1 .商標権登録、模倣品対策などの知的財産権保護
(1)中国における知的財権権保護の現状
「特許法」、「商標法」、「著作権法」、「コンピューターソフトウェア保護条例」、「反不正 当競争法」など、WTO加盟に合わせ、法律面では先進国並みに整備された。
新技術導入に関する関係法令は、許認可を必要としていた法令が撤廃され、2002年1 月より「技術輸出入管理条例」が施行された。これに伴い、技術導入契約に対する対外経 済貿易部門の審査、認可が原則不要となり、ロイヤルティの比率、技術供与期間が審査さ れず、登記のみでロイヤルティの対外支払いが可能になった。以前は、許可を得なければ 導入契約期間が10年間を超えられなかったが、改訂後は契約期間を当事者で自由に約定 することが可能でかつ、契約期間終了後の技術有償利用の道が開かれた。
環境保護関連法令では「環境保護法」、「大気汚染防止改善法」、「水質汚染防止改善法」、
「環境騒音汚染防止改善法」などが施行され、各市レベルで汚水、騒音、空気、緑化など の環境保護基準が制定されている。
現地での工場建設に当たっては、事前に環境保護局の審査を受け、産業廃棄物の内容、
レベルによっては詳細な『環境影響評価報告書』を作成の上認可を受け、公害処理施設は 工場建設と同時着工を要求されることに留意する必要がある。
(2)中国における知的財産権の被害状況
ジェトロ北京センターが実施した日系企業へのアンケート結果(2004年12月)によれ ば、「ニセモノ事件」での問題を抱えている企業が全体の 56%、デザイン侵害での問題を 抱えている企業が 20%、技術漏洩問題を抱えている企業が23.3%など、相変わらず知的財 産侵害問題が進出日系企業にとっての大きな問題となっている。しかし一方で、最近の中 国の知的財産保護を巡る状況が「改善傾向にある」とした企業が 53.3%、「変化なし」と した企業が 30%と、一定の改善を認める企業も多くなっている。
<中国に進出した日系企業の模倣品による年間被害額>
10億円以上 16.3%
5〜10億円未満 3.8%
2〜5億円未満 10.0%
1〜2億年未満 5.0%
1億円未満 7.5%
不明/算定困難 54.9%
無回答 2.5%
(資 料 )ジェトロ北 京 センター、中 国 日 本 商 会 (在 中 国 日 本 商 工 会 議 所 )、
経済産業省特許庁「第 3 回中国模倣被害実態アンケート調査結果
(2005 年 3 月 31 日)」
(3)知的財産権に関する法制度と留意事項
①中国の知的財産権に関する法律
商標権、特許権、著作権などを保護するために、これに対応する「商標法」、「特許 法」、「著作権法」の基本法及びその実施条例などが1982年から 1990年にかけて制定 された。
②関連法律の改正
知的財産権の範囲、保護の程度、救済措置の面で先進国に比べて依然不十分な点が あり、2001 年 12月の WTO 加盟に伴い WTO 協定の「知的所有権の貿易関連の側面 に関する協定(TRIPS協定)」の規定水準を満すため関係法律を改正した。
③主な改正点と今後の方向性
一連の改正で、法律上の保護措置はほぼ完成。今後はこれらの法律の解釈、運用及 び知的財産権侵害行為に対する差し止め、保全措置、権利侵害にかかわる商品などの 没収、取り壊しについての所管行政部門の権限行使力、ならびに損害賠償支払につい ての司法上の強制執行力が問われる段階になってきている。
法律は完成したものの、中国の地方保護主義などの政治的な思惑から、実際の判決 では、まだまだ不十分または納得のいかない判決結果となる場合がある。また、逆に 中国企業から商標権侵害で訴えられるケースもあり、十分留意しなければならない。
特に技術・製法の特許登録に時間を要し、または登録審査が棚上げになっている事例 も多く、登録しても実際の適用は不十分な場合が多い。
<知的財産権に関する法制度の主な改正点>
項 目 改正内容など
登録商標 ・従来規定がなかった団体商標(例:神戸牛など)、証明商標(例:ウールマークなど)に ついて明文化。また、侵害行為の種類が拡大されたほか、個人でも登録出願が可能 になった
・2003 年 6 月より「著名商標の認定及び保護に関する規定」が施行され、中国で登録さ れていなくても著名商標(例:SONY、トヨタなど)は、当該商標を複製、模倣することが できなくなった
(注)著名商標保護請求に必要な、商標が著名であることを証明する証拠資料として 5 種類の証拠資料が定められたが、認定審査機関である国家工商行政管理局の運 用いかんによっては、不十分な保護体制となってしまう可能性が依然残っている 特許権 ・特許権侵害行為の追加(販売の申し出、輸入行為)
・特許権取消請求制度の廃止と、特許権の早期確定
・特許権侵害訴訟時 の侵害立証責任 が、従来 は権利者にあったのが提訴 された側に 変更
著作権 ・著作権の財産権について詳しく分類され、貸与権、放映権、情報ネットワーク送信権を 追加
(4)知的財権権保護の今後の見通し
①「第 11 次五カ年計画」期間中(2006〜2010 年)の主要政策
中国政府は知的財産権保護の強化を初めて「第11次5カ年計画」の要綱に盛り込む とともに国家知的財産権保護対策チームを組織し、2006 年3 月には「2006 年中国知 的財産権保護行動計画」を発表した。
立法面では、今後とも知的財産権に関連した法令の制定・改正及び知的財産権侵害 の判断基準の策定に力を入れると予想される。また、職務特許保護、伝統文学・芸術 作品保護、AV製品保護、植物新品種保護、地理標識保護、遺伝資源保護、伝統知識保 護などに関する法令を整備するとともに、「知的財産権基本法」の制定も検討している。
今後、知的財産権保護に関する政府の重点施策は、立法から法律運用へと移行して いくと見られる。国家知的財産権保護対策チームの指導の下に法律運用が強化され、
複雑多岐な行政体制が改善されると見られる。また、2006 年から全国に 50の知的財 産権クレームセンターの設置が順次開始されている。
②特許権保護環境は国際的水準へ
特許権保護における多くの侵害紛争は、一般的には司法手段による解決に頼るが、
現在の中国では比較的公正な特許保護司法体系が確立しており、中国市場に進出する 企業にとって良好な環境が整えられていると言える。更に中国の法律体系の改善と知 的財産権の情報化の進展が比較的早いスピードで進んでおり、中国の特許権保護環境 は近い将来国際的先進水準に達することが予想される。
商標権と著作権保護においては、ニセモノ製品、劣悪製品、改造製品などは製造に 一定規模の設備や施設を必要とし、販売ルートも突き止めやすいため、取締りが比較 的容易である。また、劣悪な品質のため消費者に敬遠されることもあり、最近では中 国政府の取締りもかなり強力になっており、今後ともこれらの分野においては、違法 行為が逆戻りする可能性は低いと見られる。
しかし一方で、高級織物類のニセモノや海賊版ソフトウェア・映画・ゲームなどは、
偽造生産が比較的容易で、販売ルートも複雑多岐であるため取締りが難しい。従って、
この種のニセモノの生産・販売は政府の圧力を受けて多少減少すると見られるが、取 締り圧力の減少に伴い、再び復活していく可能性が高く、長期的には楽観できないも のと予測される。
また、中国の知的財産権保護の環境について考える場合、中央政府の知的財産権保 護を強力に推進しようとする意欲とは別に、各地方政府の法律運用状況を念頭に置く 必要がある。中国では古くから「地方保護主義」の弊害が強いため、中央の施策が忠 実に実施されにくい傾向がある。しかも現在のように地方政府の汚職や腐敗が深刻化 している状況をみると、地方における知的財産権保護の見通しは決して明るいものと は言えない。
2 .食品関連人材育成機関
中国の国立大学、短大(学院)、専門学校のリストを基に、食品・生物系の学科を有す る教育機関を各機関のHPから抽出し、下表に取りまとめた。農業大学については学科の 存在が不明なものも記載した。
<中国国内高等教育機関食品関係学部学科リスト>
省 学校名 学科名
安徽 安徽エンジニアリング科技学院 生物化学エンジニアリング系
安徽 安徽新華学院 (薬学系)
安徽 安徽農業大学 茶・食品科技学院
安徽 合肥工業大学 生物・食品エンジニアリング学院
雲南 雲南農業大学 食品科学技術学院 龍潤普洱茶学院
河南 安陽工学院 生物・食品エンジニアリング学院
河南 河南科技学院 食品学院
河南 河南工業大学 粮油食品学院
河南 河南農業大学
食品科学・エンジニアリング(タバコエンジニアリング),食 品科学・エンジニアリング,食品質量・安全,食品栄養・
検査教育
河南 信陽農業高等専科学校 農業科学系
河南 鄭州軽工業学院 食品・生物エンジニアリング学院
河北 河北科技大学 生物エンジニアリング・食品科学学院
河北 河北科技師範学院 食品エンジニアリング系
河北 河北農業大学 食品科学学院
河北 承徳職業技術学院 施設農業技術(蔬菜、食用菌生産及び検査方向)、
海南 華南熱帯農業大学
甘粛 甘粛農業大学 食品科学・エンジニアリング学院
甘粛 蘭州理工大学 生命科学・エンジニアリング学院
吉林 延辺大学 食品科学・エンジニアリング
吉林 吉林エンジニアリング技術師範学院 生物・食品エンジニアリング系
吉林 吉林農業科技学院 食品科学系
吉林 吉林農業大学 食品エンジニアリング学院
吉林 通化師範学院 製薬・食品科学系
吉林 長春大学 食品科学系
湖南 湖南農業大学 食品科学技術学院
湖南 邵陽学院 食品質量・安全
湖南 長沙学院 生物技術及び応用
湖北 黄岡師範学院 食品科学・エンジニアリング系
湖北 湖北工業大学 食品科学・エンジニアリング系
湖北 武漢工業学院 食品科学・エンジニアリング学院
湖北 武漢食品工業学院 軽工粮食食品専攻
湖北 華中農業大学 食品科学技術学院
湖北 荊門職業技術学院 食品生物技術専攻
江西 江西農業大学 食品学院
江西 南昌大学 食品科学・エンジニアリング専攻、食品科学、栄養・食品
衛生学
江西 南昌理工学院 食品薬品モニタリング管理
江蘇 金陵科技学院 食品製造工程・販売専攻
江蘇 江南大学 食品学院
江蘇 江蘇食品職業技術学院 食品エンジニアリング系