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研究の限界と今後の課題

ドキュメント内 「看護師の患者アドボカシー概念に基づく (ページ 125-128)

本研究では、標本の対象として小規模の病院に就業する看護師は対象としなかった。結果 の一般化可能性を高めていくために、今後小規模病院を加えた調査が必要である。

「看護師の患者アドボカシー概念に基づく治療選択における意思決定支援力」に関連する要 因として、個人的、環境的因子を検討した。これらの決定係数は0.24であり、高くはない。

今後も研究を重ね、「看護師の患者アドボカシー概念に基づく治療選択における意思決定支 援力」を予測する要因をさらに拡大して検討していく必要がある。これにより、看護師や学 生の実践力を支援する際に、病院の教育担当者や看護基礎教育に携わる者にとって助けとな る知見が提示できると考える。

本研究は、自身で判断できる患者に対する支援の尺度である。意思能力が消失した認知 症、重症患者、精神疾患患者に必要とされる代理意思決定では使用できない。今後の課題と して、代理意思決定が必要とされる場面で、家族などを対象とした「患者アドボカシー概念 に基づく治療選択における意思決定支援力」を測定できる尺度の開発も必要である。

また、本研究は病院看護師の実践をもとに開発し、患者の治療選択の場面に限局した看護 師の患者アドボカシー概念に基づく治療選択における意思決定支援である。医師だけでなく 薬剤師、理学療法士や栄養士などの医療従事者とのコラボレーションにおける看護師のアド ボカシーを含んでいない。今後、看護師が実践している様々な患者アドボカシーを可視化し ていくことが課題である。

我が国は、情報社会、国民の権利意識の高まり、高齢社会による社会保障費や医療費のさ らなる急増が予測され、2035年の展望として国民ひとりひとりが治療を含めたライフスタイ ルを主体的に選択できることが掲げられている(保健医療2035 , 厚生労働省)。2007年に発表

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された「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」(厚生労働省,

2015)が2015に改訂されるなど、患者が医療従事者から十分な情報と説明を受けた上で話し

合い、患者本人による決定を基本とすることが求められている。従って、患者の自律した意 思決定を支援できる看護師の存在は、ますます大きくなる一方である。看護師のクリニカル ラダーには看護の核となる実践能力として「意思決定を支える力」が示されるなど(日本看 護協会, 2016)、時代に応じた看護援助が求められている。患者の自律を支援する患者教育も 併せて重要になっている。看護師は患者のアドボカシーの実践者として、どのように「患者 アドボカシー概念に基づく治療選択における意思決定支援」を実施すべきか、今後も研究を 重ねていくことが、看護師の専門性を高めていく上で必要である。

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VII

章 結論

本研究は、看護師の患者アドボカシー概念に基づく治療選択における意思決定支援力測定 尺度を開発し、その信頼性と妥当性を検討した。

文献検討と予備研究から「看護師の患者アドボカシー概念に基づく治療選択における意思 決定支援力」の概念枠組みおよび項目を作成し、看護の専門家ならびに被験者の代表による 妥当性の検討を得た後、調査を行った。調査後、探索的因子分析、確認的因子分析を実施し たところ、概念の再構築が必要であった。再度探索的因子分析、確認的因子分析を実施し た。その結果、25項目からなる「看護師の患者アドボカシー概念に基づく治療選択における 意思決定支援力測定尺度」を作成した。

「看護師の患者アドボカシー概念に基づく治療選択における意思決定支援力測定尺度」

は、「.選択肢の情報提供と価値観の明確化を支援する力」、「.十分なサポートとよりよい決 定を支援する力」、「不安や不確実性がないことを支援する力」、「.選択肢の情報提供と医 師と協同して意思決定することを確認する力」、「医師からの意思決定支援を交渉する力」

および「選択肢の情報提供と意思決定の時期を説明する力」という6つの概念で構成される4 段階評定尺度である。本尺度の得点が高いほど、「看護師の患者アドボカシー概念に基づく 治療選択における意思決定支援力」が高いことを意味する。

探索的因子分析(最尤法、プロマックス回転)を実施し、上記6概念を抽出した後、確認的 因子分析によってモデルの適合度を確認したところ、モデルはデータを説明していることが 示された(CFI=0.944,RMSEA=0.58)。また、信頼性係数は0.945であった。

続いて妥当性の検討を行った。収束的妥当性では、「看護師の卓越性自己評価尺度」合計 点と「看護師の患者アドボカシー概念に基づく治療選択における意思決定支援力測定尺度」

合計点との相関係数を算出し、r=0.597(p<0.001)であり、中程度の相関が認められた。

予測的妥当性では、「看護師のアイデンテティ尺度」と「看護師の患者アドボカシー概念に 基づく治療選択における意思決定支援力測定尺度」合計点との相関係数を算出しr=0.427

(p<0.001)と中程度の相関がみられた。「看護師の職務満足測定尺度」と「看護師の患者

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