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石器群の技術的特徴

ドキュメント内 東北大学埋蔵文化財調査年報2 (ページ 54-81)

A.剥

片生産

5層

では石核 や石核調整剣片 など、黒」片生産の技術的背景 を示唆す る遺物 は一点 も発見 され ていない。 また、折 れた剖片同士が接合す る例 を除いて接合資料 もな く、同一母岩 と認定で き る資料 も見 られない。 そのためここではrlJ片の背面構成 と打面状況 を手掛 りに、剣片剖離技術 について考察 を加 える。

a.石

器の形状 (図

19

石器群 について長、幅のグラフを作成す ると長・幅の比が

2/1よ

りも大 きいものは

6点

で、

2点

は大 きく二次加工の施 されたスクレイパー(図17‑1・

2)の

ため鋼片の形態分析 からは除外す る。 ノッチの

3点

は幅 に関 しては殆 ど影響 のない程度 しか二次加工は受 けておらず、特 にNo 9 は上下両端 が折 れているため本来はもっと長かったと考 えられる。

2/1〜 1/11こ

入 る13点は No12を除 いて縦長の剣片であることが確実であり、形状 を変 えるほ どの二次加工 も受 けていな い。No8、 13、 17、 18を除いた8点 は上下の一端 もしくは両端 が折 れてお り、本来は更 に縦長だ ったことが想定で きる。 しか し長幅比が

2/1を

あまりに越 えず縦長ではあるがかな り寸詰ま りの剣片であると考 えられる。長幅比

1/1以

下のNo3、 20の中で3は全体の形状 が不明である。

20は下半が折損 している。結果 として素材が縦長の象」片 と認定で きる石器は20点17点にのぼ る。

17 AOB5層

上面 出土石器 (1)

Fig.17 Lithic artifacts recoヤ ered On the surfacc Of stratuln 5,AOB(生 )

r―

W

NO   長cm 幅m 厚cm 重さ9 打面状態 打 角 背面構成

刃 角

(三

次 獣

木端形林   その他  

5

]  

スクレイノ■ 6501 2.60 115 18 5( 調整R 104° 4+自然面

/

め の う木 端 折 11‑1

2 サ  イ  

スクレイノ■ 5391 2 20 0 68 90 平坦P

//

R525±381

/

珪質頁岩上・下 両球   11‑2

3 サ  イ  

スクレイノ■ (2021 2 52 0 80 40〔

//

//

//

R675±45■6956

/

上 半 折 11‑3

4 サ  イ  

スクレイノ■(240 (210 0 77 32 P 108° ] R483■154

/

下 半 折 11‑4

5 ノ ッ チ (3341 2 65 0 72 5.0〔 自然面ト

/

1+2+̀ R35°L4(

/

下 半 折 11‑5

6 ノ ッ チ 4 89 1 94 1 35 98〔 平 坦P 104° 1+節理面R628±195 ヒ ンジ 11‑6

7 ノ ノチ 4 65 0 47 30〔 つぶ れ

/ 1+2

R2V5■L316±44102 フェザー 珪 質 綱 粒 2点接合 11‑7

8 ノ ッ チ 2 98 1 54 0 39 214 P 108° 1 L38±1

/

空質頁岩 二次加工部二重バティナ 11‑10

9 ノ ッ チ (5,90 30) 0 73 15 2

/ /

l

//

11‑9

ノ ッ チ 2.95 2.24 0 38 2 31 自然面N 105° 1+末端ヽ 283■85

/

11‑8

lユ

(3.261 2 31 0 75 P

// 1+N /

珪 質 iHI粒 木 端 折 11 ―H

12 2 97 17 0 71 2 36(

/

//

/

L316±236 フェザー ∫辺 折 11‑12

4 46 3 16 0 76 87〔 P 95° 1+3+4 ヒンジ? 11‑13

14 (4 61 2 91 081 87( P 105°

1+4 /

末 端 折 11‑14

工」 片 3 41 2 99 1 12 9,811 つぶ れ // 1 R683■ 1255±5 ヒ ンジ 珪質頁岩 11‑15

(2 4a 1 96 0 45

/ /

1 L35と 0

/

11‑16

17 4 85 2 48 0 60 N 105° 1+2+3 フェザー 難 質 細 粒ICr灰 岩 ¬‑17

4 19 2 94 0 93 P N フェザー 珪質頁岩 11‑18

(3 5a 2 92) 0,60 6 69 P // 二十2+4

/

11‑19

(301 328) 1,01 P

/

二十

2+N /

11‑20

※ 盪き

│よ

聾笑長型膳家ぁ 現ピ

7斜

ょ 萱獣訣亀鯉 。 面が不明の   嚢 莫用疹験

帝 常 F孔

標準偏差値

6 AOB5層

上面 出土石器属性表

Table 6 Attribute table of lithic artifacts recovered on the surface Of straturn 5,   メゝ

OB

⑤サイド・スクレイ′洋

△ ノッチ

ロ 小劇離痕ある石器

・ 剖片

う 4 3

2

1

0 10m

(長)

図 19 AOB5層 上面石器・劇肝の長幅比   数字に

Oは

完杉品

FigⅢ 19 The length― wtth ratわ of tOdS and fLkeも

:AOB,stratum 5

7 .AOB 5層

上面石器・剥片の 背面構成と打面状況 (不明は除く)

Table.7 Facet―c(瀬positおn on theよ)rsal surrace a4d he kind of stFiking phtfOrm i AOB―,stョ五tum 5

I類

吻 Ⅱ類 園

w類

0〜 1.1〜 2.1〜 3.1〜 4.1〜 5,1〜 s,1〜

   Cln(長

)

1.02.0 3.0 4.0 .5.0 6.0 7.0  

総数20点

201 AOB 5膚

上面石 器・ 痢片の長 さと背面構成(蟹ζ擦塚フフは ) Fig.20 Length and the facet― conpositお m on he doFsal Surface of tottls and flakes i

AOB,strattm 5

(幅) l 0

止咄

% 1〔 自 然 9ぶれ 不明

l 50 3 1

1+N

2 1

l+2 1 l

+2ギ 1 1

4244 1 1

■24N 1 1

l■a■4 1

二十4 1

+4

1 1

'N 1

討 13 1 3

b.背

面構成 (表 7)

I類  

腹面 と方向が同 じ、 もしくは反対の もの(自然面 を伴 うもの も含む

)が

9点

(50%)を

し める。

Ⅲ類

 

腹面 に対 して横 の方向からの最J離面 を持つ もの(自然面 を含む

)8点

(44.4%)。

Ⅲ類

 

背面 が自然面の もの

1点

(5.6%)。

c.打

面状況 (表7)

背面構成

I類

の打面は平坦打面が

9点

5点

(55,56%)を 占め、最 も多い。 Ⅱ類では8点 中4 点が平坦打面 を持 ち、 その他 自然面打面 を持つ ものが

2点

存在す る。全体 としては平坦打面が 10点で、

56%を

しめる。調整打面は1点 しか確認出来 なかった。 そのほかは自然面打面が

3点

潰 れが

2点

である。

以上のよ うな特徴 か ら

5層

上面の象」片 について考察 を加 えると、全体の形状 としては縦長で いわゆる幅

/長 ‑1/2以

上 とす る F石刃』 に近 い。しか し背面の構成 か らは上下の一端 もしく は両端 に打面 を固定 し、連続的 に縦長の剣片 を劉離す る『石 刃技法』 が確実 に存在 した とい う 証明は出来 ない(図20)。 打面の細 かな調整 もほ とんど行 われない。

d。 ま と め

このよ うなことか ら時 には連続的 に同一打面か ら剣離 を行 ない、 また時 には打面 を移動 しな が ら稜 をね らって刹片象」離 を行 った結果 として生産 された剣片 と考 えられる。

また同一母岩や剣片同士の接合 がな く、確実 な石 刃技法 に想定で きないにも拘 らず縦長の剖 片が多いことについては、別の場所で剣離 した多様 な剣片の中からある程度縦長の もの を選択 的 に持込み使用 したことも可能十生の一つ として考慮す る必要 がある。

B.石

器の二次加工技術 について

(A)目

的 と方,去

二次加工 を施 された石器の刃部 については、技術論的 に客観的 に分析す る手段 が少 な く、単 に記述 としてブランテ ィングとか、平坦劉離 とかの経験的 に判断 された用語 が用い られている。

また、最近では数値 による分類 も試みられているが(山中他1980)、 分類基準 は技術的 な裏付 けな しに設定 されてお り、分類の結果が何 を意味す るものなのか理解 しがたい。

5層

上面出土の石器の二次加工 にはいわゆる平坦剣離 に属す るよJ離面 が内部 にまで伸びるも の と、縁辺だけに止 まるものの二種類の存在 を肉眼的 に認 める事 がで き、特 に前者 には鋼離面 の長 さ、幅が均一的で連続す るものがある。 ここでは、 これ らの剣離面が どのよ うな技術 によ って作出 されたものかを推定す るために、い くつかの方法 によ り実験的 に二次加工 された石器 と実際の石器 についての祭J離面の個別の比較 でな く、一側辺 に見 られる連続 した祭J離面全体 に

ついて比較す る。

(B)二

次加工の方法 と最!離

象J離面の大 きさ(長さ、幅)、 形態、均一性、刃角等の諸属性 は二次カロエの方法、景↓離具の種 類、石材の性 質、製作者の技術等 により決定 されると予想 され る。つ まり素材 に対 して、直接 打撃 によるか、押圧無」離 によるか、剣離具は石 か角か木 か、石材は頁岩 かサヌカイ トか、素材 の種類(象」片 か礫 か)、 形態、大 きさ、厚 さ、縁辺の刃角や形状 などによ り二次加工の諸属性 は 決 まると考 えられる。例 えば これまでの筆者等の実験 によれば(未発表

)①

象」片 を素材 として 腹面側 から直接打撃 を加 えた場合 には縁辺の部分の部分 に打撃 を加 えた場合 と、よ り内側 に打 撃 を加 えた場合 では、内側の方がよ り厚いことが多いために剣離面の大 きさが

'曽

加す る。 また

② 同 じ腹面からでも、先ず腹面に打面用の加工を背面から行い、しかる後に打撃を加えた場合 には象

J離

が中まで伸びる傾向が見られる。③ 縁辺に対して真上から打撃を加えた場合にも、

景」 離は中まで伸びるが、その場合には縁辺の潰れが著 しい。②③では刃角の変化が小さい力\

①では増大する特徴もある。このように景

J離

の方法により現象する景

J離

面の特徴も変わるが、

ここでの実験と分析は今後の研究の足がかりとしての予備的な試みである。

素材としては頁岩

(山

形県寒河江産

)、

H程

0し

海道白滝産

)の

よ」 片を使った。鉄」 離具として は鹿角を用いた。二次加工の方法としては次の3種類を使用した。   ① 腹面を打面として直接 背面側に二次加工を施す(PPと 略す

)。

② 先ず腹面側に打面を作 り、その打面を除去するよう

に背面側に二次加工を施す (RPと 略す

)。

③ 押圧景」 離により二次加工する(PFと 略す

)。

石器 の製作は基本的に筆者自身が行ったが、③の中の2点 の黒曜岩製の尖頭器はアメリカの石器作

りの名人といわれた DOn E o Crabtreeの 製作である (CPF)(図

21)。

比較のための属性 として、互いに切合 う景」離面の現在認定で きる最大の長 さ、幅 とその長幅 比 について平均 と標準偏差 を測定 した。 したがってこの数値は二次加工がなされた時の当初の 大 きさや形態 を示す ものではなく、現在、石器 として存在す る時点での見掛 け上の値である。

計測の際 には景」離具 が当たる時 に出来たと考 えられる2 Hlm前後の微小景」離面は除外 した。

この測定 による長幅比は最終的 な景」離面の形態 が横長 か縦長 かについての指標 となる。 また その標準偏差は どの程度の形態的 なば らつ きがあるかの目途 となる。長 さと幅それぞれの平均 値 と偏差値 も剣離面の大 きさの指標 になるとともに、 どの程度 ば らつ きがあるかを示す。

(C)二

次加工の特徴

a.PP(図 211〜

7)

 

長 幅 比 (図 22)

最大1.42、 最小は0,95で 、最小値 の

N02は

縁辺 に細 かい二次カロエが施 されたもので、最大値

のNo 4は比較的厚い景」片の腹面か ら船底状 の加工が施 されたものである。

N02の

よ うな二次 加

L

工 をここでは「縁辺部加工」 と呼ぶ。偏差値 は比較的大 きく、最大のNo 3で は平均値の

71%に

もおよび、そのほかの場合で も

40%以

下 にはならず、最終 的 な剖離面の形態 が多様であること を示す。

 

長 さと幅 (図

20

長 さと幅のグラフと表 を見 ると、長 さは1.65〜7.07cm、 幅は1.96〜6.72cmで ば らつ きが大 き く、素材 と打撃の強 さによって違 いが生 じた可能性 がある。偏差値の平均値 にたいす る割合 い も長 さの場合33〜 59%、 幅の場合37〜

92%で

それぞれ

1例

を除いて

50%を

越 える。 これは象U離 面の大 きさが一様 でないことを示す と考 えられる。

b.RP (図 218〜

12)

① 長 幅 比 (図2つ

平均値 は最大1.51、 最小1,26、 偏差値 は0.39〜 0.84で平均値 に対 しては47〜

60%を

占める。

このことから剣離面の形はやや縦長だ力労黄長の もの も多 く、ば らつ きが大 きいことが分 る。

 

長 さと幅 (図

20

長 さは5.54〜9.謁剛、幅は4.58〜8.45mmで それぞれの平均 に対す る偏差値の割合 いは長 さで 41〜 54%、 幅で37〜

78%を

占め、多 くは40〜

60%の

間 にあり、かな りのば らつ きを示す。 この ことは劉離面の大 きさが

PPの

場合 と同 じよ うに多様 であることを意味す る。ただ

PPと

比較 して、一般的 に大 きい ものが多い。 また刃角の比較 で も

PPで

50°を越 えるものが多いのに対 し、

RPで

は50°以下 が多い 。

c.PFと CPF

点数 は

3点

と少ないが、際立った特徴 を持つ。

③ 長 幅 比

独 自の資料でも

Crabtree氏

の資料でも長幅比は

1,91〜3.04で

、他の二次加工 と比較すると極 めて大 きく、これは象」 離面の形態が縦長であることを示す。 CPFの 方が大きぃ値 を示すのは、

剣離技術の差であろう。偏差値の長幅比に対する割合いは

No13で30%、 No14で

37%と 小 さいが

No14で

は 40%を 越す。これは後者の場合、尖頭器のために先端部付近では剣離面が縦長でなく

なることと、側辺部分でも細かな調整のための剣離は必ずしも縦長にならないためと考えられる。

① 長 さと幅

長 さは

7.1〜12.4mm、

幅は

3,92〜4.59mmで

ある。 CPFの 方が長いがこれも長幅比 と同 じよ うに技術力の差 を示すと考 えられる。偏差値の割合いは、長 さで

22〜 44%、

幅で

30〜

39%で 、

No15の

長 さで 44%と い う数値 も前述のように石器形態に影響 されたものと考えることができ、

他の二次加工に比べてばらつ きが少なく均一性が高い。これは幅の場合、押圧剣離では打点が

決定できることから、連続的で意図的な剖離進行が可能であること、長 さでは刹離が劉片の稜

ドキュメント内 東北大学埋蔵文化財調査年報2 (ページ 54-81)

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