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[2−2]図
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(B)
主要因が国民所得(Y)と利子率(r)の2変数であるとみなして、マクロ の経済活動を分析している。しかし、明らかに(2.13) の1式のみでは
2変数を決定することはできず、生産物市場の均衡を成立させるYとr の組み合わせが求められるだけである。したがって、次にもう1つの貨 幣市場の並行的な分析が必要になる。
以上のような生産物市場のこれまでの議論を図示したものが、上の[2
−2]図である。an図が貯蓄関数、(B)図が投資関数を示す。(A)図は(2.13)
式に対応する関数を図示したもので、均衡の成立のために貯蓄S(Y)に 対応するのは、1(r)+Gであり、それをもたらすべき投資1がどれだ
けかを図の横軸に示している。山中の点線を辿って行けばわかるように、
たとえば、国民所得がY。の水準にあるときには、利子率はr。でなけれ ばならない。この組み合わせをしめしたのが(D咽の点E。である。同様 に、国民所得がY、の水準の時、利子率はr、で、(D)図の点E、が示され る。このような均衡を保証する所得と利子率の軌跡がISと名付けられた 右下がりの曲線である。
4.貨幣市場とLM曲線
貨幣市場の動向は、貨幣当局の行う金融政策(それに伴う商業銀行の 行動を含む)によって決められる貨幣供給と、これに対する民間の支出 者〈家計と企業)の貨幣需要との相互関係として把握することができる。
今、簡単化のために、商業銀行の行動は通貨当局の政策によって支配さ れ、その対民間貸出量、したがって預金通貨の供給量は通貨当局の裁量 に依存すると前提する。つまり、全体としての貨幣供給(M)は、通貨当 局の行う政策によって外生的に決定されるものと考える(M瓢殖)。さら に、前述したように諸変数は実質単位で測られるので、貨幣供給量は物 価水準で除したもの(M/P)とする。
これに対して、貨幣需要(L)は、以前の議論から3っの要因が考えら れ、2っの式で示される。
ω 取引動機および予備的動機に基づく貨幣需要は、国民所得Yによ って示される。
Li=(Y) , Li (Y)>O 〈2.9)
(2)投機的動機に基づく貨幣需要は、貨幣利子率が低いほど大きく、
貨幣利子率が高いほど小さい。したがって、
L2=L2〈r) ,Lゼ(r)<0……(2.10)
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(E)
:一 la =la (r)
[2−3〕図
となる。これらをまとめると、
L =Li十 Lz =Li 〈Y>十 Lz 〈r) (2. 12)
であり、ここで上記の式を、さらに貨幣市場の需給一致式へと発展させ
ると、
M/P= Li (Y)十 L2 (r) (2. 16)
が、成立する。生産物市場のIS曲線と同様に、この場合も未知数はYと rの2つであり、この1式だけでは、貨幣市場を均衡させる両変数の組
合せが求められるだけである。つまり、生産物市場の均衡を示したIS曲 線と、貨幣市場の均衡を示したLM曲線の交点によって一国全体の国民所 得が決定することになるのである。
これも前回と同様に、以上の貨幣市場の議論を図示したものが、前頁 の[2−3]図である。まず㈹図についてである。これは、貨幣市場の需給 一致を示している。縦・横の両軸とも貨幣量が測られているが、この図 では縦軸にL、に向けられる貨幣供給の量を(M、)、横軸にはL,に向け
られる貨幣供給の部分(M、)を示している。続いて(B)図である。この図 においては、(2.10)式に示した投機的動機に基づく貨幣需要と利子率の 関係を示している。一方、O図は取引動機と予備的動機による貨幣需要
と国民所得の関係(2.9)式である。
このようにしてas〜oの3図を総合すると、(2.16)式の貨幣市場の需 給均衡をもたらすYとrの関係が(D)図によって、明確にされる。たとえ ば、国民所得水準がY。のときには、図の点線を辿って行くと③図のE。
が均衡点となり、同様にY。のときにはE、となるのである。このように して、貨幣市場を均衡させるYとrの組合せの軌跡は、図に示されるよ うに右上がりの曲線となり、L=Mの条件を満たす曲線であるため、 LM 曲線と呼ばれている。
r 5.IS−LM分析と国民所得
これまで考察してきたように、生産物市場と貨 幣市場の相互関係のもとで、全体としての国民所 得水準が決定される。すなわち、
S (Y) 1iE Y−C 〈Y)= 1 (r>十G・一・ ・一 〈2. 13)
M/P=Li 〈Y)十 L2 (r)・d・t一 (2, 16)
の2式によって、あるいはそれぞれの式に対応す。
るIS曲線とLM曲線によって、経済全体を均衡させ [2−4]図
r.
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Yt Ye
[2−5]図
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工S
一>X 〈. (1〈S)
(1>S)
一) N〈一
一 N 〈一
[2−6]図
Y
る、国民所得水準と利子率水準が同時決定されるのである。前頁の[2−4]
図は、生産物市場の均衡を示す[2−2]の(D)図と貨幣市場の均衡を表す[2−
3]の(D)図を一つの図に重ねたものである。言うまでもなく、いずれの図 においても縦軸に利子率r、横軸にYを測るまったく同次元のグラフで あり、この作図について問題は見出せないであろう。ワルラス怯剣をめ
ぐる議論(2.生産物市場と貨幣市場の役割)で指摘したように、両市場 によって一国経済の全体としてのマクロ的把握が可能であり、[2−4]図 による接近方法をIS−LM分析という。図から明らかなように、全体とし て一国経済を均衡させる国民所得水準と利子率水準は、それぞれY審と
r*であるe
では、続いて現実の経済がこのようにIS−LM曲線の交点で示されるY*
・r*に収束していくかどうかについて検討する。
まず、上の[2−5]図について考えてみよう。IS曲線上にあるE。におい て生産物市場の需給は一致しており、国民所得Y。と利子率r。が与えら れている。そこで、利子率がr。で国民所得がY、の場合について考える。
すなわち、このケースを数式で示すと 1(ro) S(Ya>, Yi〈Yo
となる。貯蓄Sは国民所得の関数であり、Y、の国民所得では、投資に 対して貯蓄が小さくなっていることになる。同様に、
S(Yi>〈S(Yo>, 1(re)>S(Yi>
と表現される。これは、IS曲線の成立過程で考察したように Yd=C十1, Y=S十C, Yd>Y
の状態を示し、超過需要を意味している。したがって生産増によって均 衡へと向かうことになる。また、逆の場合も同様の逆の動きが考えられ、
[2−6]図で示しているようにIS曲線を境として矢印のような変化を確認 することができる。
次に、貨幣市場について考えよう。[2−7]図に示しているようにLM曲 線上のE。において国民所得Ygと利子率reば均衡している。今、国民 所得がY。で利子率がr、の場合を想定しよう。これを数式で示すと M/P=Li(Yo)十L2(ro), ro>ri
のようになる。ここで、先の(2.7)式を考えると、投機的動機による貨 幣需要L、は利子率がr、に下降することにより、需要増になる。すなわ
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Lz ( re 〉〈 Lz ( ri), M= Li (」ilo>+ Lz ( re )〈 Li (Yo 〉+ L2 (ri)
r、のときにM<L
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LM
Yo
[2−7]図
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T
[2−8]図
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(M〈L>
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Y
となる。このように、利子率はr、では安定 r
しないで、上昇傾向へと進むことになる。 LM また、IS曲線の場合と同様に、逆のケース
についても(すなわち利子率をr。よりも高 く設定したとき)、これとは逆の動きとなり、
[2−8]図のように、曲線を境に矢印のような 変化が見られる。
[2−9]図は、[2−6]図と[2−8]図を合わせた
たものでありこの図でも示されているよう [2−9]図
に、一一国の経済は、IS−LM曲線の交点で示されるY*・避に収束してい くことになる。
6.IS−LM分析と金融政策効果
最後に、このIS−LM分析により、金融政策の効果について考察してみ よう。既に見てきたように、金融政策は一般に貨幣供給量の変化を目的 としたものである。したがって、この政策は[2−3]図の㈲をまず変化さ せる。すなわち、買いオペレーション等による貨幣供給量の増加は、[2
−10]図の㈹の右下がりの45度線を外側にシフトさせ、それに応じてLM曲 線を右にシフトさせる([2−10]図の(D,のLMt)。逆に、売りオペレーショ
ンにおいては、これとは逆の結果が得られる([2−10]図を参照)。LM曲線 のこの移動は、[2−11]図に示されるように、国民所得をY*からY に増 加させ、利子率をr*からかに低下させることになる。
国民所得が増加する理由を整理しておくと、まず貨幣供給量の増加は 貨幣市場に超過供給をもたらす。これは先の方程式を利用すれば、M>
L、(Y)+Lz(r)と考えられる。この超過供給から利子率rが低下する。
このような利子率の低下は、投資を促進し、国民所得は増加すると考え るのである。
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(D) ・ (B}
[2−10]図 r
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[2−11]図
以上のような金融政策の効果は、ケインズ・トービン効果と呼ばれ、
安定したマクロ経済活動の維持に不可欠なものである。
このように、マクロ分析の基礎となるIS−LM分析によって裁量的な金 融政策の有効性が認められる。しかし、この分析についても数多くの議 論があり、最後に、この分析の意義と問題点について簡単にまとめてお
くことにする。
7.IS−LM分析の意義と限界
前項までで考察してきたように、ヒックスによって考案されたIS−LM 分析は、実に明快な説明であり、r一般理論』の革新性を容易に理解さ せる分析である。この革新性について、ヒックスは[X2−9]「両者(所得
と利子率〉は同時に決定される。ちょうど需要と供給の近代理論におい て、価格と産出量とが同時に決定されたように。実際、ケインズ氏の革 新はこの点で限界主義者達の革新に極めて類似している。貨幣数量説は、
利子を考慮せずに所得を決定しようと試みて巨る。ちょうど労働価値説 が産出量を考慮せずに価格を決定しようとしたように。これらはいずれ もより高度の相互依存関係を認識する理論によってとって代わられねば ならないのである。」と述べ、ケインズ理論による古典派理論の革新を 主張する。しかも、ピックスのこの分析は、前項で検討したように政府 による経済政策の効果を明確に示すことがで
きるという利点を持っているのである。この 利点は、なにもケインズ派の主張だけにとど まらず、1960年代に盛んに行われた議論でも 有効であった。すなわち、〔X2−10]マネタリス
ト・ケインジアン論争の第一段階といわれる 議論においては、IS曲線とLM曲線の形状の違 いが問題とされたのである。つまり、マネタ
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[2−12]図
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