第 4 章 提案システムの構成 26
4.2 システム構成
提案システムの構成要素は,コンテンツ管理配信サーバ,アップコンバートサーバ [1], SLA認証サーバ,メタデータサーバ,CDNキャッシュサーバ,クライアントの6点で構成 される.提案方式のシステム構成を図4.1に示す.コンテンツ管理配信サーバ,アップコン バートサーバ,SLA認証サーバ,メタデータサーバはVODサービス提供者のバックボー ンに配置する.CDNキャッシュサーバはインターネット上に分散配置する.提案方式では CDNキャッシュサーバを多段構成とする.多段構成の分散格納方式は,クライアント側の ネットワークインタフェースから構成される汎用スペックを基に数値と時間変動モデルによ る配置を行う.
4.2 システム構成
図4.1 提案方式システム構成
4.2.1 CDN キャッシュサーバ多段方式の有用性
CDNキャッシュサーバを多段構成とする理由は,アップコンバート要求に対応させるた めである.分散方法はクライアントからのリクエスト数の増減とアップコンバート要求の増 減による振り分けを行う.ここから,振り分けの場合分けを4パターンが考えられる.以下 に各パターンを示す.
パターン1
リクエスト数が少ないが,コンバート要求は高い パターン2
リクエスト数が少なく,コンバート要求も低い パターン3
リクエスト数が多く,コンバート要求も高い パターン4
リクエスト数が多いが,コンバート要求は低い
4.2 システム構成
上記の条件において,パターン1とパターン4がCDN Cache Level として2か3に相 当する.また,パターン2が CDN Cache Level 1,パターン3がCDN Cache Level 4に 該当する.これらCache Levelに対応する配置を図4.2に示す.ここで,多段構成の上層に
はCache Level 4の領域に該当するコンテンツがキャッシュサーバにキャッシュとして格納
される.反対の最下層には Cache Level 1の領域に該当するコンテンツがキャッシュサーバ に格納される.
リクエスト数とコンバート要求に応じて,コンテンツ管理サーバが映像コンテンツの キャッシュを振り分ける.この振り分け分散方式によって4K超高精細映像を取り入れたシ ステムの負荷分散を実現することができる.
図4.2 Cache Levelに対応する配置
4.2 システム構成
4.2.2 コンテンツ管理配信サーバ
コンテンツ管理配信サーバは自身が保持している映像コンテンツの管理を行うと共に,
CDNキャッシュサーバに格納しているキャッシュ情報についても同様に管理するサーバであ る.基本的な制御動作は2.3.1節で述べた制御と同じである.コンテンツはリストによって 管理を行う.コンテンツリストはCDNキャッシュサーバのIPアドレスとコンテンツ情報 を格納し,保存する.以上より,コンテンツ管理サーバは全ての映像コンテンツの所在を把 握するサーバとなる.コンテンツサーバリスト[2]の例を以下に示す.
表4.1 コンテンツサーバリストの例
CDNキャッシュサーバのIPアドレス コンテンツ名
111.101.xx.xx abc.avi
111.101.xx.yy def.avi
111.101.xx.zz ghi.avi
: :
4.2.3 アップコンバートサーバ
アップコンバートサーバは映像コンテンツに対してアップコンバートを施すサーバであ る.従来のSD画質,HD 画質の映像コンテンツに対して,新たに 4K超高精細映像への アップコンバートモジュールを含むサーバを実装する.既存のVODコンテンツに算術的補 完技術を施すことにより,SLAに準拠したアップコンバートを提供する事が可能となる.
4.2.4 SLA 認証サーバ
SLA認証サーバはVODサービスの帯域幅,及び品質要件を基に,加入者サービス関す る制約をレベル毎に分割する.SLAはQoE(Quolity of Experience)によって定義される場 合が多い.IPTVの場合,VODサービスプロバイダはアプリケーションエクスペリエンス
4.2 システム構成
ベース,つまりブロードキャストサービスで提供するチャネル数やビデオの品質,ビデオラ イブラリの容量,ユーザインタフェース,ビデオ録画機能,双方向機能に基いてサービス設 定を行う.SLA認証サーバはサービス加入者毎のQoSを適用し,認証する.ここでの認証 は非常に重要な点である.例えばユーザが映像コンテンツに対して早送りを要請し,一定時 間帯域幅を増幅させた場合は,このユーザのQoSだけを変更する必要がある.
IPTVに対するSLAに準拠したQoS保証
IPTVはパケットに対して柔軟でない.理由として,IPTVは圧縮率が高いため,映像パ ケットが欠損するとエンコード情報やデコード情報を失ったり,ピクセレーション,画像フ レームの損失といった可視的な劣化が考えられる.QoSのエクスペリエンスとして許容す できるビデオ品質は2時間の映画1本あたり,1回の可視的劣化しか認められていない.こ れはQoSに換算すると100万(10の6乗)個のパケット損失が1回分の可視的劣化に相当 する.IPTVを提供するサービスプロバイダの映像配信市場ではこの10の6乗個の損失が 要件として求められる.
4.2.5 メタデータサーバ
メタデータサーバは復号化に必要な映像コンテンツの情報をエンドユーザに伝え,再生要 求を行うためのユーザインタフェースを提供するサーバである.コンテンツ管理配信サー バに対しての再生要求に先立ち,再生制御に必要なファイルを取得する.再生制御ファイル はユーザインタフェースの生成要素となり,BML(Broadcast Markup Language)よるポー タル画面か,メタデータサーバより提供されるメタデータを基に,受信機側で生成される ECG(Electric Content Guide)提供に繋がる.
4.2 システム構成
再生制御ファイルの情報構成
再生制御ファイルはクライアントから要求のあったコンテンツの再生とその制御,権利保 護試聴するユーザの個別の再生といった単位毎に構成される.単位毎の情報はXML形式の ファイルで必要に応じて参照される.再生制御ファイルに記述される内容を示す.
表4.2 再生制御ファイル記述内容
情報単位 制御内容
コンテンツ固有の情報 コンテンツの配信要求先 コンテンツの再生制御情報 VODが対応するトリックプレイ コンテンツの権利保護情報 ライセンスの習得に必要な情報 コンテンツ再生に関する情報 ユーザ毎のコンテンツ開始位置情報
4.2.6 CDN キャッシュサーバ
基本動作は 2.3.2節で述べた動作と同じである.提案方式の CDN キャッシュサーバは IPv6上に分散配置し,多段構成とする.多段階の具体的な数値は,アップコンバートされ た映像コンテンツに対する品質測定値を指標とし,n/100とする.nの値はキャッシュアル ゴリズムZipf 法則を使用し,クライアントとの地理的距離,ネットワークトポロジにおけ る距離,要求,応答時間を基に決める.これは大容量のデータ転送を必要とする帯域確保を 優先することを目的に制御する.また,Zipf法則を用いたキャッシュ方式はリクエスト数の 平均値が時間に対して一定で,映像タイトルごとの常に変わらない仮定のもとで行われる.
4.2.7 クライアント
クライアント端末はVODサービスを利用するための視聴端末である.ユーザが直接映像 コンテンツに対して,トリックプレイの要求を出すことで,再生制御ファイルに履歴として 記録される.