第7章 省エネルギー効果、環境改善効果・環境社会面への
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(1) インフラ導入による省エネルギー効果
1) 概要
給水システムにおけるエネルギー消費の大部分は、水の圧送に必要なポンプなどの動力で消費され る電力である。これまで国内でも、ポンプの揚水力を一定とした弁による水量調節システムから、コ ンバータ等の導入によって必要に応じたポンプの圧送力調整システムに変更することで、浄水場や建 物等での給水システムにおける省エネルギー化が進められてきている。本調査事業では、このような 日本が有する技術・製品をシステムとしたインフラ・システム輸出を目指すものであり、上記の省エ ネルギー化におけるノウハウ等も含めたシステムとして、インフラ輸出を拡大するものである。この ため、計画段階である本調査対象事業のタギボ工業団地で、エネルギー効率の高い給水システムの導 入を目指し、検討を行うものである。
7-2 2) 省エネルギーに資するレイアウト
浄水場などの規模での水圧送システム構築において、上述の通り、システムの消費電力の大部分が ポンプ等に必要な動力であることから、システム全体での省エネルギー化を目指すためには、システ ム内の諸施設のレイアウトを適切に配置することが極めて重要である。即ち、位置エネルギーを利用 して、システムの上流側に分類される浄水場や貯水池、圧送システム等を位置エネルギーの高い場所 にレイアウトし、重力に反する圧送を極力避けることである。また、一般的に圧送しない下水システ ムにおいても、ポンプアップを極力減らして位置エネルギーを活用することが基本的な考え方である。
このような考えの下で、対象となるタギボ工業団地内のレイアウトを検討した。
当該用地の測量結果から、ほぼフラットの用地であるものの、用地内では最も取水場所にも近い下 図の右側(山側)が高いことが確認できた。このため、より位置エネルギーの高い右側(山側)に、工 業用水用の上水所、貯水池、圧送設備等を配置する計画とした。同様に、下水においても位置エネル ギーの高い右側(山側)から左側(道路・海側)に向かって排水を流下させた上で、最終の排水処理を 左側(道路・海側)にレイアウトすることで、集水のために消費されるエネルギーを抑えるレイアウ トとして計画している。
図 7-1-1 タギボ工業団地の給水・排水インフラレイアウト 出典:調査団作成
プロジェクト予定地
7-3 3) 管路における省エネルギー
管路における省エネルギー対策は、①省エネルギー製品の導入、②適切な規模での計画による省エ ネルギー化、③ライフサイクルでの省エネルギー化、の大きく 3 点に分けられる。
①は、管路内分の摩擦の少ない製品を導入する事での流水円滑化を図り、省エネルギーを目指す視 点であるが、製品の相違による差が極めて小さく、長期に亘って運営することから、管路内部には付 着物が取りつくために、導入製品による違いがほとんどないため、有効性に乏しい。
②は、必要流量に応じた適切な規模の管路を配置するもので、初期にかかる管路整備費のみならず、
長期の運営期間での圧送ポンプ運転による消費エネルギーを左右するものであり、極めて重要である。
調査対象のタギボ工業団地は、フェーズ 1 から 3 まで段階的に拡張を予定している事業であることか ら、基幹ネットワークは将来的な拡張を見越した配置にならざるを得ないが、拡張後の水需要を適切 に見越した管路配置を進めることが必要である。
③は、長期間で安定的に機能する管路ネットワーク構築によって、頻繁な補修工事等によるエネル ギーを軽減するものである。工業用地内の道路地下に配置する主要ネットワークの管路は、敷設後は 基本的に手を加えることは無い。このため、管路を長期間安定的に稼働させるためには、a)信頼性の 高い製品の導入、b)過荷重がかからないための適切な設計並びに過積載車両の通行禁止などの適切な 工業団地運営、c)適切な敷設工事、が極めて重要である。
本調査では、対象事業の計画熟度から、全エリアの水需要量を一定と想定して管路レイアウトを検 討したものであるが、計画熟度が高まった段階で、より詳細に必要施設規模を再確認し、上記の視点 から、省エネルギー化を再検討する必要がある。これは、低炭素であることや省エネルギーであるこ との社会的な意義のみならず、工業団地事業の運営コストにも直接つながるものであり、事業進捗に 合わせて検討を進める必要がある。
4) 水処理施設における省エネルギー効果
上水・下水共に水処理施設では多くの揚水を必要とし、これらの動力が極めて大きなエネルギーを 消費する。また、ろ過施設を通す場合には圧力を加える必要があり、圧送のための動力にも大きなエ ネルギーを要する。浄水品質を高める場合にはキメの細かいフィルターを通すため、高い圧力が必要 で、圧送にかかるエネルギーも多くなる。一方で、浄水品質を下げることで必要な圧力とそれに応じ た圧送エネルギーを下げることができる。
本調査対象事業は工業団地であり、水の供給側で求められるのは工業用水であるため、工業団地事 業におけるサービスレベルとしての工業用水品質の設定を経て、導入設備の詳細検討時に、必要品質 に応じた浄水設備を選定することで、よりエネルギー消費の少ないシステムにすることができる。
また、排水処理側においても、処理後の放水側で求められる水質基準がある一方で、処理場に流入 する各工場からの排水の水質によって、処理場の負荷とそれに応じたエネルギー消費量が変動する。
通常、工業団地では、各入居企業が法制度上で求められる水質に処理した上で、工業団地内の下水ネ ットワークに流すのが一般的で、本調査が対象とする下水処理設備は、各入居企業の水処理が十分で ない場合等の暫定的な浄水を実施可能とするための設備である。このため、入居企業が具体的に決ま った段階や操業開始後の運営段階で、各入居企業の排水水質をモニタリング把握しながら、必要最小 限の運転を行うことで、消費エネルギーを抑制することが可能である。
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(2)環境改善効果と環境影響
1) 質の高い水インフラ導入による環境改善効果
運営段階の浄水過程における凝集沈殿に必要な凝集剤混合では、希釈・噴霧注入方式を採用する事 により凝集剤注入量が最大 4 割削減できる。資材消費量の削減に資すると共に、ろ過工程で排出され る凝集剤の廃棄物量も抑制することが可能である。また、沈澱池では傾斜管沈降装置を採用すること で、従来の接着剤による製法ではなく、超音波を用いた溶着による製法であり、製造時も使用時も環 境に優しい装置であり、接着剤の溶出もない安心な浄水設備を構成する設備である。さらに、将来的 な水需要増加にも装置高さを高くする事で対応が可能な設備である。
管路ネットワークでは、地震等の災害に強い管路を構築するものであり、質の高い浄水設備で適切 な水質に浄化された水を流すことで腐食も少なく、長期に亘って安定的に使えるシステムを構築する ことで、ライフサイクルでの土地改変を抑制でき、無駄な資機材の使用を抑制することが可能である。
2) プロジェクト実施による環境影響
最終的排水前の浄水設備では、各入居企業に適正処理を求めるのと同時に、工業団地としても最終 排水の水質を確保する構成である。環境政策制度で求められる水質を確保することで、地域への環境 影響を極めて小さく抑えるものである。