3-15ab Civa-p. 5.29.16-30.5 Civa-p. 7.1.17.1-6 varAha-p. 2.13-20 vAyu-p. 10.1-17

A A1

B B1

A A3 A3 A1 A1 A3 A1 A3 A3 A1 A3 A2 A3 A1 A3 A4 A1 B B1 B1 B1 B1 B1 B1 B1 B1 B1 B1 B1 B2 B1 B1 B1 B1 B1

C C C C C C C C C

D D2 D1 D2 D1 D1 D1 D2 D1 D1 D1

E E1 E1 E2 E2 E1 E1 E1 E1 E1 E1 E1

上記の表から見て、ほぼ全ての神話に示される構成要素は、以下の通りである。

A. 発端:ブラフマー神による創造行為

B. 分裂:ブラフマー神が半身により女性に、半身により男性へと分裂する

非常にシンプルだが、このA→Bという流れは、ブラフマー創造神話であると認めら れるために必要最小限の構成要素を示していると言える。これに更なる構成要素を加え て、【ブラフマー創造神話基本形】(以下【ブラフマー基本形】と略す)を示す。

【ブラフマー基本形】

A. 発端:ブラフマー神による創造行為

B. 分裂:ブラフマー神が半身により女性に、半身により男性へと分裂する C. シャタルーパーによる苦行(欠落している神話もあり)

D. マヌとシャタルーパーに関する記述:マヌとシャタルーパーが夫婦関係に なる(欠落している神話もあり)

E. マヌとシャタルーパーの子供たち

このパターンでは、ブラフマー神から分裂した男女が、1人の男性マヌと1人の女性 シャタルーパーになり、彼らが夫婦となって子供たちを生み出すという内容である。多 くの神話がこのパターンを取っており、ブラフマー創造神話の流れの基本的なパターン

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であると言える。bhAgavata-p. 3.12.51-56、brahma-p. 1.41-59、brahma-p. 43.30-38では、

構成要素 C がないため、分裂した女性半身が苦行をせずに男性半身と夫婦になるのだ が、後続する構成要素D、Eは、他の神話と同様の者であり、物語全体の流れに大きな 違いはないと言えるだろう。agni-p. 17.15-18.1では、構成要素Dがないためにマヌと シャタルーパーが夫婦になるという記述がないが、二人が子供たちを生み出すという記 述から夫婦関係があることが暗示されていると考えられるため、やはり物語全体の流れ に大きな違いはないと判断した。そのため、構成要素の欠落があってもこれらの神話を

【ブラフマー基本形】であると分類した。以下にこのパターンに該当する神話の構成要 素と神話全体の流れを対応させた表を示す(表9)。

表 9 神話全体の流れ189【ブラフマー基本形】

brahmANDa-p. 1.2.9.8cd-42 kUrma-p. 1.8.1-12b liGga-p. 1.70.260cd-276 Civa-p. 2.1.16.3-15ab Civa-p. 5.29.16-30.5 Civa-p. 7.1.17.1-6 vAyu-p. 10.1-17 bhAgavata-p. 3.12.51-56 brahma-p. 1.41-59 brahma-p. 43.30-38 agni-p. 17.15-18.1

A A1 B B1

A A1 A3 A1 A3 A1 A3 A1 A1 A1 A3 A3

B B1 B1 B1 B1 B1 B1 B1 B1 B1 B1 B1

C C C C C C C C C

D D1 D1 D1 D2 D1 D1 D1 D2 D1 D2

E E1 E1 E1 E1 E1 E1 E1 E1 E2 E2 E1

このように、ブラフマー創造神話の全体的な流れは1つのパターンを持つと言える。

189 左からアルファベット順に文献を配置したが、分かりやすいように構成要素の欠落があ る神話は右に配置した。

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