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表 19 審判等における審理の方式と参加

分類 審判等の名称 審理の方式(原則) 参加

査定系 拒絶査定不服審判 書面審理 不可

査定系 補正却下不服審判 書面審理 不可

登録異議の申立て 書面審理 可

当事者系 商標登録無効審判 口頭審理 可

当事者系 不使用取消審判 口頭審理 可

当事者系 不正使用取消審判(商標権者) 口頭審理 可 当事者系 不正使用取消審判(移転) 口頭審理 可 当事者系 不正使用取消審判(使用権者) 口頭審理 可 当事者系 不当登録取消審判(代理人等) 口頭審理 可

判定 書面審理 不可

登録異議の申立て及び審判の種類と手続を学ぶ。

登録異議の申立て(商標法

43

条の

2)

査定系審判(登録前)

①拒絶査定に対する審判(拒絶査定不服審判、商標法

44

条)

②補正の却下の決定に対する審判(補正却下不服審判、商標法

45

条)

当事者系審判(登録後)

③商標登録の無効の審判(商標登録無効審判、商標法

46

条)

④商標登録の取消しの審判(不使用取消審判、商標法

50

条)

⑤商標登録の取消しの審判

(

不正使用取消審判

(

商標権者

)

、商標法

51

)

⑥商標登録の取消しの審判(不正使用取消審判(移転)、商標法

52

条の

2)

⑦商標登録の取消しの審判(不正使用取消審判(使用権者)、商標法

53

条)

⑧商標登録の取消しの審判(不当登録取消審判(代理人等)、商標法

53

条の

2)

再審(やり直し)

商標権の効力の制限

6-1. 総論

図 100 商標登録出願 (特許庁「出願の手続」4頁) (抜粋)(3)

登録異議の申立ては審判とは別異の制度である。

商標法には以下の8種類の審判が規定される。○印は重要な審判を示す。

登録異議の申立て(商標法

43

条の

2) 上図青枠 (審判ではない。)

査定系審判(登録前) 上図赤枠

○①拒絶査定に対する審判

(

拒絶査定不服審判、商標法

44

)

②補正の却下の決定に対する審判(補正却下不服審判、商標法

45

条)

当事者系審判(登録後)

○③商標登録の無効の審判(商標登録無効審判、商標法

46

条)

○④商標登録の取消しの審判(不使用取消審判、商標法

50

条)

⑤商標登録の取消しの審判

(

不正使用取消審判

(

商標権者

)

、商標法

51

)

⑥商標登録の取消しの審判(不正使用取消審判(移転)、商標法

52

条の

2)

⑦商標登録の取消しの審判(不正使用取消審判(使用権者)、商標法

53

条)

⑧商標登録の取消しの審判(不当登録取消審判(代理人等)、商標法

53

条の

2)

6-2. 登録異議の申立て

表 20 登録異議の申立て理由 43条の2 条 項 規定内容

1号

3条 商標登録の要件

4条 1項 商標登録を受けることができない商標 7条の2 1項 地域団体商標

8条

1項 先願(異日) 2項 先願(協議) 5項 先願(くじ)

51条 2項 商標登録の取消しの審判(不正使用取消審判(商標権者)) 52条の2 2項 商標登録の取消しの審判(不正使用取消審判(移転)) 53条 2項 商標登録の取消しの審判(不正使用取消審判(使用権者)) 特25条 外国人の権利の享有

2号 条約

3号 5条 5項 経済産業省令で定める商標の詳細な説明の記載及び物件 商標法8条1項は、登録異議の申立て理由ではあるが拒絶理由ではない。審査では 商標法4条1項11号(他人の登録商標)で拒絶するため。

商標法6条(一商標一出願)は、拒絶理由ではあるが登録異議の申立て理由ではない。

商標法43条の2(登録異議の申立て)

何人も、商標掲載公報の発行の日から二月以内に限り、特許庁長官に、商 標登録が次の各号のいずれかに該当することを理由として登録異議の申立 てをすることができる。この場合において、二以上の指定商品又は指定役 務に係る商標登録については、指定商品又は指定役務ごとに登録異議の申 立てをすることができる。

一 その商標登録が第三条、第四条第一項、第七条の二第一項、第八条第 一項、第二項若しくは第五項、第五十一条第二項(第五十二条の二第二項 において準用する場合を含む。)、第五十三条第二項又は第七十七条第三項 において準用する特許法第二十五条 の規定に違反してされたこと。

二 その商標登録が条約に違反してされたこと。

商標法43条の3(決定)

登録異議の申立てについての審理及び決定は、三人又は五人の審判官の合 議体が行う。

2 審判官は、登録異議の申立てに係る商標登録が前条各号の一に該当す ると認めるときは、その商標登録を取り消すべき旨の決定(以下「取消決 定」という。)をしなければならない。

3 取消決定が確定したときは、その商標権は、初めから存在しなかつた ものとみなす。

4 審判官は、登録異議の申立てに係る商標登録が前条各号の一に該当す ると認めないときは、その商標登録を維持すべき旨の決定をしなければな らない。

5 前項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。

形式的瑕疵に過ぎないため。

商標法51条2項、52条の2第 2項、53条 2項は、各審判において取消の審決を受 けた商標又はそれに類似する商標が5年間登録を受けることができないことによる。

図 101 登録異議申立制度の手続概要(手続フロー図)(特許庁「商標登録異議申立書の書き 方のガイドライン」135)

135 特許庁「商標登録異議申立書の書き方のガイドライン」

http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/att00003.htm

図 102 異議申立書の様式見本(特許庁「商標登録異議申立書の書き方のガイドライン」)

登録異議の申立てができる期間は2月しかないので136、商標公報の発行を監視して おく体制が必要である。指定商品又は指定役務ごとに申立てをすることができる。原 則として、書面審理、職権審理が採用される。申立ての理由は、申立期間経過後 30 日まで補正することができる。従って、とりあえず申立書を提出し、追って申立ての 理由を補充してもよい。なお、登録異議の申立て後は審判官と商標権者のやり取りに なるので申立人が口をはさむことはできない。

136 特許異議の申立て(特許法113条)ができる期間は特許掲載公報の発行の日から6月である。

6-3. 査定系審判

表 21 査定系審判

条 規定内容

44条 拒絶査定に対する審判(拒絶査定不服審判)

45条 補正の却下の決定に対する審判(補正却下不服審判) 6-3-1. 拒絶査定不服審判

商標法56条により特許法132条3項が準用される。

商標法44条(拒絶査定に対する審判)

拒絶をすべき旨の査定を受けた者は、その査定に不服があるときは、その 査定の謄本の送達があつた日から三月以内に審判を請求することができ る。

2 前項の審判を請求する者がその責めに帰することができない理由に より同項に規定する期間内にその請求をすることができないときは、同項 の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつ ては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその請求をすることがで きる。

特許法132条(共同審判)

3 特許権又は特許を受ける権利の共有者がその共有に係る権利につい て審判を請求するときは、共有者の全員が共同して請求しなければならな い。

図 103 拒絶査定不服審判全体フロー図(特許庁「審判の概要(制度・運用編) 平成26年 度」13724頁)

137 特許庁「審判の概要(制度・運用編) 平成26年度」

https://www.jpo.go.jp/torikumi/ibento/text/pdf/h26_jitsumusya_txt/09.pdf 審 査 の 時 と は 異 な る

拒絶理由あり。

原則として、20 日内 に審決をする。

図 104 「審判請求書」作成見本(特許庁「審判の概要(手続編) 平成26年度」1388頁)

138 特許庁「審判の概要(手続編) 平成26年度」

https://www.jpo.go.jp/torikumi/ibento/text/pdf/h26_jitsumusya_txt/10.pdf

図 105 「審判請求書」作成見本(続き)(特許庁「審判の概要(手続編) 平成26年度」9頁)

原則として書面審理

審判官の除斥、忌避(拒絶査定不服審判以外の審判においても同様)

職権主義(職権進行、職権審理):商標権の公権的性質による。民事訴訟の一般原則 は弁論主義である。

除斥:裁判官・裁判所書記官・執行官などが、特定事件につき不公平な取 扱いをするおそれの著しい法定の原因(除斥原因)がある場合に、その事件 につき職務執行の資格を失うこと。(広辞苑第五版)

忌避:訴訟事件等において、裁判官または裁判所書記官などが不公平な裁 判を行うおそれのある場合に、訴訟当事者の申立てによって、それらの人 をその事件の職務執行から排除すること。(広辞苑第五版)

特許法139条(審判官の除斥)

審判官は、次の各号のいずれかに該当するときは、その職務の執行から除 斥される。

一 審判官又はその配偶者若しくは配偶者であつた者が事件の当事者、

参加人若しくは特許異議申立人であるとき、又はあつたとき。

二 審判官が事件の当事者、参加人若しくは特許異議申立人の四親等内 の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあつたとき。

三 審判官が事件の当事者、参加人又は特許異議申立人の後見人、後見 監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。

四 審判官が事件について証人又は鑑定人となつたとき。

五 審判官が事件について当事者、参加人若しくは特許異議申立人の代 理人であるとき、又はあつたとき。

六 審判官が事件について不服を申し立てられた査定に審査官として関 与したとき。

七 審判官が事件について直接の利害関係を有するとき。

特許法141条(審判官の忌避)

審判官について審判の公正を妨げるべき事情があるときは、当事者又は参 加人は、これを忌避することができる。

2 当事者又は参加人は、事件について審判官に対し書面又は口頭をもつ て陳述をした後は、審判官を忌避することができない。ただし、忌避の原 因があることを知らなかつたとき、又は忌避の原因がその後に生じたとき は、この限りでない。

続審主義139:審査の続きであって、やり直しではない。

拒絶査定不服審判において新たな拒絶理由が発見された場合は、拒絶理由が通知さ れる。それに対して、意見書、手続補正書を提出することができる。審査における補 正の却下に対する対応は以下のとおりであった。

審査における補正の却下(商標法16条の2)

→ 補正の却下の決定に対する審判(商標法45条)

→ 補正後の商標についての新出願(意匠法17条の3準用)

拒絶査定不服審判における補正の却下に対する対応は以下のようになる。

拒絶査定不服審判の係属中に補正却下不服審判を請求することはできない。審判官 による補正の却下の決定の是非を、同じく審判官が判断することはできないからであ る。そこで、審決等に対する訴えを提起することになる。なお、上記枠内の対応の他 に、新たな補正をすることもできる。

139 対立する主義として覆審主義。上級審で下級審の審理とは独立に審理をやり直すこと。(広辞苑第五 版)

140 拒絶査定不服審判は中止される。30日以内に訴えを提起しなければならない。

141 原出願は取り下げたものとみなされるので拒絶査定不服審判は終了する。

特許法152条(職権による審理) (職権進行)

審判長は、当事者又は参加人が法定若しくは指定の期間内に手続をせず、

又は第百四十五条第三項の規定により定めるところに従つて出頭しないと きであつても、審判手続を進行することができる。

特許法153条(職権審理)

審判においては、当事者又は参加人が申し立てない理由についても、審理 することができる。

2 審判長は、前項の規定により当事者又は参加人が申し立てない理由に ついて審理したときは、その審理の結果を当事者及び参加人に通知し、相 当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。

特許法158条(拒絶査定不服審判における特則)

審査においてした手続は、拒絶査定不服審判においても、その効力を有す る。

拒絶査定不服審判における補正の却下

(商標法55

条の

2

3

項によって商標法

16

条の

2、意匠法 17

条の

3

を準用) → 審決等に対する訴え(商標法

63

条)

140

→ 補正後の商標についての新出願

(

意匠法

17

条の

3

準用

)141

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