2 EC に関わる法的問題についてのヒアリング結果
2.3 ヒアリング内容詳細
2.3.3 ヤマトコレクトサービス株式会社
(1) 業務内容
ヤマトコレクトサービス株式会社(以下 ヤマト)の手がけるEC関連サービスは以下の
とおりである。
① クロネコ探検隊
平成10年より物流増加を目的にサービス開始。ヤマト運輸と取引のある通販等の 店舗の検索ができる(現在 約9,000店)。ネット上での登録ではなく、実際に宅配 ドライバーが通販事業者の所まで行き申込を受けた後、審査を行っている。
② 宅急便エスクロー
個人間の代引きができるシステムとして、オークションで成立した品物について ヤマト運輸のドライバーが集金し、売り手に入金するため、売り手側の代金回収ト ラブルがない点がメリットとなる。48 時間以内に返品宣言があれば、売主の承諾な しに返金する仕組みだが、返品の際の送料については当事者同士の話にしているの で、ヤマトとしてはアドバイスという関わり方だけである。エスクローは上限30万 円となっているが、これは宅急便の約款によるものである。荷物の保険に入ってい ないため、あまり高額のものはリスクが吸収できないので、このような設定として いる。
米国等で行われている本来のエスクローは商品の真偽まで保証しているが、この システムではそこまでのサービスは提供していない。
現在のところはクレジットカードによる支払いは取り扱っていないが、発展形と してはありえる。ただし、電子マネー等による決済も浸透しているため、エスクロ ーサービス自体が、リピーターは多いが全体としての利用は伸び悩んでいる。
③ クロネコ@ペイメント
カード決済において、カード会社と売主の間に入って、ヤマト側が売主に最短 5 日で決済代金の立替払いを行う。買い手からの入金はカード会社から流れてくる。
カード会社による与信承認とヤマト側での出荷確認があるため、リスク低減が可能 となっている。
この他、通販事業者に対して、Web上での決済明細の情報提供をサービスしている。
サービス展開上のポイントとしては、ヤマト運輸グループで完結しており、情報が漏洩 しづらいという点が信頼性を高めていると考えている。また、物流がメインのグループで ある点、デジタルコンテンツは著作権等の問題があり、権利関係等が複雑となる点から、
デジタルコンテンツ等の販売は行わず、あくまでもリアル店舗を持つ物流を伴う商品に対 するサービスに限定している。
(2) ヒアリング内容
クロネコ探検隊やクロネコ@ペイメントへの登録審査を通じて、小規模事業者、個人事
業者に対してより一層の法的側面に関する普及啓発が必要と感じる。
① 電子契約法の浸透の遅れ
平成 13 年から電子契約法が施行されているが、まだ認知されていない面がある。
このため、法にうとい通販事業者などは、もっと販売側が強いと考えているのでは ないか。
② 特定商取引法による表示義務の問題
11 条の表示義務についてはある程度認知されているが、実際には抵触しているケ ースが依然多数あるという点である。販売主体者が不明確なものが多く、例えば女 性の方が運営している通販サイトは迷惑行為等を恐れて住所や電話番号を明らかに していない例がある。さらに最近では、共同運営の販売サイトが増え、責任主体が 不明確なケースも見られる。このため、返品等のクレームがヤマト運輸に入ること もある。
また14条の顧客の意に反して売買契約若しくは役務提供契約の申込みをさせよう とする行為に関する部分については、内容の認知度そのものが低いと思われる。
③ 誇大広告表示の問題
通販事業者にはどういうものが誇大広告に該当するかがわかりにくいためクロネ コ@ペイメントの加盟店審査の際に引っかかってしまうケースがある。また薬事法 関連で、健康食品、サプリメント等の取扱い業者からのクロネコ@ペイメントの登 録申込では医薬品的な効果表示の標榜面等で加盟店審査の際に引っかかってしまう ケースがある。
④ 特定継続的役務、連鎖販売取引へのトラブル
継続的役務ということがよく理解されておらず、指定 4 業種(エステティックサ ロン、語学教室、家庭教師、学習塾)での表示不十分なケースは多い。
また、代理店募集型ビジネスの申込では、やはりマルチ商法まがいのものがあり 問題となりやすい。販売員を勧誘してさらに次の販売員を勧誘させるという行為は 連鎖販売であるという認識をきちんともてるようなわかりやすい提示が必要である。
⑤ 特定商取引法の一部改正(携帯の迷惑メール対策)
消費者の請求等に基づかずに広告メールを送った場合には、「未承諾広告※」とい う表示をタイトル部に入れることが平成14年7月から義務付けられているが、実際 には迷惑メール対策として、タイトルに「未承諾広告※」とついたものは最初から はじかれてしまっている。一部の事業者のために、携帯をビジネスで有効活用しよ
うとする試みが実現しなくなってしまうという問題がある。
⑥ なりすましによるトラブル
カードのなりすましや番号の盗用による事故が懸念されているが、ネットでの取 引では、100%加盟店がリスクをとる形になっている。このためなりすましとわかっ た場合、入金した金を返す返さないをめぐってヤマト側とトラブルになることも考 えられる。なりすましの手口は、私書箱を使う、工場の前で待ち合わせる、ヤマト 運輸の営業所で受け取る、偽名を使う等巧妙化している。
⑦ サイトの販売内容
サイトの表示や販売内容について、カード会社の審査が通った後で特定商取法の 表示義務を満たしていないサイトに化けてしまうような例もみられるが、不適切な 内容については、インターネットサーフデイ等の対象となる旨を説明し、改善を促 している。
⑧ 準則について
通販業者では知らないところが多いのではないか。また提示されても、内容を理 解するまでには至らない事業者が多数存在すると思われる。ポイントだけをわかり やすく冊子にして皆に配る、TV等のメディアを活用するといった啓発が必要ではな いか。その際には、ある程度の協力もできると思う。