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監督・監査任務の実現に関する仕組み――委員会制度

ドキュメント内 雑誌名 同志社法學 (ページ 38-42)

監査法人)の報酬の決定権については、監査役会が有するものとされてい る142)

第4節 監査役の責任

 監査役は、自己の義務に違反し、会社に損害を与えた場合には、会社に対 し損害賠償責任を負う(株式法117条2項1文)。当該監査役の義務について は、株式法93条による取締役の注意義務が準用される(株式法116条1項1 文)。監査役の注意義務を具体化したものが、上記の監督・監査権限であ る143)。また、監査役は、監督・監査を怠った場合に、株主代表訴訟により 責任追及を受ける可能性がある(株式法147条)。これらの規定は、監査役に 法規定を遵守させ、積極的に監査権限を行わせる機能を果たしている。

 その後、ドイツ版

CGK

第5章(5.3)では、委員会の設置が勧告され た145)。そこでは、監査役会は、必要に応じて、多種類の委員会の設置がで きる(

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5.3.1)146)、特に、上記の会計知識・経験を有する者で構成される 監査委員会の設置とされている(CGK5.3.2)。さらに、この勧告では、「勧告 を遵守しなければ、説明すべき(

Entsprechens

-

Erklärung

)」147)というルール が採用されているため、前記の株式法に比べて、監査役会の委員会の設置を 会社に強く促す効果があったと考えられている148)。しかし、当該勧告を遵 守しない場合における説明が十分であるかを判断する基準は、明確であると はいえないため、その効果が限定的になる可能性がある。この可能性を防ぐ ために、上場会社の取締役会および監査役会は、毎年、連邦司法省によって 任命された基準策定委員会が公表するように規定されている勧告の遵守状況 を報告すべきであり、勧告を遵守しないのであれば、その理由を説明すべき であるとされている(株式法161条1項)。また、会社の役員がドイツ版

CGK

を遵守しない場合には、訴訟の対象になされることもある149)。そのた

145) ドイツ版CGKの第5章の5.3は、監査委員会の設置を勧告する。この勧告は、1998年4月 27日の「企業領域における統制および透明化のための法律(KonTraG)」(Gesetz zur Kontrolle und Transparenz im Unternehmensbereich)において、監査役が、会社の年度会計決算に参加 す る こ と が 義 務 づ け ら れ た こ と に よ る も の で あ る。Christoph Ernst/Ulrich Seibert/Fritz Stuckert, KonTraG/KapAEG/StückAG/EuroEG, IDW-Verlag GmbH, (1998), 13.

146) Kremer, in T. Kremer/G. Bachmann/M. Lutter/A. Werder/H. Ringleb (Hrsg.). Deutscher Corporate Governance Kodex, (2016), §5.3.1, Rdn. 1281. それ以外に、学説および実務上は、以 下①から④の委員会の設置を監査役会に勧告する。すなわち、「①人事委員会(Personalausschuss)

である。当該委員会は、取締役に関する事務を取り扱う。②会社の戦略、財務および投資に関 する委員会は、取締役会が会社の事業戦略の作成に関する事務を取り扱う。③指名委員会

(Nominierungsausschuss)である。当該委員会は、新しい監査役会の構成員の選任に関する事 務を取り扱う。

147) Semler, in B. Kropff/J. Semler (Hrsg.) Münchener Kommentar zum Aktiengesetz, Band 5/1, (2.

Auflage, 2003), §161, Rdn.11.

148) Semler, a.a.O, Rdn. 12.

149) そのような判例として、BGH, Urteil vom 16. 2. 2009- ⅡZR 185/07 (OLG Frankfurt a.M.), お よびBGH, Urteil vom 21. 9. 2009- ⅡZR 174/08(KG)が挙げられる。これらの判例は、会社が 直接にドイツ版CGKによる5.5.3の勧告を遵守しなかったことが問題となった。遵守しないこ とについての会社の説明の適法性は、裁判所により判断される。

めか、2010年において、ドイツのすべての上場会社の85.5%の会社およびド イツ株価指数(Deutsch Aktien Index : DAX)150)を構成する95%の会社は、ド イツ版

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を遵守していたことが報告されている151)

1 委員会制度の特別規定

 既述のように、監査役会の監督・監査権限を最大限に果たすことを目的と して、監査役会の下に各種の委員会を設置することができる。しかし、監査 役のすべての任務を委員会に委託することを認めると、監査役会の権限の形 骸化を招きかねない152)。そのため、株式法は、会社の運営にとくに影響を 及ぼすものとして、監査役会が委託できない職務を定めている(株式法107 条3項4文前段部分)153)。この職務については、個別の委員会によらず、監 査役会の全員に意見を聞き取り、監査役会において総合的に判断するものと されている。また、監査役会は、自分の組織体制(たとえば、監査役会の内 部の各委員会の設置)および組織運営(監査役会の各委員会が監督・監査任 務を執行する際の連携のことである)については、個別の委員会に委託する ことができないものとされている154)

150) DAXは、ドイツのフランクフルト証券取引所で取引される上場銘柄の中から、特に、ドイ ツ企業の優良30銘柄を選択する対象として時価総額加重平均指数である。

151) Clemens Börsig/Marc Löbbe, Die gewandelte Rolle des Aufsichtsrats. 7 Thesen zur Corporate Governance Entwicklung in Deutschland (Festschrift für Michael Hoffmann-Becking zum 70.

Geburtstag, 2013), 141.

152) Hopt/Roth, Fn (122), §107 Rdn. 402.

153) たとえば、さらに、主席監査役および次席監査役の選出(株式法107条1項1文)、賃借対 照表利益(Bilanzgewinn)に関する配当の同意(株式法59条3項)、取締役に対する職務規定 の公表(株式法77条2項1文)、取締役の最初、その後の選任および任期の延長(株式法84条 1項1文および3文)、代表取締役(Vorstandsvorsitzender)の任命(株式法84条2項)、取締 役および代表取締役の解任(株式法84条3項1文)、取締役の報酬(株式法87条1項)、取締役 の報酬の減少(株式法87条2項1文および2文)、臨時株主総会の招集(株式法111条3項)、

年度決算および独立性の監査(株式法171条)、株主総会に報告(株式法314条2項および3項)

である(株式法107条3項4文前段部分)。

154) Habersack, Fn (105),§107. Rdn.144.

2 委員会の運営体制

1) 委員会の会議の参加者(監査役会の構成員および取締役)―(原則)

 監査役会または取締役会の構成員でない者は、監査役会の委員会の会議に 参加すべきでないとされている(株式法109条1項1文)。この条文の文言か らすると、取締役は、監査役会の委員会の会議に参加できるように思われる。

実際に、各委員会が監督・監査を十分に行使するためには、取締役の協力が 不可欠である(たとえば、必要な場合において、委員会が会社の経営状態お よび財産状態などに関する情報の提供を求め、または取締役に対してヒアリ ングを行うことに対して、取締役が協力することが考えられる)。このよう な取締役の協力は、ドイツ版

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においても勧告されている(ドイツ版

CGK

3章)。しかし、各委員会は、監査役会の下部の組織であり、各委員会は、

監査役会と同様に、取締役からの独立性を確保する必要がある。そのため、

委員会の決議においては、取締役は、議決権を有しないとされている155)

2)  委員会の構成員ではない監査役会の構成員の参加排除(Ausschluss ausschussfremder Aufsichtsratsmitglieder)

 監査役会の構成員は、監査役会の委員会の構成員ではなくても、監査役会 の委員会の議事に参加することはできる(株式法109条2項)。しかし、主席 監査役は、重要な理由・合理的な理由(利益相反・会議の進行に意味がない メンバーなど)が認められる場合は、当該構成員の委員会の会議の参加を認 めないことも可能とされている156)

3) 委員会の参加者(監査役会および取締役以外の者)―(例外)

 各委員会の監督・監査の内容は、技術的または専門的なものである。その

155) Hopt/Roth, Fn (122), §109, Rdn. 51.

156) Habersack, Fn (105), §109, Rdn. 26. たとえば、監査委員会の会議を行う場合には、会計知識・

経験を有する監査役会の構成員の参加は望ましい。これに対して、当該知識・経験を有しない 構成員の参加は当該会議に望ましいとはいえない。そのため、これらの構成員の参加は主席監 査役により排除することができる。

ため、例外的に、専門家または情報提供者(

Auskunftspersonen

)は、個別 の問題に関する助言(Beratung)をするために、委員会の会議に参加するこ とができる(株式法109条1項2文)。もっとも、既述のように、各委員会は、

すべての問題に対して助言することはできない。また、専門家の任命は、監 査役会の決議によらなければならず、個別の委員会の構成員のみによって決 定することはできない157)。これに加え、同じ専門家に繰り返し委託するこ とは、会社との利益相反を生じさせるおそれがある。それゆえに、同じ専門 家が長期間関与することは認められない158)

 これに対し、情報提供者は専門家と異なり、専門性は特に求められるもの ではない。たとえば、ある者は、会社の特定部門に長期的に勤務をし、その 部門を熟知している者は、その情報が委員会の監督にとって有用であれば、

当該委員会の会議に参加することができる。その情報提供者の範囲は、会社 外部の者、会社の従業員などが含まれる159)

ドキュメント内 雑誌名 同志社法學 (ページ 38-42)

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