8-1
(1) 日本企業の優位性
1) 水 イ ン フ ラ 全 般
社会インフラ技術の海外展開は日本政府の重要な成長戦略となっている。水関連、電力、再生可能 エネルギー、工業団地等の技術は、世界でもトップレベルにあることが主な理由である。例えば日本 の水道インフラにおける漏水率は世界的に見ても群を抜いて低い。東京都においては漏水率 2.7%と世 界のトップレベルである(表 8-1-1)。また、日本の電力会社における停電回数においても世界的に比 較して非常に少ない(表 8-1-2)。これらのインフラ設備は日本の基準に適合した本邦技術・資材が支 えておりそのポテンシャルは非常に高いと言える。これは高い技術開発力・効率の良い生産設備・厳 格な品質管理・適正な施工・運用方法によるものであり、他国に比較して非常に高い優位性を持って いると言える。
出典:東京都ホームページ くらしと統計 2013 図 8-1-1 世界主要都市別の漏水率
出典:東京電力㈱ホームページ 数表で見る東京電力 図 8-1-2 1 軒あたりの停電回数の国際比較
8-2 2) 管 路
水道管路構築においては、施工品質の良否により供用後、漏水などのトラブル発生率に影響をあた えるため、設置環境に見合った設計を行うことが重要である。水道管に日本製品を採用することで、
付随的に最適な配管設計支援を受けることができ、適切な設計と施工を行うことで長期間トラブル無 く供用することができ、ライフサイクルコストの削減が可能となる。施工においては、同様に管路製 造業者に施工監理技術者の派遣要請ができ、適切な施工を進めることができ、様々な施工現場に精通 した施工監理技術者の指導により最適な施工品質を保つことが可能で、加えて、各種技術資料、接合 マニュアルの提供など、施工をサポートするサービスも受けることが可能である。
一般的に日本企業が提供する管製品は、最新の鋳造・加工技術を取り入れた設備で生産が行われて おり、日本基準による厳格な品質管理が行われている。また、日本水道協会や日本下水道協会の検査 を合格した製品のみ出荷可能となっており、第三者検査機関によって品質が担保されている。これら の監理体制の下で製造された管製品は、初期の導入コストは高価となるものの、長期に亘って共用さ れるライフサイクルでみたコストでは、諸外国の製品に比べて競争力を発揮する。
ダクタイル鉄管においては、製品製造からの輸送時や現場施工時に、内面モルタルライニングの亀 裂から管体に腐食が生じるケースがあるが、日本企業が提供する輸送時のパッキングでは破損を生じ ることは稀で、施工時のサポートサービスも含めて、安定的に稼働する質の高い管路を構築すること ができる。
また、ダクタイル鉄管については、日本国内の水道管路で多く採用されており、メンテナンス技術 の蓄積がなされていることから、将来的、あるいは災害時等での構造物診断で、日本企業が提供でき るエンジニアリングサービスのレベルは極めて高い。
一方、FRPM 管は材質に酸化物を使用していないため錆は発生せず、強酸環境下(pH=0)においても 50 年間腐食しないことが日本下水道協会によって証明されており、災害等の被害が無い中では極めて 長期に亘って利用可能な製品であり、他の製品に比べて極めてライフサイクルコストでの競争力の高 い製品である。
図 8-1-3 FRPM採用によるLCC抑制効果(イメージ)
8-3
表 8-1-1 日本製品の製品別優位性比較(ダクタイル鉄管)
出典 調査団調べ
表 8-1-2 日本製品の製品別優位性比較(FRPM 管)
出典 調査団調べ
8-4 3) バ ル ブ
バルブの導入検討においては、地形・地質等の与条件と、管路全体の制御方法やネットワークの形 状、流量、流速、水圧、逆流の有無などの基本的な条件から、適所に特殊弁を備えて各機能を持った バルブを設置していく必要がある。また、緊急時(停電、風水害、地震等)の突発的な事象から管路 を守る機能の付加、管路としての機能確保の要件レベル、将来的な管路延伸計画等、事業そのものに 係る条件を基に、各種バルブ配置を検討する必要がある。また、将来的に必ず発生するメンテナンス 時を想定して、一部管路の遮断時でも安定的な水供給体制が確保されるように、要所には必要なバル ブを設置すると共に、突発的な事象発生時でも、管路やバルブを守る機能を備えたバルブ等の設置を 想定している。
表 8-1-3 日本製品の製品別優位性比較(バルブ)
出典 調査団調べ
8-5 4) 上 水 処 理 施 設 及 び 排 水 処 理 施 設
浄水処理施設については、安定的かつ効率的な浄水処理が可能で運転が容易であることや、ライフ サイクルコスト(LCC)に優れ、かつ製品製造時の環境負荷も少ないことから急速濾過方式を計画してい る。
また、排水処理施設には、日本国内や比国でもマニラ首都圏の下水処理場で採用されている標準活 性汚泥法を導入するものである。温暖な気候を利用した水処理プロセスにより処理時間を短縮すると 供に、処理量が 9,800m3/日と小規模であることから、施設全体の機能合理化・省スペース化と建設費 の抑制を目指す。処理時間短縮に加え、反応槽は全面かつ適切な曝気量により運転費の約3割を占め るブロアの消費電力を約2割削減し、低炭素化に寄与する。コスト的にも、省エネルギー化により施 設全体のライフサイクル・コスト低減させることが可能である。
いずれの製品も、イニシャルコストでの日本製の競争力は低く、長期に亘って安定稼働することで ライフサイクルコストにおいて競争力を発揮できる製品である。
表 8-1-4 日本製品の製品別優位性比較(浄水処理施設)
出典 調査団調べ
表 8-1-5 日本製品の製品別優位性比較(排水処理施設)
出典 調査団調べ