1 .加工原材料調達(流通形態)
(1)中国国内における調達
①物流インフラ整備の状況
1992年以降の経済成長に伴い物流に対する需要が急増し、高速・幹線道路網の建設、
鉄道の拡充、空港の新設、港湾の整備など、輸送能力の増強が進められてきた。しか し、物流インフラ整備は物流需要に追いつかず、経済発展のボトルネックになってい た。1998年以降、輸送インフラへの建設・拡充投資が急ピッチで進められ、特に沿海 部では、高速道路、空港、港湾が急速に整備された。
今後は中西部における交通インフラ整備及び物流ソフト面(効率的な複合一貫輸送、
保冷輸送、貨物追跡システム、サプライチェーンマネージメントシステム等)の水準 の引き上げが課題である。
②優位農水産物の生産
日本への食品供給地として、中国の役割が高まっている。中国では多様な気候条件 と自然資源の恵みを受け各種農水産物が生産されている。中国は現在、重点的に比較 優位農水産物と優位生産地区を育成し、優位農水産物生産基地を建設中である。
(イ) 農産物
以下にまとめた優位地区がこれまでに建設されたか、あるいは現在建設中である。27。
<優位農産物品目と生産地区>
優位農産品目 優位生産地区
かんきつ類主要生産区 長 江 上 ・中流 、江 西 省南 部 、湖 南 省南 部 、広 西 チワン族自 治区 北部、浙江省南部、福建省南部、広東省南部
リンゴ生産優位区 渤海湾、西北黄土高原
肉牛優位区 中原地区、東北地区
肉羊優位区 中原地区、内モンゴル、河北、西北地区、南西地区 北京・天津・上海の牛乳優位区 東北地区、華北地区
(ロ) 水産物
水産物では、東南地区沿海、黄海・渤海の水産物輸出優位養殖ベルトにある山東省、
広東省、遼寧省、浙江省、福建省、海南省が輸出の上位 6 省で、これらの省で中国 の水産物輸出総額の91.2%を占めている。
原材料調達については、品質や量的な面での安定供給を保証するためにも、食品加 工工場に近いところで原材料を生産すると言った点も考慮すべきである。また、加 工工場の立地に際しては、補助材料(包装材料など)やその他副原料などの供給が 確保できるかについても調査する必要がある。
(2)海外からの調達
①航空輸送 (イ) 航空輸送の概要
○4大国際空港
北京空港、上海浦東空港、広州白雲空港の国内 3大国際空港及び香港空港は、中国 での国際貨物の輸出入に最も多く利用されている。欧米やアジアへの定期路線が多 く、それぞれ華北・東北地方、華東地方、華南地方のハブ空港的な役割を果たしてい る。
○地方の基幹空港
瀋陽、大連、天津、青島、西安、南京、寧波、武漢、重慶、成都などに空港がある。
ただし、各港とも国際路線はアジアが中心となっている。
○4大国際空港の運営状況
規模、運行管理体制ともに国際的水準にある。また、最新設備を誇る貨物ターミナ ルを保有・増設し、保管庫への搬入、仕分けなどはコンピュータで自動制御され、
貨物のハンドリングが確実で、利用面での問題はない。
(ロ) 航空内外路線の推移
<中国の航空路線数>
(路線数) 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年
国際線 134 161 194 244 233
国内線 1,009 1,015 961 1,035 1,024
(資料)「中国統計年鑑2006」
(ハ) 空港整備状況
現在は空港の設置増加よりも、輸送量の増加に対応するための大型空港への統合、
滑走路拡張、増設及びターミナルの増設に重点が置かれている。
<中国の空港数>
1995 年 2000 年 2003 年 2004 年 2005 年
空港数 139 139 126 133 135
(資料)「中国統計年鑑2006」
②海上輸送 (イ) 海上輸送の概要
○中国の主要な対外開放港(国際港)
対外開放港は、輸出入貨物の船積み・陸揚げ作業及び旅客の出入国が可能な港であ る。中国全土に以下の対外開放港がある。
・渤海沿岸:大連港、天津港、秦皇島港、青島港
・華東地方:上海港、寧波港
・華南地方:深圳港、広州港、香港港、厦門港、福州港等
○輸送日数:
天津・横浜間、広州・横浜間は5〜6日、上海・横浜間は 3〜4日を要する。ただし、
欧米への定期航路があるのは天津港、上海港、深圳港、香港港、厦門港だけである。
○問題点:
1つの港(作業区)に1つのターミナル会社が原則で、競争原理が働かず、荷役業務が 保守的で効率性が悪い。ターミナルのコンテナの滞留状況によっては、荷主の費用 負担により強制的に後背地に貨物が移動させられることがある。ターミナル料金が 分かりやすい方法で開示されていない。
(ロ) 港湾整備の状況
○天津港:
コンテナ物流センターを建設、07年までに5バース建設予定。
○大連港:
向かい合う煙台港を結ぶ渤海湾縦断鉄道フェリー計画が進行中。
○上海港:
現在の中心的な港である浦東新区の外高橋港は、河川港のため、大型コンテナ船の 入港に支障を来している。第10次5カ年計画に基づき、「洋山深水港区プロジェク ト」構想に基づき浦東空港の沖合い 30kmに 30 バースを超える世界最大のコンテ ナ港(水深15m)の建設が進んでいる。完成時のコンテナ総取扱い能力は 2,500万 TEU(1TEUは20 フィート・コンテナ1個に相当)で、香港(2,000万 TEU)を 凌ぐ。2020年に完成予定である。コンテナターミナルと陸地は、陸地側にある芦潮 港から片側 3 車線の海上道路(連結橋)を架ける計画である。第 1 期工事は 2005 年に完成した。長さ1.6kmのコンテナバースを設置し、当初の取扱い能力は年220
万TEUである。
○深圳(塩田)港:
2002年より第3期工事を開始、水深16mのバースを4つ増設し、2006年には年間 コンテナ処理能力 200万TEUが可能となった。
2 .製造機械などの調達
輸入設備に関しては、以下の優遇策が規定されている。ただし、中国国内から機械設備 を調達する場合、このような優遇措置を享受することはできない。機械設備の中国国内で の購入に際しては、規定どおりの増値税が課税される。
①保税区、輸出加工区
保税区及び輸出加工区内で生産、建設、管理に必要な設備、物資及び積替貨物を輸 入する場合の輸入関税及び増値税を免除。
②投資奨励業種
全国各地(中西部地区を含む)において「外商投資産業指導目録」の奨励類に属し、
かつ技術移転を行う外商投資プロジェクトが投資総額内で輸入する自家用設備(免税 輸入を認めない輸入商品リストに記載の商品を除く)は関税と輸入増値税を免除、た だし、許可類に属する企業が 100%製品輸出を条件に奨励類とみなされる場合は納税 後5年間分割で還付する扱い。
3 .食品輸入に関する法規制、手続き
(1)外国産食品に関する輸入制度の概要
外国との間で輸出入を行うにあたっては「中華人民共和国税関法」を基本法とする。貨 物輸入のフローは以下の通りである。
<貨物輸入のフロー>
・申告:「報関単(注)」記入、「報関単」審査
・検査:貨物検査
・徴税:税額納付
・貨物解放:貨物解放印に基づいて貨物引き取り
・結関:契約核銷結案(加工貿易の場合に必要)
(注)日本の「通関申告書」に相当
食品の場合は人体に対する直接的な影響を持つものであることから、食品ならではの検 査体制が敷かれている。輸出入商品検査に加えて食品衛生や動植物検疫の観点からも行わ れる。
(2)輸入による原材料調達
①輸入通関
一般的に貨物を輸入するには関税と輸入環節増値税(輸入に関する増値税を指す)
が発生する。しかし、貨物の取り扱いによっては保税扱いとされたり、減免税措置を 受けることもある。以下ではこれについて説明する。
(イ) 一般輸出入貨物
一般輸出入貨物とは、輸出入プロセスの中で、輸出入税金を納付しすべての必要な 税関手続きを完結し、税関が解除した後に再び監督管理をすることがない、輸出入 貨物のことを指す。
【手順】
・輸出入申告
・検査協力
・税金納付
・貨物の引き取りまたは積載
【税関検査の方法】
・外形検査:貨物の外包装、マーク等の照合を行うこと
・抜き取り検査:輸出入貨物から一定比率の貨物をサンプルとして検査を行うこと
・徹底検査:貨物を一件一件開封し検査すること
【税金の納付方式】
・紙ベースの納付書及び領収書に基づいて税関が指定する銀行で税金を納付する
・ネット納税及び支払い。輸出入貨物荷受荷送人またはその代理人は税関が発行す る電子税額納付書と領収書に基づいて、ネットワークを通じて税関が指定する銀 行で納付する。本方式は主として中国電子港湾ネット納税及び支払いを実行して いる税関に適用される
<貨物申告の期限>
種類 期限
輸入貨物 輸入貨物を積載する輸送工具(船舶等の輸送手段)の入国申告日より 14 日以内28 輸出貨物 輸出貨物が税関監督管理局へ運ばれた後、貨物を積み込む 24 時間以前
(ロ) 保税貨物
保税貨物とは税関の批准(許可)を経て納税手続きを終えずに入国し、国内で貯蔵、
加工、組立後再出国する貨物のことをいう。
<保税貨物の種類>
種類 内容
加 工 貿 易 保税貨物
主 として各 種の加工貿 易 のために保税輸入 する原料 ・部材及 びこれら保税原料 ・ 部材を用いて生産する半製品、製品等を指す。
倉 庫 保 税 貨物
主として保税倉庫貨物を指す。
区 域 保 税 貨物
主として保税区及び輸出加工区貨物を指す。