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第五章 考察

5.8 砂漠化防止による地域再生モデル

放牧業の廃業と休業,生態移民が実行されているにも関わらず,放牧民の放牧地への回 帰現象は,従来職業である放牧業の再開に繋がる可能性があると警戒する中,早期に新た な職業形成による生活の安定を図る必要がある.

本研究が提示する地域再生モデルは,砂漠化が進行した地域に居住する放牧民が植林事 業を営むことによって,安定した収入が得られることが可能な事業モデルである(図46). 更に,放牧民の植林事業の発展が,地域の経済発展や環境改善と繋がり,地域の長期的な 発展となる.

図 46 放牧民の植林事業モデル図

本モデルに用いる植物は,当該地域の居住民に認識され,更に一定の経済シェアを有す る地域の従来型植物であるソウソウと肉ジュヨウを選定する.また,植林事業の初期段階 における植林面積を200畝(約20,000m²),家族構成を3-4人家族とし,植林事業に対する 投資金を保有せずに始めることが可能であるが,モデルでは1畝に対するコストを100元 とする.初年度の栽培苗木を自己資金にて購入する必要があるが,現状では政府やNPO,

NGOより支給される事が多い.仮に苗木の支給がなくなった場合でも,初年度から植林に 対する補助金を受けることにより投資金の回収ができる.

植林事業は政府(±100元/畝)やNPO(30元/畝)が補助金を支給条件とする最低面積で ある200畝からスタートし,そのうちの70%以上が生存するとする.

また,翌年から5年目までは毎年200畝のソウソウを追加植林し,3年目からはその2年 間前のソウソウ樹に肉ジュヨウの人工栽培をする.これにより,1-2年目の収入はソウソウ

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の植林に対する補助金のみとなる.3年目から肉ジュヨウの収穫による収入が増加され,そ の後は肉ジュヨウによる収入サイクルが構築される.但し,植林開始から4年目の肉ジュ ヨウの収穫量は,当年度の追加栽培量とその前年度(3年目)の量の50%と推定し,その後 も同じようにする.これにより6年目になると約1,000畝のソウソウを植林し,最後の年の 追加肉ジュヨウとそれまでの採集量を推定し,約9万元/年の収入が見込める.更に,その 後にも同じように収入を確保することが可能である.

肉ジュヨウの収穫量は,栽培後の雨量,気候によって増減するが,栽培総面積の60%に 達する収穫量は可能である.

本事業モデルによれば,植林による放牧地での生計形成は十分可能である.中・長期に わたる植林活動は居住民に安定した収益をもたらし,地域産業の持続可能な発展のサイク ルを構築する.更に,砂漠化の拡大を防止し,牧草地の草木を取り戻すことが可能である.

現在は,砂漠化地域における放牧民は植林をすることによって故郷への回帰を実現してい るが,いずれかは少なからず放牧業の再開も可能である.

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