2 EC に関わる法的問題についてのヒアリング結果
2.3 ヒアリング内容詳細
2.3.9 社団法人日本音楽著作権協会
(1) 業務内容
社団法人日本音楽著作権協会(以下 JASRAC)は、音楽に関する著作権管理業務を行 う公益団体として、昭和14年に設立された社団法人である。現在、JASRACでは、著作権 の管理システムとして、「JASRAC NETWARCHESTAR SYSTEM」を運用している。
このシステムは、作品データベース検索システムJ-WID、違法サイト監視システムJ-MUSE、
許諾申請受付システムJ-TAKT、許諾マーク発行システムJ-CLEF、利用報告受付・請求明 細発行システム J-NOTES から構成されており、日本で著作権管理のため機能している包 括的なシステムとしては唯一のものである。
(2) ヒアリング内容
① J-TACT(許諾申請受付システム)における申請者の本人確認方法
申請者とJASRACで、著作物のライセンス契約を締結することになり、課金の面
のみならず、契約者に契約の遵守を求めていくためにも、本人確認が重要であると 考えている。本人確認の方法として、電子署名を利用する方法も考えられるが、現 在は運用コストが高く、電子署名を利用する方法の導入に至っていない。
現在の本人確認方法は、概要次のとおりであり、ネット上で完結する方法をとら ず、紙媒体を介し、最終的には許諾書の申請者への到達の事実をもって、本人確認 をする方法をとっている。
申請者は、ネット上で、チャートから自己の利用条件に応じた方法を選択し、ラ イセンス条件を確定する。
申請者は、ライセンス条件を提示した画面を、自己の側で印刷する。
申請者は、印刷した紙に押印して、JASRAC 宛て郵便で送付して、ライセンスの 申請を行う。
JASRAC は、申請内容を審査し、承認した場合には、許諾証及びライセンス料の
請求書を、申請者宛て郵便で送付する。
ライセンス料が僅少なケースの場合、上記のような方法では、伝達手段に要する コストが手数料額を大きく超えることになる。しかし、JASRAC の公的な性格にか んがみ、一定利用料以下の利用に関して、これを拒否するということはできない。
よって、電子認証を含め、ネット上で低コストの本人確認をどのような手段により 行うかは、今後の重要課題である。
② 個人・非営利目的利用のライセンス事業
平成13年7月から、ネット上での著作物の利用について、個人の非営利目的での 著作物の利用についてもライセンス事業を開始しており、のべ件数で 2,800 件(平 成14年12月)に達しており、今後のライセンス事業の拡大が見込まれる。
③ ネット上での著作物の違法利用への対応
監視システムJ-MUSEにより、インターネット上のファイルをチェックし、著作 物の違法利用サイトを発見した場合には、まず、警告メールを送っている。改善措 置が見られないサイトに対しては、最終的には刑事告訴を行って、著作物の適正な
利用を促すための措置をとっている。ほとんどのケースでは、警告メールの段階で 違法行為は停止されるが、刑事告訴に至ったケースも数件ある。
また、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報開示に関す る法律(プロバイダ責任制限法)に基づく対応として、著作権侵害サイトについて、
プロバイダに連絡して、送信停止措置を要請する。JASRAC は、プロバイダ責任制 限法ガイドライン検討協議会が策定した「プロバイダ責任法著作権関係ガイドライ ン」に定められている「信頼性確認団体8」として認定を受けているため、JASRAC からプロバイダ等に対して著作権侵害行為に関する通知及び送信停止阻止の要求を した場合、プロバイダ側では簡易な確認手続に基づいてそれに応じることになる。
一方、本人情報開示については、本人に事前に本人確認の可否に関して確認がな された段階で、本人が開示を拒否する例がほとんどなので、本人情報開示目的とし てはあまり機能していないと思われる。
④ コンテンツ・ホルダーへのアピール
著作権対象となるコンテンツを防禦することで、違法利用を阻止しようとしてい る。一定の著作権保護対策をしているコンテンツ・ホルダーに対し、減額する旨の 減額細則を設けて、コンテンツ・ホルダーの意識向上・著作権保護の推進を図って いる。具体的には、著作権対象に対し、コピーコントロールの付加、権利管理情報 の電子透かし(又はそれに準じる方法での)デジタルデータへの付与、③正確かつ 迅速な利用報告、の各項目を実施する会社に対し、それぞれ 5%、最大で合計 15%
の使用料減額措置をしている。
⑤ 国際関係の現状
対東南アジアに関しては、各国と演奏権(公衆送信権は演奏権に含まれる)に関 する相互管理契約を締結しており、各国の著作権管理団体がそれぞれ管理・監視を 行っている。また、録音権、複製権についても今後相互管理契約を締結する動きが ある。送信可能化権に関しては、日本・オーストラリアに特有の規定であるが、ネ ット上での著作権侵害行為に関しては、複製権、送信権などで把握が可能である。
今後の問題としては、次のような項目が挙げられる。
・国際的な著作権保護法制の調和
・司法救済規定の整備(法定損害賠償額の設定など)
・裁判管轄の明確化
8 プロバイダ等に関して削除等の措置を求めるための申し出に対し、申出者から個別に証拠を提示させるのでは なく、他の信頼できる第三者が一定の信頼できる手続きに即して著作権侵害に関する確認を行っている場合には、
社会的に見ても、申し出者の本人性等について確認ができているとの考えに基づき、このような確認を行うについ て一定の基準を充たす者として、「信頼性確認団体」の規定が設けられている。
2.3.10 財団法人日本品質保証機構