第四章 事例研究
4.6 本章のまとめ
本章では,阿拉善盟地域の砂漠化防止への取り組みとして行われている 4 つの事例を取 り上げ,各事例の地域に与えている影響を分析した.
まず,行政による政策の実施では,中央政府より環境改善と経済発展を目的に策定した 政策が実施され,環境改善においては成果が得られているが,地域住民の経済発展が後回
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しにされている.また,環境改善には一時的な効果に留まっていることが分かり,砂漠化 地域における環境改善の取り組みでは,行政による政策は対象地域の実状を十分に把握し た上で政策を実施する必要があり,特にその地域の居住民の文化,生産方式,生活習慣等 地域独特の特性の尊重が重要である.地域の特性への整合性が欠如すると,多くの労力,
時間,資金が投入されても十分な効果が得られず,地域の持続的な発展に繋がらない.
次に,OISCA 阿拉善の住民参加型植林,学校との連携教育及びセンターにおける研修研 究への参加,海外及び地域外からのボランティアとの共同植林作業及び交流の場づくり等 当該地域における活動について,具体的な分析を行った.
これにより,砂漠化防止の取り組みでは,外部の視点による内部資源(物的・人的)の 発掘は地域住民の自立した環境改善及び経済発展に結びつく.地域の担い手となる若者や 学生の人材育成が継続性へと結びづく.地域住民の所得が向上することで,持続可能な環 境改善を行う動機が生まれる.このプロセスによる地域主体の自発性と自立性創出が重要 である.また,自発性と自立性の構築により,植林活動が拡大し,持続可能な環境改善と 経済発展をもたらす地域内の原動力となる.同時に,更なる研究開発,後続者の教育や外 部知識圏との交流・ネットワークの構築も持続可能な発展において不可欠な要素であるこ とが確認された.
続けて,放牧民による植林活動を「なぜ放牧民が植林をするようになったか」,「植林 によって放牧民の日常生活及び環境,地域の経済にどのような変化をもたらしているか」
を分析した.
これにより,自ら植林をする放牧民が続出しており,その要因は植林をすることによっ て放牧民の所得向上をもたらす仕組みが構築されているからである.同時に環境改善に貢 献し,放牧業を廃業しても放牧地での生活を続けることが可能とのメリットがある.この ような地域主体による地域資源の開発は地域全体の経済効果へと繋がり,地域資源の付加 価値が増加し,地域の特産品としての価値増加(ブランド化)へと結びつく.その評価が より多くの企業や個人の自発性を引き起こし,地域資源が増加し,それによって製品や市 場が生まれる.その結果として,雇用創出や経済効果へと繋がっていく.ただし,こうし た効果を持続するには,地域主体による継続性が重要である.
最後に,条件不利地域における外部とのネットワーク構築に視点を置き,阿拉善砂漠世 界ジオパークに着目し,ジオパーク建設と地域の経済発展の関連性を考察した.立地条件 不利地域は交通インフラ等が遅れており,自然環境が厳しい地域である.このような地域 の地域再生では,地域の土地,労働,産業,資本等々あらゆる自然及び人為的な資源の統
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合が必要であり,それら資源の有効活用により,価値の最大化へと結びつく.その過程で は,地域内外のネットワークの構築により,知識,知見,発見が得られ,地域の問題解決 や発展に役立つといえる.
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